#43 無理は禁物
お待たせでヤンスよ
楽しんで貰えたら
嬉しいでヤンスよ!
「ちょっと待っててね、取ってくるから!」
和真君はロッカールームへと消えていく
「和真君、脚強いね!!」
理恵さんとミリアに同意を求める、だって
4セット目、120キロで10レップをこなして
平然としていた
マジ凄い
「和真はねッ…凄いんだよ! あのねっ
陸上部に勧誘されているんだから!!」
ミリアがドヤ顔で和真自慢を始める
全然知らないてっ言うか、和真…ソノ事を
家族に喋ってないよ
知ってたらママとパパが絶対大騒ぎするか
ら、私が知らないわけが無いもんね
「けっこう前から陸上部の顧問の先生が
園芸部の部室に勧誘に来るんだ…」
ちょっと哀しそうな顔をするミリア
私と雷兎君はソレに気づいた
「ねぇ…その時に何かあったの?」
聞かなきゃ駄目だと思った私は、ベンチ台に
座るミリアの横に座り、ミリアを抱き寄せる
雷兎君も私達二人を優しく見守っている
「ミリア、教えて!」
戸惑って目線が動くミリア…私がジッと
見つめると
「坂巻、お前はこんなくだらん部活に居て
いい奴じゃない! 陸上部に来い!」
和真は気を利かせて、陸上部顧問の先生が
来ると部室から出て廊下で話しをするけど
先生の声が大きくて聴こえちゃうの…
「いいのかな…和真を園芸部に」
「いいに決まってる!!」
和真がいつの間にか後ろにいた
「陸上競技に興味無いもんね、だけど…
ミリアが俺のカッコいいとこ見たいから
やれって言うならやるけど…条件あるよ」
赤・青・緑の三つの
シリコンチューブダンベルを
片手に真剣な目でミリアを見つめる和真…
「その前に、なんで和真君が陸上部に勧誘さ
れてるか…オシエテ」
左手から声がっ…茉莉花さんだ
紫色のショートスパッツに大人の色気漂う
パープルカラーのスポブラ
「「和真、見ちゃ駄目!!」」
「雷兎君もダメ」
私とミリアの声がカブる
「へっ、母さんはトレーニング時はいつも
あのウェア何だけど…」
って呟く雷兎君、えっそうなの…
「イヤイヤ、見てもらわないと
困るのよトレーニング! 後、理恵さんは
ヴァンに見られても大丈夫かな?」
えっ、ヴァンさんも来るの?
茉莉花さんはスマホ持ってる…って事は
私の返事次第なんだ。
恥ずかしいけど視線に慣れないと駄目だ
「ハイ…大丈夫です」
茉莉花さんは私の返事にニコっと微笑むと
ヴァンさんに連絡をする
昨日、お風呂上がりにミリアの部屋で
私とミリアは…
ママと茉莉花さんに言われたんだ。
「「世間一般的に見ても、二人は美少女!」」
男の目を引くのはしょうが無い諦めろって
言われたんだよね。
「それじゃあ、プールデート出来ないね!
近いうちに行く予定だけど?」
って茉莉花さんは残念そうな顔をする
「まぁまぁ、まだ日にちはあるのだから
慣らして行きましょう!」
って今度はママがそう言って
「二人共、トレーニングウェア全部出して!」
私は短パンとちびTタイプの赤と黒のTシャツ
黒のハーフスパッツと普通の赤いTシャツ
そして、持ってきてるけど…隠してるのが
マッチョメが身につけている、大胆に背中が
見えちゃうスポブラ、黒とパステルブルーの
2種を私は持っている。
ETERNAL✮LOVERS、超可動リアル
フィギュアシリーズ
マッチョメファイティングバージョンと
マッチョメフライングバージョンのウェアに
大手のスポーツウェア会社が大注目!
ラビット社と提携して開発そして販売に!
今年の四月から、コミカライズでマッチョメが
着ていたウェア?4色、黒・赤・青・
緑の販売が始まる。
上下セット税込販売価格2万3820円と
かなりお高い。
そして販売一ヶ月前の3月から
アニメETERNA✮LOVERSの番組途中に
スポーツウェアのCMが入る。
強い背中が美しさを
際立たせると脳筋キャッチコピー
ウェアを着たモデルが背中を魅せる為の
ポージング、ダブルバイセップスで
鍛えられた背中の筋肉を美しく魅せる
そして拳雨と叫びサンドバッグを
滅多打ちにする!
雨あられと降り注ぐ拳がサンドバッグを爆散
させる過激脳筋コマーシャルが超バカウケ!
私は貯めたお小遣いで基本の黒セットと
青のスポブラを買った。
いつか残りのセットを揃えたい。
「理恵! たまに着てるアレ、持って来なかっ
たの?!」
ジッと私を見るママ…駄目だ勝てない
私は畳んである中学の指定ジャージに
潜ませた2つのスポブラをそっと出した
「最初から出しなさい、こんなの水着と
変わんないだからね!」
明日のトレーニングは上下黒ね!
最初はジャージも着てて良いから、ちゃんと
中に着るのよって黒のハーフスパッツと
黒スポブラをセットにして押し付けてくる。
ミリアの方も茉莉花さんが選択
うわぁ、4色全部持ってるんだ…イイなぁ
って言うのが昨晩のお話。
そして茉莉花さんはヴァンさんに連絡すると
直ぐにヴァンさんが現れた
「オハヨウ、昨日はよく眠れたかい?!」
おはようございますっと皆で一斉に挨拶する
コチラへ歩いてくるヴァンさん?
なんかへんだよ?
歩き方がギクシャクしてる?
「脚、大丈夫ですか…」
和真が困った顔でヴァンさんに声を掛けると
「大丈夫だ、ちょっと筋肉痛なだけだから!」
何も気にしなくて良いと言うヴァンさん…
触れてもらいたくない話題のようだ
「和真、茉莉花さんも言っていたけど
陸上部の話し…」
「あっ、それね?! 大したことじゃ無いん
だけど…」
話は初めてミリアをお姫様抱っこしたアノ日
にさかのぼる。
「グラウンドの右端のビニールハウスから
飛び出して、全力疾走でミリアの元へ
向かったんだけど…その時、陸上部は
100メートル走の計測だったらしい?…
陸上部のトップ御三家が走ってたんだけど
後ろから俺が追い抜き走り去ったみたいな?」
俺、覚えてないんだけどって言う和真…
ミリアの元に駆けつけるのに夢中で
他が気にならなかったそうだ。
「ミリアの騎士だな、和真は!」
そう言って笑うヴァンさんだけどナンカ変?
ちょっと筋肉痛って言っていたけど
かなり筋肉痛じゃないかな?
しかも全身筋肉痛だよね?!
「ミリアの和真は凄いのね! 良い材料を
頂いたわ…
この件に関しては任せてちょうだい!」
悪い様にしないからねってニチャと微笑む
茉莉花さん
今のは見なかったことにしよう。
「和真は私の騎士、私の和真…えへへっ」
ミリアが凄くだらしない顔でニヤついてる
この顔は和真に見せちゃダメな奴だ
「おーいミリア、シッカリしてトレーニング
始まるよーっ!」
惚けてるミリアを正気に戻して皆で
トレーニング開始だと僕は思っていたけど…
「ヴァンさん、駄目だよ!カナリの筋肉痛
デスよね」
真顔で和真君の指導がヴァン父さんに入る
「そんな釣れないこと言わないでくれ、同じ
釜の風呂に入った仲じゃないか…」
「ダメなものはダメ、だけど…う〜ん…
エアロバイクなら許可します!」
そのままだとこの後、動けなくなるかもだし
少し身体を温めた方がまだましかなぁって
ブツブツ呟く和真
「ヴァン、和真君の指導に従ってね!」
和真君の後押しをする茉莉花さん
「我慢してください、後でお風呂は俺が
頭と背中を洗いますから!」
和真の発言に皆がザワつく。
「どうして、パパに優しいの?」
赤い顔しながら問うミリア
ミリア勘違いしてそう…絶対違うから
私には見当がついてるけど
「ミリアのお父さんってのもあるけど…
だってヴァンさん、腕あがらないでしょ」
娘と息子の彼女に内緒の戦いでヴァンの
身体は酷い筋肉痛であった。
和真はヴァンの状態を見抜いていた
何も言い返せないヴァンは大人しく指示に
従うのであった。
あちゅい…マジあちゅい
皆も熱中症気おつけるでヤンスよ!




