#4 暴走無双…
宜しく御願いしマッスル!!
相変わらずボサボサ頭、眼鏡の上に被さる
前髪、いつもと変わらぬ姿だけど…
反応が変…こんな反応する人を私は何人も
見てきたけどまさかね?!
「坂巻さん、悪いけどコレ今すぐ読んで
欲しいです」
当たった、やっぱりそうだった
私に手紙を差し出す西恩寺君
中学校入学からのクラスメート
西恩寺君の人柄はとても良く頑張り屋
成績はぶっちぎりの学年トップ
背はまだ伸びると思うけど今現在でも
175センチ位かな、猫背だからちょっと
分かりづらいね
だけどヒョロヒョロのやせっぽち
何かあった時、守ってもらえなさそう
どうしてもアノ少年と比べてしまう
2年半もクラスメイトしてるけど
西恩寺君は素顔を晒したことがない
悪いけど西恩寺君との交際は有り得ないよ
ただ、私に告白してきた人の誰よりも
西恩寺君は人柄も良く常識人
勇気を出して私に手紙を差し出して…
私は手紙を受け取った
私が手紙を開く前に西恩寺君は足早に
去っていく
手紙には今日、学校終わったら伝えたい
事が有ります校舎裏で待ってます
西恩寺君の為にもキチンと対応しよう
「おはー!理恵」
クラスメイトの佐伯奈々ちゃんから朝の
ご挨拶だ
「おはー!奈々」
私も負けじと挨拶を返す
今日はストーキングされてないね?
西恩寺の奴、さっき校舎に入って行った
いつも理恵の後ろを付いてきてるのにね
新しいターゲットでも見つけたのかな
怖〜っと…
奈々ちゃんがまた見当違いな事を言う
「奈々ちゃん、いつも言ってるけど
私が西恩寺君の後から来て抜き去ってる
だけだからね!!」
いつも説明してるけど、皆は西恩寺君の
事をイヤイヤ、ストーカーぽいよと
意見を変えない
そんなクラスメイト達を見て私は思う
今日、西恩寺君にちゃんと伝えよう
もうちょっと身嗜みに気を使おうって…
学校が終わり少し時間を潰すためにトイレに
しばらくこもる
トイレから出ると誰もいない
私は急いて校舎裏に行くと大きなイチョウ
の樹の下に西恩寺君が立っていた
西恩寺君は何故、私を好きになったのか
話を聞いてなんとも言えない嫌な
気持ちになった
西恩寺君に対してではなくクラスメイト達
に対してだ
クラスメートの陰鬱な接し方が普通に
接する私を光らせ西恩寺君の心を動かし
ちゃったんだね
だけど今は西恩寺君をフラなければ…
西恩寺君の人柄からストーカーにはなら
無いと思うけど、他の人たちの時と同じ
様に彼氏がいますと言って断わった
相変わらずボサボサ頭の前髪下ろしで
表情は全く分からないけど口調はとても
ハキハキしていてフラレたことに関して
は私に悪い感情を持ってなさそうだ
でもやっぱり顔が見えないとモヤッとする
西恩寺君は思いの丈を伝えた事に満足そう
私に御礼を言って去ろうとしてる
慌てて引き留めてこの先の恋愛の為に
身嗜みの大切さを伝えると理解を示して
くれたので良かった
話し合っているとボサボサ頭前髪下ろしの
原因は義妹だと分かった
兄である西恩寺君の顔を人に見せたくない
みたいだ
少し説得すると西恩寺君も思う所がある
らしく見せてくれる事になった
何故、私の目の前に初恋の人がいる?
正確には6年歳を重ねた少年
歳を重ねて成長する姿を私はずっと見ていた
私の押しキャラ、6年前に知りずっと成長す
る姿を見てきた
押しキャラ現在15歳、私も15歳
西恩寺君も誕生日が過ぎてれば15歳
成長して少しずつ変わる押しキャラの顔
現在の押しキャラと同じ顔の
西恩寺君が目の前にいる
「坂巻さん、大丈夫?!」
信じられない出来事に言葉が出ない
そうだった!!
ホクロ、ホクロだよ
唇左下の所に小さなホクロがあれば…
「さっ西恩寺君…も一度、かっ顔みせちぇっ」
緊張して震え上手く喋れない
御願い、御願い、御願いも一度見せて…
眼に力を込めて西恩寺君を見る
西恩寺君は少し恥ずかしそうに
「こっ…これで良いかな?」
良かった〜っ、見せてくれた!!
ちょっと見ずらい…
もしもの時のために2m位離れてたのが
仇になった
あの時はすぐ側だったから…
1メートルまで近づく
西恩寺君かなり目が悪そう
「ライト・サイオーンみたい」
私の押しキャラの名前だ
アッアッアッアッあった〜
唇左下に小さなホクロがあった
「間違いなくあの時のワイルド王子様」
私の心臓が力強くドッ、ドッ、ドッと
動きそして勝手に全身の筋肉が
パンプアップ
お腹の奥底から凄いエネルギーが湧いてくる
私は今、背中に鬼を宿し、今までない程に
パンプアップした私の大胸筋が
オッパイを最高の張りと押し上げる
君に見つめられるだけで
私は最高の私になれる
西恩寺君を見てると独り占めしたい
私だけが知ってれば良い…
そんな気持ちが湧き上がる
義妹さんも西恩寺君に恋してる
私は判るその気持ち
眼鏡をかけ前髪下ろしスタイルに戻った彼
西恩寺君
今はその姿にホッとしている
私も西恩寺君の素顔を独り占めしたい!!
西恩寺君に義妹さんの考えてる事が
分かったと伝え内容は教えてあげない
義妹さんとの仲が悪くなるのは不味い
私は嘘をついてごめんなさいとすぐに
謝罪をした
彼氏はいないと必死に言い訳をした
理由も全て話した
西恩寺君も学年女子の自分に対する
イメージ、ストーカーは流石に
堪えたらしく何とかしたいと…
たけどミリアがヘアースタイルを変えるの
は許してくれない
手詰まりだよと弱々しく呟く
いやーっナニこれぇぇッ
いやーっ本当にナニこれェェェッ
私を助けてくれた時と全然違う…
でも…コレもアリって言えばアリアリ
なんか抱き締めたくなっちゃうよ
そうだ! 私がイメージ改善を手伝って
上げれば、その間は一緒にいられる…
早速、西恩寺君に提案すると
「えっ、アレ何かアイデアがあるの?」
ヤッターっ、食いついてきた!
体つきから見ても運動嫌がりそうね
遠回しの表現で説明して家のジムにつれて
行けばなとかなるよね?
流石、ぶっちぎりの学年1位の西恩寺君
勘がいいのか察しがいいのか?!
逃げようとしたね…
私に告白した癖に逃げるなんて
ゆ・る・さ・な・い
逃げようとしたんだから正面からね
がぶり寄ったて良いよね…
「捕まえた〜っ」
ふぁ ふぁ ウッふぅぅぅ気持ちいい~っ
抱き締めてるだけなのに
どうしてこんなに気持ちいいのぉぉ
西恩寺君も何か言ってるけど幸せ過ぎて
何もわかんないよ〜っ
2年半前から一緒に居たのに君だって
わかったのは今なんだよ!!
西恩寺君の胸に顔を埋めて深呼吸
ダメ、クラクラしてきたよ
夢中で西恩寺君の香りを嗅いじゃった
クンカ、フンス、フゴッ、クンカ、フンス
フゴッとすると西恩寺君が体を預けてきた
しかも上からのしかかる様に…
私だって分かる
少女マンガで散々見たから…でも…でも…
目をつむりそっと顔をあげたよ
ひやっ、耳に西恩寺君の唇がペチョって
掠って首筋に生温かいネトっとした液体が
タラタラと垂らされ鎖骨の窪みに溜まって
溢れ零れ落ち胸に流れ落ちていく…
さっ、西恩寺君エロいよ
我慢したよ…ビクッビクッってなったけど
我慢したよ… 絶対に責任取って貰うよ!
我慢してたんだけど西恩寺君動かないね
そっと見たら大変な事になってた
「どうしてこうなった?」
タラタラと垂れていたのは…
気絶した西恩寺君の半開きの口から溢れる
唾液だった
「不味い、絞め落としちゃった」
西恩寺君をイチョウの木の陰に隠して
私はスマホを取り出してパパに電話した
「今すぐに姫之城中学校の裏門に車で
迎えにきて御願い!!」
すぐ行くと返事があったので電話を切る
5分もあれば到着かな
家近いからね
「夏休み期間中に何とかして見せるから
辛くてもついて来てね西恩寺君!」
私は木陰で気を失っている西恩寺君を
お姫様抱っこして裏門をくぐった
すぐに車がきてパパが降りてきた
「何があったんだ?」
パパが私達を見てビックリしてるけど
知ってる人に見られたくないから
「兎に角、車の中に」
パパに手伝ってもらい後部座席に
西恩寺君と私が乗る
車の中で全て話した
西恩寺君に告白された事
彼氏がいると嘘をついて告白を断わった
西恩寺君の学校での境遇に義妹の事
私が西恩寺君を大好きな事を全部話した
「大好きなのにどうして断ったんだ?」
パパの疑問に私もガックリしながら
「二年半もクラスメートだったけど
今日始めて西恩寺君の顔を知ったの…」
それも告白を断わった後だったから
顔も知らない人とは付き合えないって
私の言い分に西恩寺君も納得して
私を諦めた後、話し合って顔を見せて
もらったんだ
その後、彼氏なんかいない嘘ついて
ごめんなさいって謝って…
許してもらったけど・・・・・
西恩寺君が私の事をまだ好きなのか…
わからないの
取り敢えずジムに連れて行こう
パパがそう言って車を発進させた
「でも良かったよ…理恵が人の子を好きに
なって嬉しいぞ」
「私は最初から人の子が好き」
私助けてくれた少年の話し忘れたの?
ちょっと怒ってパパを睨む
「憶えているけど…へっ、モシカシテ…」
「そのもしかだよ!!」
ジムに着きパパは西恩寺君を運ぼうかと
言ってきたけど私は断り、お姫様抱っこで
西恩寺君を優しく運ぶ
「理恵、写真と動画取っていいかな?」
パパがスマホを構えている…
「バンバン取っちゃて!!」
私は満面の笑みで許可をだした
ストレッチ場の片隅に西恩寺君を寝かせ
膝枕をする
「パパ、西恩寺君の顔確りと撮影してね!」
私は西恩寺君の前髪を上げて眼鏡を外した
「マジかってマジかっ?ワイルド王子だ!」
西恩寺君の顔を見たパパ、はしゃぎすぎだ
理恵すまなかった信じてやれなくて
その言葉を聞きながら私は西恩寺君の頭を
優しく撫で続けた
味噌ラーメンの残った汁に白飯
ぶっこんで食べる
フゴフゴッ大満足じゃぁぁぁぁっ