#33 わらび餅の事だから…
暑いでヤンス
「うちの子達、今まで友人知人に
恵まれなくて…」
「ウチも同じなんですよ…」
西園寺家と坂巻家の最大の問題は、我が子達
を取り巻く環境と、コレから起こる可能性が
高い案件の防止防衛である。
「学校の方はコチラから圧力を…ゴホンッ…
話を通すので」
西園寺家の強気の申し出に若干、引き気味の
坂巻家だが有り難い申し出なので口は出さ
ない
「お力添え感謝します!」
和真は入学して早い時期に暴力事件を
起こしている
その後も度々、騒ぎを起こして学校側からは
問題児扱いになっている
和真は原因を頑として話さないが迷惑かけて
すいませんと謝ってくる
相手側は和真が悪いの一点張りで
やはり、原因を話さない
「ミリアの為に尽力尽してくれた和真君には
感謝してもしきれません、全力でサポート
させて頂きます!!」
何があったのか、茉莉花さんが教えてくれ
たが横でヴァンさんがワタシ何も聞いてな
いよとブツブツ言ってる
惚れた女の子を守る為に…和真の奴め
ヤルじゃないか
原因を知り、和真が暴力を振るったのは
駄目だが相手側が悪いのは明白だ
「しょうが無い奴め…惚れた女に漢を見せた
んだな」
緩む頬を抑えようとして、歪な笑顔を浮かべ
てしまう恵
「そのお手本になったのがアノ日の雷兎君」
理津子はアノ日から何度も何度も繰り返し
理恵が語る、名も知らぬ、自分よりも
小さくてやせっぽっちの英雄の伝説を
余す事無く西園寺夫妻に語った
「まるで、ライトとリエンヌの出会いその
モノじゃないの!」
ETERNAL✬LOVERS王国編の2話で城を抜け
出したライトは、城下町で悪ガキ達に絡まれ
ているリエンヌを颯爽と助けている…怪我は
していない
アニメETERNAL✬LOVERS王国編の43話で
人攫い盗賊に捕まったリエンヌと魔族の
子供を救うため、傷を負ってしまうライト
理恵を助けた雷兎の事を参考に
本編を脚色し、作られたオリジナル回だ
コレを見ているから、雷兎が理恵に隠そうと
していた怪我の酷さを知られてしまう事に
なった
「現実とファンタジー違いますね…」
そう言って私は西園寺夫妻に深々と頭を
下げた、恵も合わせて頭を下げる
「頭上げて下さい、悪ガキ達が悪いの
ですから!」
頭を上げて真摯にコチラを見る坂巻夫妻…
ヴァンが雷兎からのメールで悪ガキ
3人の名前が分かり、素行調査を開始してい
ると伝え…
「「私達の息子にした事は絶対に許さない」」
力強く宣言する茉莉花とヴァン、そして
「和真君の尽力により、娘ミリアを貶める
動画を発見出来ました」
ヴァンと茉莉花は坂巻夫妻に深々と頭を
下げる
「「頭を上げて下さい!!」」
慌てて声を掛ける恵と理津子
ヴァンは和真君が教えてくれた動画の
投稿者を法的に訴える方向で、顧問弁護士と
話を進めていると言い、場合に拠っては
和真君に協力を求めますと坂巻夫妻に許可を
頂きたいと話す
「「是非、協力差せて下さい!!」」
力強く、協力を申し出る坂巻夫妻…今ここに
西園寺家と坂巻家の連合軍が結成された!!
又も力強く宣言するヴァンと茉莉花
「「私達の娘にした事は絶対に許さん」」
愛ある善意が動き出す
大切な子等を護るために、有り余る財力で
悪童共を叩きのめす
「理恵ちゃんと和真君を護る上で提案が
あるのだけど…」
茉莉花の提案で喜ぶ者、何方とも言えない者、
認めているがまだ早いと反対する者と
3つの意見に分かれたが…親達の話し合いは
まだまだ続くのであった
兎に角、盛り盛り上がっている、二番手は
和真君とミリアで光と風のマリアージュと
対になるエンディング曲の
光に示され風に誘われてだった
この曲のイメージは幼き頃に語り合った夢を
叶えるために、寄り添い共に歩み続けていく
ライトとリエンヌの愛のバラードだ
この曲も大ヒットして、オリコン初登場で
2位の歴代7位に食い込んでいる
… …… …… … ………
……… …… … ……… ……
幼き二人が交わした約束の旅路♫
光に示され彼の地ヘ♪ 風に誘われ♪
共に歩む♫
大切な貴女と共に歩む♪
色褪せない想いが♪ 光り輝く♪
この曲は僕も理恵さんと歌いたかったけど
先を越されてしまった…残念
歌い終わったミリアと和真君はテーブルの
麦茶をチビリと飲む
ミリアは麦茶のコップを置くと隣に
置いてあった、わらび餅の皿を手に取り
隣に座っている和真君の口元に寄せて…
まさか、アレをヤルつもりか?!
ミリアは付属の楊枝で、きな粉と黒蜜が
掛かったわらび餅をぷすりと刺し
「ДаОтройСвойрот 」
ミリアが露語で和真君に語りかけると
和真君、パカッとお口を開けたぞぉぉっ
ミリアはそっとわらび餅を和真君のお口に
運ぶ
パクリと食べた
「Вкусно」
真っ赤かになったミリアは3連続でわらび餅を
和真君のお口に運ぶ
「Вкусно 、Вкусно 、Вкусно 」
和真君、露語がわかるんだ
凄いなぁ…和真君とミリアは
ドラマチックな一年間と3ヶ月を過ごして
いるから…
無茶苦茶頑張ったんだろうなぁ…
僕も頑張らなくちゃ…
一番デュエットしたかった曲を取られた
だが、デュエット曲はまだまだ在るのだ
「雷兎君、コレを一緒に歌ってくれませんか」
理恵さんがタブレットを指し示す、ソコには
屋台へ行こう!と曲名が示されていた
お小遣いを握りしめて、楽しく屋台巡りを
するライトとリエンヌがミュージカル風に
掛け合いながら歌う楽しい曲だ
「ウン、ポチッとナッと」
送信を押すと直ぐに70インチのモニターに
曲名が表示されて前奏が始まる
待ちに待ったお祭り♫ 二人は走るよ屋台ヘ♫
ねぇねぇいい匂い♪ いろんな匂いがするぞ♪
ハニービーの蜜がけチェロス美味しそう♪
サバンナボアの串焼き旨そうだぞ♪
あっちに行こう♪ こっちに行こう♪
…… … ……… …… ……… … ………
ミュージカル風だからセリフを掛け合い、歌
うのだけど、掛け合いの度にお互い向き合い
顔を見るのがとても恥ずかしい。
身長差があるから、理恵さんは僕を見る時、
常に上目遣いになる
薄っすらと頬を染めててパッチり二重の
アーモンドアイに見つめられ、気恥ずか
しさで僕もきっと顔が赤い筈だ
歌い終わり、僕と理恵さんはテーブルの
コップを取り麦茶をチビリと飲む
「ふぁい…アーン」
真っ赤な顔して理恵さんが僕をわらび餅で
餌付けしようとしている
僕の口が勝手にパカッと開く
理恵さんが差し出す楊枝の先のわらび餅が
プルプルと震えながら僕の口にそっと入る
パクリと口を閉じたけど、理恵さんは楊枝を
短く持っていたから、指までハムっと
してしまった
「ひゃっ…」
カワイくちっちゃい悲鳴を上げて、僕の唇か
らムニョっと指と楊枝を引き抜く理恵さん
僕は慌ててわらび餅を数回咀嚼して飲み
込んだ
「モグモグ、ゴックン、ごっ、ごめんね!」
僕の手を合わせて謝る姿が面白かったのか
「わらび餅だけ食べてねっ?ふふっ」
緊張が解けた理恵さんはさっきよりも
長く楊枝を持ち、わらび餅をプスリと刺し
「ハイ、アーン!」 「アーーン」
「今度は上手に食べる事が出来たねっ!」
理恵さんに褒められて調子に乗った僕は
ライト・サイオーン風に
「アァ、旨かったぜ」
真っ赤になった理恵さん、鼻左穴から
タラリと鼻血が零れ落ちる
「ごっ、ごめんね、ごめんね!」
僕は慌てて、テーブルのテッシュを渡すの
だった…
宜しく御願いしすでヤンス




