#20 言質とられる
お待たせでヤンス
もうすぐしたら2連休でヤンス
「ミリア、早いうちに父さんに伝えた
方がいいぞ!」
父さん、ずっと気にしているからね
ミリアの彼氏の事、シッテンじゃないか?
ってやたら僕に聞いてくるから困るんだ
それに初めて聞いたミリアに対する
イジメも全部、父さんに話さないと駄目だよ
態度の悪い先生の事もだからね
鼻に詰めたテッシュを取りながらミリアに
進言する雷兎君
良かった、鼻血止まってる!
和真の胸に顔をうずめ、フグゥゥゥッと
泣きじゃくっているミリアが顔をあげた
「メールで良いがなぁ?」
涙と鼻水でベチョベチョのミリア
勿論、和真のぶ厚い胸板もコレでもかと
ばかりにベチョベチョのネッチョリ
だけど何も言わない和真…
「取り敢えず顔、拭こうな」
テーブルのテッシュを手に取り、ミリアの
顔を優しく拭く和真
ちょっと前までミリアン先輩とミリアを
立てていたのがいつの間にか和真が
並び立っててっミリアのお世話をしてる
和真の父性本能?
頼りがいがあり過ぎでしょう
顔を拭かれて入るうちに落ち着いたミリアが
パパにメールを送るからとテーブルに置いた
スマホを手に取り真剣な顔で画面を
タップ&スライドで文章を作成する
「僕も後で援護メールを送るよ!」
たった一人で、ミリアを1年と4ヶ月も
守り続けた…和真君
感謝してもしきれない
それでも感謝を伝えたい
「ミリアを守ってくれてありがとう!」
立ち上がり和真に頭を下げる雷兎君を見て
慌てる和真
「頭を上げてください雷兎さん」
和真も立ち上がり雷兎君に頭を下げる
「姉ちゃんを助けてくれてありがとう」
雷兎さんはと和真がお互いに頭を下げて
感謝を伝え向き合う
「僕は和真君と最高の友になる絶対に!」
「俺は雷兎さんの最高の相棒なる絶対に!」
拳を突き出し、合わせるふたり…
メールの送信が終わったミリアが目を
輝かせて二人の様子を動画に撮る
「尊い尊い尊い!」
ブレないミリアになんだかホッとする
イジメによる精神的ダメージは
余りなさそうな感じ
だけど…
きっと、いや、間違いなく和真がミリアを
癒やしたんだ
ミリアが今まで色々あったと言ってたから
今度、じっくりとお話を聞かせて
もらいましょう
雷兎君も和真がミリアの彼氏で喜んでいる!
二人は既に親友だよ
「ミリアがメールを送ったから、僕も続けて
掩護メールを送るよ」
素早いタップ&スライドであっとゆう間に
文章を作成して送信
「後は返信待ち」
雷兎君の提案でトレーニングルームの見学を
することになった
ミリアの移動の補助は和真が適任だ
「和真君、ミリアを頼むよ!」
雷兎君の頼みに、ニカッと笑い和真が言う
【ワイルド王子の頼みとあらば】
演劇の様な言い回しに思わず笑いそうに
なっちゃた
しかも声まで作って低めのハスキーボイス
今まで聞いたことないよ
「カッコいい…和真カッコいい……」
ミリアがデレた…間違えた、最初からデレて
いた
雷兎君もビックリして和真を見ている
「今の和真君の声だよね…」
雷兎君が確認を取ってるけど何故?
まぁ、私も初めて聞いた和真のあの声
ミリアも初めて聞いたみたいだけど…
「今の声で普通に会話できる?」
雷兎君が真剣な顔で和真に問う
【できるけど、どうして?】
和真が低音ハスキーボイスで囁く様に
喋る…
なんかゾクゾクってする
弟の声にゾクゾクってするのはなんだかな~
って思うけど…これはイケボイスだよね
「モシカシテ、その声で感情込めて歌を
歌えるのかな?」
そう言って雷兎君は和真を凝視する
【歌えるけど、高音域の歌は自分流になりま
すよ】
「ミリア、父さんに合わせるのは勿論だけど
監督にも会ってもらうってのはどうかな」
雷兎君の真剣な表情と言葉に和真が何のこと
って聞くと
「ETERNAL✮LOVERSの新キャラクターの
声優キャストが幾つか決まらなくて…」
監督とスタッフさんがイメージボイスを持つ
声優を探しているけど…見つからないんだ
「俺、声優の勉強とか訓練してないけど?」
和真も困惑して焦っている
第一声優さんに対して失礼じゃぁ無いのかな
そこら辺を雷兎君に聞いて見ると
「ソレは思うところはあるかも知れないけど
イメージボイスを持ってる人に、一番の
優先権があるから」
だからオーディションとかもあるんだ
一番イメージが合うボイスを選ぶ為にね
本来、声優の中から選ぶのが普通
だけど、ETERNAL LOVERSはちょっと
融通が効くんだよ
後はキャラボイスを指定時間内に演じら
れるかが問題なんだ
「トレーニングルーム見学の後、セリフの
サンプルボイスを幾つか録らせて欲しい」
雷兎君の提案に和真が悩んでいると
「理恵さんもサンプルボイス録ろうよ」
雷兎君からのオファーが私にもきて
ミリアを見るとウンウンと頷いて
「…大丈夫、怖くないから…」
そう言って私を見る…だけどミリアの目は
何故か遠くを見ている様な感じだ
察するに怖くはないけど、とても面倒臭い
何かがある…
ハッとして和真の方を見ると
「ミリアと一緒にいる時間が増えるし、
お金も稼げるからデート資金も
余裕のよっちゃん」
雷兎君の和真をクドく内容がおかしい
まるで新キャラクターの声優になるのは
決定事項の様な言い回しだ
和真がコッチを見てる…私を見ても何とも
言えないよ
私だって判断がつかないよ
「大丈夫だよ、主人公とかヒロインじゃぁ
ないから」
「最近、ワタシにやたらと声を掛けてくる
他の事務所の声優がいて困ってるの」
雷兎君の言葉より、ミリアの発言が和真の
心を動かした
「サンプルボイスを聞いた監督さんが
俺を選ぶなら全力で演ります…駄目だった
らミリアのボディーガードとして
姉ちゃんと現場に入る許可を貰いたい」
和真の要求に雷兎君は頷き、私にこの条件で
良いですか?って聞いてくる
雷兎君、ミリア、和真の三人が私を見つめる
すっごくジーって見て皆無言…
私は緊張に耐えられなくなって
「うん…ソレでいいよ…」
雷兎君はミリアにちゃんと録ったかと聞き、
ミリアはバッチリだよと…えーっ、録音して
いたの
「二人の言質は取ったのでヨロシクね!」
雷兎君はご両親の許可は僕とミリアと監督で
貰いに行くから大丈夫と言い
「それじゃあ、トレーニングルームに行こう」
ご機嫌な雷兎君とミリアの二人だった…
宜しく御願いし〜マイレージ




