#19 勇者見参 その名は和真
書いててナンカ恥ずかしかったでヤンス
理恵が鍋を振るっていると胸が小刻みに
ぷるるぅんぷるるぅんって震えてたよ
「雷兎ったら理恵のぷるるぅんを
見ようとするから眼鏡取り上げたの!」
ミリアが座っているソファーの左側に
置いてあった眼鏡をテーブルに置いた
「私が見てもいいと許可したし…それに
雷兎君は他の男子と違ったから」
雷兎君と和真が洗い物をしてる間に
私とミリアのガールズトークが始まった
「他の男子はチラッと顔見て、その後
胸を見ながら話しかけてくる」
他の男子が告白する時、顔を見ず…
胸を凝視しながら告白してくる
顔1に対して胸9の時間配分が他の男子
雷兎君は顔9の胸1の時間配分で
その1だって私が腕を組んでしまったから
であって…
「理恵の方の学校もそんな奴等ばかり
なんだ、ワタシの方もそうなの」
ワタシが痩せたら1年から三年生まで
日替わりで告白合戦
ワタシの中身じゃなくて見た目で寄って
こられても迷惑だけどね
太っていた時期、全員じゃないけど…
先生を含めて
男女問わずワタシを見下して嫌って
いるのは分かっていたし…
園芸部の他のメンバーも和真以外は
ワタシを見下していたからね
「和真が園芸部に入部して一ヶ月経った位に
朝の登校中に、和真に呼び止められたの」
ミリアが頬を薄っすら紅く染め、目を潤ませ
ながら語り続ける
耳が尖っていたら異世界ファンタジーに出て
くる、エルフみたいな美人のミリア
スッンゴイ乙女の顔して語ってる…
それに今から話すことって爆音屁コキのアノ
和真が告白する時の事ダヨネ
路上で告白したのかな?
「校門通ってすぐに…周りは生徒だらけ…」
ウットリと目を潤ませ語る乙女顔ミリア
ビックリだよ、マジ驚きのビックリだよ!!
そんな場所で告白?
違うよね?
マンガや恋愛小説とかドラマ、映画じゃあ
るまいし……
「大っきな声で告白されたの……♥」
ミリア…もの凄くニヨニヨしてる
それにしても和真
アンタなにしちゃってんの
普通は放課後、伝えたい事があるので
お時間頂けませんかでしょう
「ミリアン先輩の人柄と眩しい笑顔に
惚れました…俺とつき合って下さい!!」
周りの生徒達の目が全てワタシと和真に
集まって…
うわーっ、ミリアが頬を押さえながら
クネクネしだしたヨ…
私と同じ位のミリア山脈が
ぷるるぅん〜ぷるるぅんって微細に揺れる
うん、エロい…
私はパッと後を振り返る
洗い物してる和真と目が合う
すぐ下を向く和真
細目の癖に視力が両目とも2.0あんだよね
見ていたな、ミリア山脈の揺れ
男の子だからしょうがないか…
ミリアに向き直すとクネクネが止まり
ぼ〜っと空中を見てる様な見てない様な
ウットリとした顔で惚けている
脳内で無限に和真の告白が
リピートされているのは間違いない
暫くしてビクってして私を見る
正気に戻ったミリア
テーブルのコップを取り麦茶をチビリと
飲んで、、フーっと一息
「最初、頭を過ぎったのはウソ告白」
ワタシが1年生の時、ワタシにウソ告白して
フルってのがはやった時期があって…
ワタシの返事は何時もお友達からねって
言ってるのに…いつの間にかつき合っている
事になってて、知らない間にワタシが
フラれた事になっちゃってて
外人女をフッタ俺、カッコ良いって
訳の分からない理由だったようです
でも…和真の目が真っ直ぐにワタシの目を
見てるから本気なのかなって?
しかも公衆の面前で…大丈夫かな?
この子って思った
ウソ告白の奴等は放課後の校舎裏で人目に
つかないようにしてたのに…
公衆の面前で臆すること無く、大きくて
凄く太っているワタシに告白しちゃって…
和真の事は園芸部の活動で素直なやる気の
ある、可愛らしい男の子…ワタシより
ずっと背が低かったし
弟がいればこんな感じなのかな?
そう思っていたし、ワタシとつき合ったら
絶対まわりからカラカワレテ傷つくかも
既に周りの生徒達から笑い声が聞こえて
くる
誰かが茶化す
「マジ勇者すっげぇっなあ」
笑い声が湧き上がる
兎に角、早くこの話を終わらせないと
そう思い
まずは友達からねと傷つけない
様に優しく断りを入れたんだけど
「デブ専なんだ、本当にいるのね」
また茶化す声、今度は女生徒
大きな声で周りの笑いと茶化す声を
吹き飛ばすが如く、和真が告白を続けて
俺がんばります、俺のことが不快になったら
いつでも言って下さい!!
俺、ミリアン先輩に不快な思いを
させたくないから…
洗い物が終わり、雷兎君と和真が戻ってきた
二人は定位置に、雷兎君は私の隣に
和真はミリアの隣に自然に座る
私はこの組み合わせ以外は存在しないんだ
と思う
和真は自分の告白物語を話されて
いるのに全く動じてない
「あじがどう…ずぎにだっでぐれで」
ミリアが大泣きしながら隣の和真に
抱きつく
「俺を好きになってくれてありがとう」
和真もミリアを抱きしめる
漢字の漢と書いて男と読む
これからは和真と書いて勇者と読む
私の弟はリアル勇者だったのか
これからもミリア姫を守れ勇者和真
私は心の中でミリアと和真にエールを贈る
宜しく御願いし〜マルゲリータピッツァ




