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ようやくの二次会

 肉の弾力がいいし、旨味が濃い。

「美味しいわあ。家で昨日は生姜焼きにしたんだけど、これもいいわあ」

 俺達はトリスキを食べていた。

「チサの所は生姜焼きにしたのか。それも美味しそうだな。俺はあっさりと塩と胡椒で焼いてみたけど、凄く良かったぞ」

 俺が言うと、3人はうっとりとした声をあげた。

「そういうシンプルな料理って、素材の良さがわかるわよねえ」

「いいなあ。私は唐揚げにしたわ。唐揚げも物凄く美味しかった!」

 イオがそう、思い出すようにして言うと、ハルも、

「僕は親子丼にしたんだ。何か、昔食べた高い地鶏みたいに美味しかったよ」

と言い、全員でうっとりとそれらを想像した。

「ヤバイ。もっと色々食べたくなってきた」

 イオが涎を啜りながら言い、ビールをグイッと空ける。

「また獲りに行きたいわねえ。シュウ、いいかしら」

「でも今は一応危ないからって立入禁止になってるよね、あの穴」

 ハルがチサにそう言う。

 そこで俺は、グラスを空けるとニヤリと笑った。

「見せたいものがあるんだ」

 そして、おもむろにキッチンに全員を連れて行き、閉じていた床下収納庫のふたを開けた。

「うわあ!」

 ハルが飛び上がるが、俺は余裕を持って、火炎放射で豚を退治した。

「床下収納庫、我が家の地下室になったらしいんだよな」

 イオとハルは呆然とし、チサは嬉しそうに万歳した。


 縄梯子で下に下り、魔石を拾う。

「床下収納庫を開け閉めする事で、ここの豚は出て来る事がわかってる。

 それとこの部屋は昨日最後に来た部屋だったよ」

 3人共、物珍しそうに辺りを眺め、階段の下を覗き込んでいる。

「どうする?進む?」

 俺が訊くと、3人は各々考えて口を開いた。

「私は、やりたいわ。美味しいものを獲れるなら、なおいいわねえ」

 チサはおっとりと笑う。

「私も、やりたいわね。いい鍛錬にもなるし、ストレス解消に持って来いだもの」

 イオは楽しそうにウキウキとして言う。

「僕も、やりたいかな。食費が少しでも浮いたら助かるし、魔石が売れたらもっと助かるよ」

 ハルはしっかりと皆の目を見ながら答えた。

「シュウはどうなの?真相を説明してどこかに就職して、休日だけ潜るとか?」

 イオに訊かれ、俺は答える。

「少なくとも今はどこにも勤める気はない。クビの事情を説明してまわるのも馬鹿らしいし、悔しいけど信用するのは俺よりも向こうの言い分だろうからな。そうなると、少なくとも日本で研究職に就くのは難しいし、海外も会社のつながりがあればどうだか。

 だから俺はダンジョンに潜る。魔石も魔物もダンジョンそのものも、知りたい事だらけだし、家の下にあるなんて幸運、利用しない手はないからな!」

「そうと決まれば、武器について考え直さないとね」

 イオが言うのに、皆頷いた。

 確かに。素手カバンや折り畳み傘、ビール缶入りのビニール袋なんてものじゃ、ダメに決まっている。

「よし。一旦戻って作戦会議だ」

 俺達は縄梯子を上っていった。


 






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