ダンジョン攻略 また怒った
失敗したなぁ、と思って少し肩を落としていると、そんな私を見たアンズとクレアから慰めるように声をかけられる。
「大丈夫だよ。気にしないで。どうせ最初に不意を衝くための攻撃だったんだし」
「わたくしも少し気になっていましたので、ルーさんが気にすることではありません」
二人とも優しいなぁ。
よし!二人もこう言ってくれてるし落ち込むのやめよう!
そんなことより二人の応援だ!
二人の言葉に俯いていた顔を上げて二人の方を向く。
そして当然、二人の先にはアンデットさんも見えるんだけど、何故か固まっている。
そういえば、二人がこっち向いていてチャンスのはずなのに、全然攻撃してこなかったな。
もしかして待っててくれてた?
いや、それはないか。さっきそれで攻撃されたし。
と言うことは……何で?
そんな首を傾げている私を見て呆れた様子でサーシャが教えてくれる。
「……ルー様。あれは、怒っているんだと思いますよ」
「怒ってる?」
どうして?
サーシャが答えてくれたけど、結局その意味が分からなくて今度は反対側に首を倒す。
すると、アンデットさんの身体がプルプルと震えた直後、まとっていた氷が全て粉々に砕ける。
さらには俯いて顔を上げてこちらに受かって怒ったように怒鳴ってきた。
「ば、馬鹿にしているのか!?
そんなことくらい、分かっているわ!?」
何故か滅茶苦茶怒っている。
本当にどうして怒こっているの?
……あ!分かった!そういうことか!
成程。そういうことだったんだね!
「……何か納得しているようですか、多分違うと思いますよ、それは」
納得した私はうんうんと頷いていると、それをみたサーシャが何故か私の考えを否定してくる。
何で否定するの!?
まだ何も言ってないよね!?
なんて失礼な。
聞く前から否定しないでほしいよ。
きっと「ルー様のことだから変な考えをしている」とか思っているんだろうけど、いつも言うけど、そんなことはない。
私は全然変じゃないもん。
いつもいつも理不尽だよ!
そんな理不尽なことを言ってくるサーシャを見返す手目に、さっきの考えを説明する。
「いまから説明するけど、在ってたら謝ってね!」
「……分かりました」
よし。絶対に見返してやる!
「きっとアンデットさんは図星だったから怒ったんだよ!」
胸を張りながらドヤ顔で答える。
「……?」」
私の考えを聞いたサーシャは「何言ってんの?」みたいな目で私の顔を見てくる。
あれ?違うのかな?
「えっと、図星をつかれたからむきになって怒ったのかなって……」
「……」
新手れて説明しても、サーシャは呆れたような顔をするだけ。
やっぱり違うの!?
だって、図星つかれたら動揺するよね!
私だってむきになる時があるし。
さっきアンデットさんも「そんなわけない」って言ってたから、むきになってるんじゃないの?
それに、私が教えてから氷も壊してたし、それ以外に考えられないと思うけど。
「はぁ」
ため息をつくサーシャ。
じゃあ何で怒ってるの!?
教えてよ!
「……あいつは、馬鹿にされたと思ってるんですよ」
馬鹿にされた?
そういえばアンデットさんもさっきそんなこと言ってたけど、どういうこと?
私別に馬鹿にしてるつもりはないよ?
それどころか、親切心のつもりだけど。
「そうですね、ルー様にそのつもりはないでしょう。だから気にすることはありません。あれはあいつが悪いだけなので」
どこか諭すような口調のサーシャは視線をアンデットさんの方へ送る。
それを私も追うように視線を向けると、いまだにアンデットさんはプルプルと震えていた。
「やはり貴様から殺してやる!」
怒り全開のアンデットさんは私に向かって叫びながら魔法で黒い槍を飛ばしてきた。
それを見て防御魔法で防ごうと思ったんだけど、私が魔法を使用する前にいつの間にか詠唱を済ませていたアンズが氷壁で防いでくれた。
「あなたの相手は私たちだよ!」
アンズ、カッコいい。
アンデットさんに対峙するアンズの背中がとてもカッコよく見える。
「ちっ!また貴様か!
貴様らは後で始末してやるこら引っ込んでろ!」
何か、さっきから怒ってばかりだな。
一回、少し期限が良くなったと思ってけど、会ってから怒ってばかりな気がする。
そんなに怒ってばかりだと少し心配になってくる。
「ううん。あなたは私たちで倒すから、ルーちゃんには手を出させないよ!」
何かさっきからアンズがカッコよく見えるんだけど。
「そうですね。ルーさんには手を出させません!」
カレンも同じようにアンデットさんと対峙する。
「手を出させない?
それはルーフェスさんに対してアンデットが?
それともアンデットに対してルーフェスさんが?」
「……多分両方の意味だと思うぞ」
サーシャとマリンが何かこそこそと話しているけど、気にせず私は二人の応援に再び戻る。




