ダンジョン攻略 いつまでそのまま?
少しの油断の隙をついたアンデットさんの攻撃を躱した二人。
そんな二人を見てマリンが心配そうに声を上げる。
「二人とも!大丈夫ですか!?」
焦ったような表情のマリン。
そんなマリンに対してアンズとクレアは立ち上がり、今度は油断しないと言う雰囲気でアンデットさんをまっすぐに見ながらマリンに返答した。
「大丈夫!ちょっと油断しただけだから!」
「わたくしも問題ありませんわ!これからは気をつけますので大丈夫です!」
二人の言葉を聞いたマリンがほっと安心したように息を漏らす。
私も少し焦ったけど、本当に二人が無事で良かった。
そんなことを考えてると、アンデットさんの方から舌打ちが聞こえてきた。
「ちっ!そのまま当たっておけば楽にかたずけられたが、面倒な」
不機嫌そうなオーラを漂わせるアンデットさん。
そんあことを言いながらも即座に次の魔法を放ってきた。
「アイスウォール!」
飛んできた黒い槍を、アンズが詠唱を素早く済ませて氷壁で防ぐ。
このダンジョンンて、凄く成長してると思う。
今の魔法も、ここに来る前よりもずっと早く詠唱できるようになってるし、魔法を放つまでも凄くスムーズだ。
やっぱりアンズは凄いと思う。
昨日までのアンズだったら、今のを防ぐのは無理だったかもしれないけど、今は簡単に防いで見せた。
「ファイアーランス!」
アンズが氷壁で黒い槍を防いだ直後、今度は素早く詠唱を済ませたクレアが炎槍を放つ。
アンズだけじゃなくてクレアもそうだ。
今の魔法はここに来てからずっと使っていたのもあって本当に効率も発動速度も昨日ダンジョンに来た直後とは比べ物にならいぐらいに成長している。
そしてなにより最初に比べて自信もしっかりとしている。
今まではスライムだったりと、危なげなく倒せる敵ばっかりだったけど、確実に二人とも成長していると思う。
そんな二人がこのアンデットさんに勝つことが出来たら、もっと成長するに違いない。
だから、もっといっぱい応援しよう。
私は、このアンデットさんの相手は今の二人には少し早いと思うけど、サーシャが出来るって言ったし、きっと大丈夫。
私に出来ることは、今は応援だけ。
余計なことはしない。
「ちっ!」
そんなことを考えていると、またアンデットさんから舌打ちが聞こえて来る。
今度もクレアの放った炎槍を土壁を出して防いでいたけど、また少し不機嫌そうだ。
「クレアちゃんは攻撃をお願い!私は防御とサポートに専念するから!」
「分かりましたわ!攻撃の方はお任せください!それ以外の方は少し負担が大きいかもしれませんが、お願いします!」
お互いに役割を決めて行動をとる。
こういう所も、このダンジョンに来て成長した部分だと思う。
むしろ一番の成長かもしれない。
二人の連携は、本当に凄い。
私はあまりこういう感じに連携することが少ないから、少し羨ましいかな。
「ルー様に合わせられるものなどごくわずかですし、そもそもルー様が居る時点で連携をとる必要ら無いですからね」
確かにそれもそうかも。
戦闘で困ったことってほとんどないし、私は最強だから連携の必要がない。
だいたいは一人で勝てる。
今まで戦闘において誰かの力が必要な時なんてなかったんだから。
私、最強!だからね!
「ファイアーランス!」
「くっ!」
サーシャと軽く話している間にも戦闘は続いており、クレアの放った炎槍をアンデットさんが土壁で防ぐ。
その直後に黒い槍が飛んでくると思い構えていたアンズだけど、攻撃は飛んでこなかった。
「ファイアーランス!」
アンデットさんからの攻撃が飛んでくる前にクレアが次の攻撃を仕掛ける。
それを防ぐアンデットさん。
だけど、アンデットさんからの攻撃は飛んでこない。
最初はアンズが防御とその他の担当で少し負担が多くないかな?と思ったけど、今はクレアにばかり負担がいっている。
だって防御に専念しようと思ってたのに、全然攻撃が飛んでこないからね。
少し余裕の出てきたアンズは攻撃も少し行うことにしたみたい。
「ねぇ、何で攻撃してこないのかな?
それから、凄く今更なんだけど、何であのまま?」
疑問に思ったのでサーシャに来てみることにした。
それからさっきからは特に気にせずに触れなかったんだけど、流石に気になってきた。
土壁でクレアの攻撃を防ぐアンデットさん。
だけどその体の表面には氷がついているまま。
その氷はアンデットさんと地面を繋げたままで移動できなくなっている。
何であのままなんだろう?
あのままだったら動けなくて回避しっずらいはずなのに氷をそのままにして溶かしたり砕いたりする様子がない。
まさか壊せないなんてことはないと思うけど。
もしかして、気づいてないなんて、ないよね?




