スキル
次の日、私たちはギルドへてやってきた。
用事は主にウルフロードの買取の件、それから何か依頼を二人で受けようと思っている。
ギルドの中に入り受付に行く。受付は昨日と同じ女の人だったのでウルフロードのことだと伝える。
「ルーフェスさん!お待ちしてました。ウルフロードの買取額はこちらになります。
ご確認いただいて問題が無いようでしたらギルドカードをお出しください。」
硬貨が大量に入った袋を渡してくれる。そのことにアンズは驚いていた。
そういえば昨日色々あって、ウルフロードのことをアンズに行っていなかった。
「ウルフロード?それに、そんな大金・・・。」
やっぱりこの量は結構多いみたい。
「これだけあったら入学金、足りるかな?」
「えっ、それだけあったら全然足りるよ!」
良かった、足りるみたい。
「それより、ウルフロードってそんな強い魔物倒してきたの?
さすが、魔王様・・・。」
私が魔王だと信じてくれて、子供扱いも無くなった。
「でも、ルーちゃんが魔王様でとっても強いのは知ってるけど、あんまり無理しないでね?」
と、思っていたら私の頭に手を置いて子供に注意をするように言ってくる。
まだ、子供扱いされてるみたい。
でも、なんだか新鮮でアンズになら子供扱いされてもいいと思ってしまう。
受付でお金をもらっ私達は依頼ボードの方は行く。
周りからは昨日私のことを見ていた人と見ていなかった人とでガヤガヤしてるみたい。
「おい、あいつ・・・」
「ウルフロードの・・・」
「おの少女がどうかしまのか?
それにウルフロードって昨日ギルドに持ち込まれたって聞いたが、そのことか?」
「お前、しらないのか!
そのウルフロードを持ってきたのがあの少女だ。」
「?く、ふはは、あの少女が、ウルフロードを持ってきたって、くくく。」
「あぁ、倒して持ってきたらしいぞ。」
「倒した?くくく、冒険者から買ったてんなら、まだ納得できるがあんな子供に倒せるわけないだろ。お前たちは何を言ってるんだ?くはは。」
「別に信じなくても良いがあの少女には手を出すな!
これは忠告だからな、もし何かあっても俺は知らないぞ!」
私のことで少し揉めてるみたい。
私もまたあんな事があったら嫌だから、できれば関わらないで欲しい。
「ルーちゃん、どんな依頼にする?」
周りの人たちの会話に耳を傾けていたらアンズが依頼ボードをみながら聞いてくる。
「私はどんなのでもいいけど、アンズはどんなのが良いとかあるの?」
「んー、後少しで入学金も大丈夫そうだから簡単な魔物討伐とかがいいかな。」
「じゃあ、それでいいよ。
うっと、簡単ってどんなの?」
「ゴブリンとか、角ウサギとか、ウルフとかかな?」
「うん、それで良いよ。
その依頼ってある?」
「今言ったのはいつも出てる依頼だからあるよ。
ゴブリンは魔石しか使えるとこはないけど放っておいたらどんどん繁殖しちゃって危険だからね。
角ウサギやウルフは食料としての価値があるから、いつも依頼が出てるの。」
「ふーん、なるほどね。
アンズはどれがいい?」
「ゴブリンかな。
ゴブリンなら魔石さえ確保できればいいけど、角ウサギやウルフは食用でもあるから綺麗に倒さないといけないんだけど、結構それが難しいあら。」
そっか、そうだよね。
綺麗な状態で倒すのなら首を一撃で落とすのがいい。
でもそれにはそれなりの威力がいる。
アンズは魔法で攻撃をするため、剣などの刃物で落とすより難しい場合がある。
「じゃあ、ゴブリン討伐にしよっか!」
ゴブリン討伐に決めて私たちはギルドを出て森に向かう。
このタイプの依頼は常時出ているため受けるときに報告はいらない。
倒したらその魔物の素材(今回はゴブリンの魔石)を受け付けてに持っていけば依頼達成となる。
街を出て森へとやってきた私たちは、まずはゴブリンを探す。
ゴブリンは森の浅い所にいるのですぐに見つかる。
「ルーちゃんは見てて、私がやる!」
見つけたゴブリンの数は3匹、アンズがどれぐらい魔法を使えるかわからないけど、この数なら多分大丈夫だとおもう。
危なくなったら助けに入ればいいしね。
アンズは手に魔力を集中させ水魔法をゴブリンに向けて放つ。
水自体に大した威力はなく3匹全てのゴブリンに当たったが全くダメージは受けてない。
なんで水を出しただけなんだろ?
そう考えているとアンズから不思議な魔力を感じる。
これは、スキル、かな?
するとゴブリンを鳴らしていた水が凍っていく。
スキルの効果だろう。
「今のスキルだよね?水を凍らせるスキル?」
凍らせるだけにしては複雑な魔力の流れを感じたけど・・・。
「スキルって言うのは合ってるけど、水を凍らせるスキルでは無いよ。
私のスキルは〈属性変換〉、色々なモノの属性を変えることができるスキルだよ。
でも、属性の近いものへの変換じゃないと必要魔力が多くてできないの。」
なるほど、かなり強力なスキルだな。
私にスキルの説明をしてくれたアンズは、凍って動けなくなったゴブリンに火魔法でダメージを与えていき倒した。
「そういえば、ルーちゃんはスキル無いんだよね?
ほとんどの魔王様は強力なスキルを持ってる手聞いたけど・・・。」
スキルは鑑定板に表示される。
昨日私が鑑定板を使って魔王だと証明した時、そこにスキルは表示されなかった。
だから私はスキルを持ってないと思ったのだろう。
それは、一応合っている。
「んー。アンズになら教えていいかな?
確かに私はスキルを持っていないけど、スキルは使うことができるよ。」
「えっ?どうして?」
「私は〈全能〉っていう力を持ってるんだ。
この力を使えば私の知ってるスキルは使い放題なんだ!」
アンズに私の力を終えてあげると目を点にして驚いている。
「例えば、アンズもう一回スキル使ってくれない?」
「えっ、うん・・・。」
アンズの使ったスキルをよく見てどういうモノなのかをしっかりと把握する。
それから私も水魔法を放ち、それに〈属性変換〉をして氷にする。
よし、成功!
「えっ、今のって、〈属性変換〉?
本当にどんなスキルも使えるの?
すごい・・・これが、ルーちゃんの、[理不尽魔王]の力・・・。」
その後しばらくアンズは固まっていた。