ダンジョン攻略 二人の決意
目の前に現れた魔物たちを全て「空間消滅」の魔法で消し去り一安心。
なんてことは全くなかった。
「き、貴様!ふざけるな!」
ど、どうしよう。
すごく怒ってる。
どうすればいいのか分からないのでとりあえずサーシャに視線を送る。
「……」
だけど、何も答えてくれなかった。
ちょっとサーシャ!
あの人凄くおこってるよ!?
何でそんなに冷静にしてるの!?
あわあわと私は慌てているけどサーシャはいつも通り冷静なまま。
「ふざけるなよ!我は、我はアンデットの王だぞ!」
そう叫んだ男性はフードを降ろした。
すると、そこに現れてのは骸骨の顔。
……え!?
この人もアンデットだったの!?
サーシャ以外全員驚いている。
……え!?
サーシャ知ってたの!?
「はい。初めから分かってました。
あれは魔物です。ですので倒しましょう」
そう言ってアンズたちに視線を送るサーシャ。
どうやらサーシャは二人にあのアンデットを倒させるみたい。
だけど、大丈夫かな?
「えっ、私たちが!?」
アンズが驚いて声を上げる。
クレアは無言で顔を青くしながら横に吹ていた。
そうだよね。
クレアはアンデットが苦手なんだもんね。
だけど、サーシャはそんなクレアに対してゆっくりと口を開く。
「クレア、苦手ならなおのことだ。
今後、こういった苦手なことがまた訪れるカもしれな。
お前はそう言った時のために、今ここに居るのだろう」
優しく話すサーシャ。
その言葉にクレアは顔を青くしながらも、しっかりと頷いた。
「そう、ですね。サーシャ様のおっしゃる通りです。
わたくしは強くなるために、ここに来ました。
ですので頑張ります!」
まだ少し震えているけど、その目だけは決意に満ちた光を宿していた。
クレア、カッコいい!
「でもサーシャ、あのアンデットの人、結構強いよ?
魔物とかいっぱい召喚してくるし」
確かに二人のためにダンジョンには来たけど、これは流石に無理だと思う。
「はい。ですので召喚した魔物はルー様に任せます。
そうすれば、今の二人なら恐らく大丈夫です」
サーシャが言うなら信じるけど……。
「貴様ら全員、殺す!」
かなり怒り心頭のアンデットさん。
また、魔物をたくさん召喚してくる。
「アンズもそれでいいな」
そんなアンデットのことはお構いなしにサーシャがアンズに問いかけていた。
「うん。私もクレアちゃんと一緒で強くなるためにここに来たんだし、頑張る!」
アンズもクレア同様に目に決意の光が輝いている。
アンズもカッコいい!
これは私も頑張らないと!
二人があのアンデットと戦える用意しないとだね。
さっそく召喚された魔物を「空間消滅」で消し去る。
この作業も慣れてきたね。
「き、貴様!我をコケににする気か!」
アンデットさんは怒りで冷静さを少し欠いてるみたい。
また魔物を召喚してきた。
だけど、その数はさっきより少ない。
段々と魔力も減って来てるみたい。
すぐさま魔物たちを「空間消滅」でけしさる。
「ふざけるな!」
また意味もなく魔物を召喚してくる。
そんなことをしても魔力を消費するだけなのに。
やっぱり、冷静さを欠いてるな。
「アンズさん!次ルーさんが魔物たちを消してくださったとき仕掛けます!よろしいですか!」
「うん!大丈夫!」
二人が私の前に出てくる。
「二人とも!危ないから後ろから攻撃してて!」
急に二人が前に出てきたのでびっくりした。
そんな二人に安全な後ろから攻撃してもらうように声をかける。
だけど、二人は私の言葉に首を横に振ってきた。
「確かにルーちゃんの後ろから攻撃するは安全だけど、それだと意味ないから」
「安全なところからただ、魔法を放っているだけでは、今回は意味がありません」
二人ともカッコいいなぁ。
二人とも今回は相当に怖いと思う。
恐らく自分たちより強いであろう敵と、自分たちでは倒せない魔物。
特にクレアはアンデットが苦手みたいだし。
それなのに二人とも、目に闘志が輝いている。
「分かった。頑張って!」
だから私は出来る限りのサポートをする。
私の仕事は魔物を何とかして、二人の敵をアンデットだけにすること。
「それじゃあ、消すよ」
「空間消滅」で目の前の魔物を消す。
だけど、それだけだと、また召喚されて二人の邪魔だ。
だから私は二人のために何か出来ないと考えた。




