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ダンジョン攻略 影の魔物

 「魔物、来たよ!」


 前方を警戒していたアンズが警告する。

 その声に前方を確認するとゆっくりとこちらに歩いてくる大きな影が見えた。


 「暗くて、見えないね」


 目をこらして見ても真っ黒な大きな影の正体が分からない。

 何だろう?と首を傾げていた私の疑問にサーシャが答えてくれた。


 「あれは、実体を持たない影の魔物です」


 影の魔物?

 そう言えば、そんなのもいたっけ?

 えっと•••••確か、倒しても消えちゃって、何にも残らない魔物だっけ?


 「ウォーターボール。<属性変換>」


 私が影の魔物のことについて思い出している間に、いつも通りアンズが先制攻撃を仕掛ける。

 地面が水に濡れ、スキルでその水が凍る。


 よし!

 何度も繰り返してきた流れで、とてもスムーズ。

 これで、あの魔物も動けない。


 いつも通り、この後はクレアがトドメを刺して終わりだと思ったんだけど、影の魔物の歩みは止まることなく、そのままゆっくりとこちらに近づいてくる。


 「あれ!?全く止められない!?」


 動きの止まらなかった魔物を見たアンズが驚きの声を上げる。

 私も驚いた。

 あの魔物に氷から抜け出す力があるようには見えないのにな。

 それに、一瞬も拘束出来てない。

 どういう事だろう?


 「よく見てください!

 あの魔物、少し浮いていますわ!」


 どういう仕組みかはクレアが教えてくれた。

 クレアの言葉によく足元を見てみると確かに少し浮いている。


 あー。

 確かにあれだったら凍らないよ。

 浮いてる魔物は初めて出てきたから全く気づかなかった。


 「よく自分たちで気づいたな」

  

 どうやらサーシャは初めから分かっていたみたい。

 マリンの方を見てみると、彼も満足したように頷いていたので気づいていたのだろう。


 「気づいてたなら教えてくれても良いのに」


 教えてくれたらビックリすることもなかったのに。


 「それでは、訓練の意味がありません。

 それに、どうしてルー様は気づいていなかったんですか?

 あの種類の魔物は初めてでは無いはずですし、いつももう少し注意深くしていてくださいと言っているのに•••••」


 呆れるように言うサーシャの視線から目を逸らす。


 だって、忘れてたんだもん。

 ずっと封印されていたんだし、忘れてても仕方ないよ!


 「浮いてるなら直接狙うね。

 そもそも、あの魔物動きは遅いみたいだし、動きをわざわざ止める必要なかったよ」


 そう言えばそうだ。

 いつもの流れで魔物が来たら足止めって、思い込んでたけど、そもそまゆっくり動く魔物には必要なかったよね。


 アンズの言葉に納得してうんうんと頷いている間に、アンズが影の魔物に目掛けて魔法を放つ。


 「アイスランス」


 放たれた氷の槍は影の魔物に真っ直ぐと飛んでいき、見事に命中した。

 と、思ったんだけど、氷の槍は魔物の身体をすり抜けて通路の先に飛んで行ってしまった。

 貫通したのかな?とも思ったけど、魔物の歩みは全く変わってないので、恐らく全く効いてない。


 「あれ?」


 魔法を放ったアンズが首を傾げる。

 私も意味が分からないので同じように首を傾げる。


 「ファイアーランス」


 アンズの攻撃が効かなかったのを見た後、すぐに詠唱して炎の槍を放つクレア。

 だけど、炎の槍は氷の槍同様、魔物に当たったと思ったら、身体をすり抜けていった。


 ん〜。

 どういう仕組みだろ?


 ちらっとサーシャの方を見てみる。


 「•••••」


 どうやら教えてくれる気は無いみたい。

 さっきも訓練って言ってたし、そうだと思ったよ。

 

 だけど、私に呆れた視線を向けてくるのは何で?

 サーシャの目が「何で分からないんですか」って言ってる気がするけど気のせいだよね?

 だから、私は長い間封印されてたから、忘れてても仕方ないんだよ!

 

 「もしかして、魔法が効かないとか?」


 私がサーシャの視線から逃げていると、考え込んでいたアンズが口を開いた。


 「そう、かもしれませんね。

 そうなりますと、わたくしたちに攻撃する手段が無くなりますが•••••」


 アンズの想像に肯定するクレアだけど、その想像だと二人の攻撃手段が殆どなくなってしまう。

 二人は魔法がメインだからね。

 物理攻撃は殆どない。


 「う〜ん。一応短剣は持ってるけど、解体用だし。

 近づくのは流石に怖いかな。

 石でも投げてみる?」


 「そうですわね。

 本当にそれで効果があるかも試せますし」


 クレアが同意したのを見てアンズが近くに落ちていた石を拾って魔物に投げる。

 だけど、その石もさっきの魔法同様に魔物の身体をすり抜けていった。


 あれ?

 魔法が効かないなら、物理的な攻撃なら効くと思ったんだけど、また効いてない、

 本当にどういうことだろう。


 「「「う〜ん」」」


 再び三人で首を傾げで考え込む。

 影の魔物は本当にゆっくりとしか動かないからまだまだ考える時間はある。

 そんな私たちを見てサーシャがアドバイスしてくれた。


 「少しヒントをやろう。

 さっきお前たちが使った魔法は何だ?」


 さっき使った魔法?

 アンズが「アイスランス」でクレアが「ファイアーランス」だよね。

 だから、何?


 「そう仰るということは魔法が全く効かない、ということでは無いんですね。

 そうなると、魔法の種類?」

 

 そうなの?

 えっと、さっきの二人の魔法から考えて、槍の魔法がダメなのかな?


 「ファイヤーボール」


 そう思ったので試しに火球を打ってみた。 

 すると、火球はすり抜けることなく魔物に当たって弾けた。


 やった!

 やっぱり、槍系の魔法がダメなんだね。

 ちなにみ威力は凄く抑えたので魔物はまだまだピンピンしている。

 火球が当たって、ちょっとだけ怯んだだけだ。


 「ルー様!?何してるんですか!?ルー様は手を出さないでと初めに言っていたじゃ無いですか!?」


 「ごめん。だけど、気になって•••••。

 それに、倒してないから良いでしょ」


 私が悪いので素直に謝る。

 だけど、どうしても気になって試したみたかったのだ。


 「それに、どうしてダメージを与えるられてるんですか!?あの魔法で!?」


 えっ?

 槍系の魔法だからじゃないの?

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