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想いの種

 私とアンズ、ギルマスはあの後、ギルドにあるギルマスの部屋へとやって来た。

 アンズに剣を刺した男を同じ目に合わそうとしたんだけど、アンズに止められるてしまった。


 「ルーフェス、これに魔力を注いでくれ。」


 ギルマスが私に板状のものを渡してくる。

 これは世界樹の鑑定板だ。

 おそらく私が魔王か否かを確かめるためだろう。

 鑑定板を受け取り魔力を注ぐ。

 すると鑑定板に私の名前と「魔王」という文字が浮かび上がる。


 「ほら、これで信じてくれた?」


 「・・・本物・・・」


 「・・・ルーフェスちゃん、本当に、魔王様だったんだ・・・。」


 これでアンズも信じてくれたみたい。


 「ルーフェス、様、貴方はいつ魔王に?」


 「別に無理して畏まらなくていいよ!

 いつからかは、分かんない。

 今まで封印されてて、あれからどれぐらい経ったか分からないから。」


 「封印?4000年前の世界大戦は知ってるか?」


 丁寧な口調をすぐにやめたギルマスが聞いてくる。

 世界大戦?

 そんなの知らない。

 つまり4000年は封印されてたってこと?


 「知らないか、あの世界大戦は子供でも知ってるような事だ。

 それを知らないということは、それ以上前に封印されていたという事だろう。」


 そっか、あれから4000年も経ってたんだ。

 皆元気にしてるかな?


 「お前の事は分かった。

 それでウルフロードのことだが、素材を全部売るで良いんだな?

 金は少し待ってくれ、解体をやっておくからまた後日ギルドに来てくれ。」


 そう言われたので私たちはギルドを出る。

 アンズもあんなことがあったので今日はテントに戻って休むことにした。

 それに、アンズに言わないといけないことがある。



 テントに戻ってきた私たちはお互い向かい合って座り、私はアンズの顔をじっと見て、額に軽くデコピンをした。


 「アンズ、なんであんな事したの?

 死んじゃってたかもしれなかったんだよ!」


 「ごめん・・・ルーフェスちゃんが・・・危ないと・・・思ったら・・・勝手に・・・」


 涙目になっているアンズの頭に軽く手をおく。


 「でも、ありがと、私を助けようとしてくれて。

 今まで誰かに助けてもらうことなんて無かったら、驚いたけど・・・嬉しかったからな・・・。」


 少し頬を染めて照れながららアンズに微笑み混じりに告げる。

 私は最強として皆んなに知られていたから、私をわざわざ庇ってくれるような人はいなかった。

 むしろ喧嘩を売ってくる人の方が多かった気がする。

 だから、なんだか新鮮な感じがして、少し胸が熱くなった気がする。


 「ごめんね・・・ルーフェスちゃん・・・逆に迷惑かけて・・・」


 涙目だったアンズの目から涙が溢れ頬をつたう。


 「な、泣かないで!

 全然、迷惑とかでは無かったから!」


 私はアンズの頬をつたっていた涙を拭う。


 「そ、そうだ、私のことはルーでいいよ!

 仲のいい人は皆そう呼ぶから!」


 「うん、ありがとう、ルーちゃん。」


 アンズを宥めた後、昼食の時間帯だったのでご飯を食べることにした。

 ご飯を食べている間は私の話をしたり、アンズから色々な話を聞いたりと、他愛無い話をたのしんでいた。


 ご飯を食べ終わった後は、今日はもともとギルドで簡単な依頼を二人で受けて仕事をする予定だったのですることがなくなってしまった。

 なのでアンズが朝のお詫びもといお礼を兼ねてお菓子をつくってくれることになった。

 昨日貰ったクッキーはなんとアンズの手作りだったらしい。すごく美味しかったので、てっきりお店で買ったものだと思ったていた。

 今から作ってくれるのはパイらしい。

 私も手伝いけど、私は料理がすごく苦手なので大人しく見学しておくことにする。

 昔、ケーキを焼いただけのはずが何故か爆弾が出来上がり、食べようとして、爆発して驚いたのを覚えている。何どか挑戦したけど全部失敗に終わっている。

 そもそも私には料理系のスキルが使えるのにどうして失敗したのか分からない。

 本来スキルがあればたまにの失敗はあっても、毎回失敗するということはないはずなのに、何故か毎回失敗する。

 スキルを使っても料理が出来ないなんて、すごく理不尽だ。


 あれから少しの時間が過ぎ、パイが完成した。

 そこにあるのは、すごく美味しそうなパイ。

 パイから放たれる香りもすごく美味しそうで、お腹がぐぅぅぅと鳴いて空腹を告げてくる。


 「ルーちゃん、おいしい?」


 「すっごく美味しいよ!おりがと、こんな美味しいの作ってくれて。」


 「良かった。さっきも言ったけど、私こそありがとう。」


 パイのお礼を告げた私に、朝の件のお礼を満面の笑みで告げてくれる。

 ・・・なんか、アンズの笑顔ってステキだなって思う。

 あの件からアンズは私にとって特別な存在になった気がする。

 このアンズへの気持ちは、朝のことで私が普段されないことをされて新鮮に感じてのモノなのか、それとも違ったモノなのかは分からないけど、友達以上の好意を抱いているのは間違いないと思う。


 「ルーちゃん、どうかした?」


 アンズへの気持ちの事を考えて、アンズの顔をずっと見てしまっていた。


 「ううん、なんでも無いよ。」


 この気持ちは少し気になるけど、悪い感じではないのであまり深く考えないことにした。

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