ダンジョン攻略 元に戻った
少しの間アンズとクレアに抱き着いて泣いた後、暫くして落ち着いた。
皆に恥ずかしい所を見られたな。
「落ち着きましたかルー様。
それなら早く、身体を戻してくれませんか?」
感動の空気を割るようなサーシャの言葉。
もう少し、この感動に浸ってたっかたのに!
「ふふ。確かにサーシャさんの身体で泣いて抱き着かれてると、ちょっと変な感じ」
「わたくしも、サーシャ様の身体で抱き着かれていられるのは、少し落ち着きませんわ」
二人も!?
もっとこの感動に浸っていようよ!?
「それと、ルー様のやらかしはいつものことなので、気にしないでください。
ルー様には楽しくしていてほしいので。
泣き顔何て似合いませよ」
…‥。
サーシャも慰めてくれているのだろうか。
少しだけ顔が赤くなっている気がする。
サーシャもありがとう。
でも、いつもやらかしているって言うのは余計だと思う。
それ、いらなかったよね?
そろそろ私とサーシャの身体を元に戻すことにした。
方法は入れ替えた時よ同じように入れ替えるだけ。
スキル<身魂分離>で身体と魂を分けてから、転移魔法の応用で魂だけを入れ替える。
その瞬間、私の目にはサーシャの身体が移り、目線の高さもいつも通りに戻った。
やっぱり、自分の身体が一番だね。
「はぁ。やっともとに戻れた。
…‥もうしないでくださいね」
戻れたことに安堵のため息をついた後、私を注意してくる。
そんなに何回もしないよ。
サーシャの身体は新鮮で楽しかったから、また今度やるかもだけど、すぐにはしないと思う。…‥多分。
「…‥ルー様?」
そんな私の考えを察したのか疑うような視線を向けてくるサーシャ。
それに対し私ははっきり《・・・・》と「しない」と答えた。
「どうして目を逸らしながら控えめな声で言うんですか!?
はっきりと私の目を見て、大きな声で答えてくだしい!」
あれ?
そうしたつもりだったけど。
無意識に「もしかしたらまたするかも」と言う心が出ちゃったのかな?
今度こそサーシャの目を見て「しない」と答えた。
「‥‥はぁ。もういいです」
何で呆れるの!?
今度はしっかりと目を見て大きな声で答えたはずだよ!?
もしかして、また目がそれてたり声がちっさかった!?
そんなことはないはずだけど…‥。
「ふふ。また見て見たいけどね」
アンズが微笑みながら呟いた。
そんなアンズにサーシャは言葉を返す。
「余計なことを言うな!また何か面倒なことをやらかすかもしれんだろ!?」
酷い!?
何度も言ってるけど私はそんなにやらかしてない。
料理の時くらいだ。
あっ!
そうだ!ご飯!
色々あって忘れてた!
夜ご飯をどうしようかって話をしていたところだった。
そんなことを思った瞬間、「ぐ~」という大きな音が響いた。
「あはは。ご飯にしよう!」
もちろんなったのは私のおなか。
おなかが「早く食べたい」と訴えている。
サーシャの身体の時はこんなに強く空腹感を感じなかったけど、サーシャってもしかして小食?
いつも私と同じくらい食べてると思うけど。
「…‥そうですね、夕食にしましょう。
身体が戻ったことですし、私が作ります。
少し待っていてください」
私の提案にサーシャが同意してくれ、更にサーシャが作ってくれると提案してくれた。
今度は大丈夫だよね。
さっきは私の身体で作ったからって理不尽に爆発したけど、今なら大丈夫のはず。
サーシャは料理を爆発させたことがないと思うし。
ていうか、何で私が作ると爆発するの?
もしかして誰かに呪いとかかけられてる?
「ルー様、新しい食材をお願いします」
サーシャの指示に従い食材を次々と収納魔法の中から取り出す。
調理道具はサーシャ自身の収納魔法から取り出して、自分の愛用のものを使っていた。
これで久々(今日の朝以来)にまともな料理が食べられるな。
人は三食、きちんとしたものを食べないいけないと、誰かが言ってた気がする。
それなのに昼は板(干し肉)だった。
もうあれは嫌だ。
だから明日もサーシャに作ってもらおう。
もし明日も板だったら、こっそり抜けだしてご飯を買ってこよう。
そんなことを考えながら、お肉の焼ける美味しそうな音を耳にし、料理が完成するのを待っていた。




