ダンジョン攻略 邪魔なの?
結界で周りを囲み誰からも邪魔されなくなったところで料理を始めることにする。
ん~。
作るのはサーシャと一緒でいいか。
ソースは作れないから、塩でいいよね。
今日、アンズたちが倒してくれたオオカミを収納魔法から取り出す。
<解体>のスキルでサクッと解体して材料の準備は完了。
後はお肉を焼くだけ。
火をかけた鉄板の上に生のお肉を置いて待つ。
ただの焼肉だからこそ焼き加減が大事だ。
暫く焼けていくお肉をずっと見ながら待っていると、そろそろの予感。
<料理>スキルを発動させていたので、切ったりする手間もスムーズに焼き加減なども完璧に分かる。
スキルに任せてお肉を裏返そうと減れた瞬間、
!!!!!!!!!!??????????
何故かお肉が爆発した。
何で!?
爆発のせいで結界内が煙に包まれる。
私の身体も爆発のせいで、全身にやけどを負ってしまう。
もちろんすぐに自己回復をしたけど、服はボロボロだ。
これ、サーシャに怒られるかな?
なので服も一緒に直しておいた。
よし、これで怒られない。
後は結界内を綺麗にしよう。
煙のせいで視界が悪い。
密閉されてるので自然に綺麗になることもないし、自分でしないと。
邪魔な煙を全て収納魔法にしまう。
風の魔法だとダメだしこれが一番楽だよね。
やがて煙は晴れて、視界が回復する。
私の目の前にあった食材も調理道具も綺麗になくなっていた。
そして、みんなの顔も見えるようになる。
「「「…‥」」」
皆の顔は呆れ顔だった。
…‥。
だ、だって!
サーシャの身体なら出来ると思ったんだもん。
だからそんな目で見ないで!?
「…‥だから言ったじゃないですか…‥」
呆れた顔で呆れたように呟くサーシャ。
でも、私の理屈だと…。
「ルー様は理屈の通じない[理不尽魔王]ですから」
そんなことを言われたって。
「る、ルーちゃん。落ち込まないで」
結界を解いて落ち込んだ私に近づいて頭を撫でながら慰めてくれるアンズ。
いつもは私の方が背が小さくて上から撫でてくれる感じだけど、今は大体同じくらいの高さなので、正面から顔を見て撫でてくれている。
やっぱりアンズは優しいな。
そんなことを思っていると、クレアも近づいてきてアンズと同じように頭を撫でてくれる。
「わたくしたちの為にありがとうございます。気持ちだけで嬉しいですわ」
クレアも優しい。
「うん。ごめんね」
二人に頭を撫でられて心がポカポカしてくる。
けど、何でだろ。
ポカポカなはずなのに、ちょっとだけ胸が痛い気がする。
「じゃあ、マリンが作るのはどう?」
どうしても板を食べたくなかった私は、また思いついて提案してみる。
「すみません。私は料理できないので」
けど、ダメだった。
と言うことは、またあの板になってしまう。
嫌だな~。
「諦めてくださいよ…‥」
あきらめの悪い私に呆れ顔のサーシャ。
でも、諦めたらご飯があの板になるんだよ!?
サーシャはあんな板が食べたいの!?
「やっぱり、私が作ろうか?」
そういうアンズの優しい気持ちは嬉しいけど、疲れてるアンズには申し訳ない。
「…‥ルー様が何かやらかしている方が疲れると思うますが」
酷い!
私はただ、美味しいご飯が食べたくて、それから皆にも美味しご飯を食べてほしいだけなのに。
「それなら、買って来てはどうでしょう。ルーフェスさんは転移魔法が使えますよね」
マリンが提案してくれる。
そうだ!
そうだよ!
何で今まで気づかなかったんだ。
作れないなら買ってくればいいだけじゃん。
「じゃあ、皆で買いに行こう」
こういう時は皆で行く方が楽しいしね。
「それって、訓練になるのでしょうか?」
クレアが首を傾げているけど気にしない。
休むのは大事だし、途中でダンジョンから出ても問題ないよね。
「本来なら、食事の用意や食事中の警戒も含んだ訓練でしょうが…‥
まぁ、ルー様がいる十点で今更でしょうし、いいんじゃないでしょうか」
少し引っかかるけど、サーシャも賛成してくれた。
「アンズはどう?」
「ん~。別に私が作っても良かったんだし、私はいいよ。
ダンジョン訓練のことは、私も今更な気がするし、また次があったらその時頑張るよ」
…‥。
もしかして、私、邪魔?
アンズもクレアも強くなりたいからって、今回の訓練に参加したのに、私邪魔してる?
私、来ない方が良かった?
魔力譲渡のときも私が悪かったし、今も私が居なかったら、休憩中の訓練もできてた?
明日だって、戻るんじゃなくてその場で滞在してることもできた。
三日目に私に付き合うこともなかった。
やっぱり私、今回の訓練には来ない方がよかったのかな?
皆に迷惑しかかけてない気がする。
今からでも帰った方がいいかな?
ごめんね。
アンズ。クレア。
二人の邪魔ばかりしちゃって。




