ダンジョン攻略 料理がしたい
「気を付けて食べてくださいね」
そんなことを言ってくるサーシャだけど、これって、サーシャの作ったご飯だよね?
いくら身体が入れ替わっていて私の身体で作ったからって料理が爆発するようにはならないと思うよ。
まあけど、今は私もサーシャの身体だし念のために警戒はしておこう。
サーシャの身体に傷をつけるのは嫌だし。
防御魔法を口の中に張って食べようかとも思ったけど、それだと味も分からなくなりそうだしやめておいた。
ちょっと不安だけど、一口食べてもし爆発してから対処したら大丈夫だよね。
「いただきます」
オオカミの焼肉をフォークで一口大に切り口に運ぶ。
お肉を口に入れて噛みついたとたん。
「ん!!??」
なんと爆発した。
瞬時に自己回復をしたので大したことにはならなかったけど凄く痛かった。
というか、何で爆発するの!?
ただお肉を焼いただけだよ!?
ソースは一から作ってたけど、それでもおかしいよね!?
今までサーシャが料理を爆発させたことなんてなかったし、これも私のせい!?
私の身体で料理するだけで、爆発物に変わるの!?
おかしい!?
理不尽だ!?
「大丈夫ですか!?」
皆が慌てて私の周りに集まってくる。
それに大丈夫と返した。
もう完全に回復したからサーシャの身体に傷一つない。
「まさか、本当に爆発するとは…‥」
私が大丈夫なことを伝えた後、ほっとしてからため息をつき、そんな言葉を口にする。
何その呆れた顔。
作ったのはサーシャだよ!
「これもルーちゃんの身体で作ったからなの?」
アンズが首を傾げながら訊いてくるけど、頷きたくない。
多分その通りだけど、認めたくない。
「じ、実は、サーシャも料理が苦手なんだ…‥」
ちょっと嘘をついてみる。
そんな私にサーシャはジト目だ。
やめて!
私の身体でそんなジト目で見てこないで!
「でも…‥サーシャ様は、料理がお上手だったような…‥」
「そうなの?」
「はい。以前、作ってくださったことがありますので」
うっ。
まさかクレアがサーシャの料理を食べたことがあるとは思わなかった。
それを言ったクレアも、聞いたアンズとマリンも私の方を見る。
「ルーちゃん?」
皆、ジト目だ。
「…‥ごめん」
皆のジト目に耐え切れずについ謝ってしまった。
「はぁ。もういいですよ。それより、この私が作った料理は収納しといてください。危険物なので」
危険物って。
自分で作ったやつだよ?
その通りだけど。
サーシャに言われた通り、サーシャの作ってくれた爆発物は収納魔法でしまっておいた。
「と言うことで、夕食は昼食と同じものになりますね」
そうだ!
サーシャが出来ないってことはそうなる!
また板になるのか…‥。
あっ!
そうだ!
「まって!私が作るよ!」
「「「えっ!!??」」」
皆驚いた顔でこっちを見てくる。
「待ってください!どうしてそうなるんですか!こんなところでルー様が料理なんて危険です!」
お昼の時と同じように止めてくるサーシャだけど私には考えがある。
「大丈夫大丈夫。今から説明するから」
それから私は説明した。
と言いても、難しいことじゃない。
私が料理を作って大丈夫な理由。
それは、今の私はサーシャの身体だからだ。
サーシャが私の身体で料理をして爆発したなら、いつも美味しい料理を作るサーシャの身体で私が料理を作れば、同じく美味しい料理ができるはず。
そう説明したんだけど。
「ダメです」
サーシャに即答で却下されてしまった。
「何で?何処がダメなの?」
「いくら身体が違うからと言ってルー様が作る事には変わりありません。なのでダメです」
それはおかしい。
さっきはそうじゃなかった。
私の身体で作ろうがサーシャが作ったことに変わりはない。
だから、爆発何て起こらない。
けど、完成したのは爆発物。
つまり、どの身体で作るかが関係するということ。
だから、理屈的には今の私なら爆発することがないのだ。
それをもう一度説明したんだけど。
「ダメです」
帰ってきたのはさっきと同じ答え。
どうしてダメなの?
それは理不尽じゃないかな?
「ルー様だからです」は理由になってないよ!?
もういいもん。
勝手に作ることにする。
絶対、大丈夫。
何も、問題なんてない。
「ま、待ってください!」
慌てて止めようとするサーシャだけど、私の周りを結界で囲って誰も入れないようにする。
私が正しいことを証明してあげる。
「マリン!これを壊してルー様を止めてくれ!」
おっと、危ない。
今のサーシャなら魔法も使えないからって油断していた。
マリンでも壊せないように、強力な結界を張りなおす。
これなら、例えいつものサーシャでも壊せないはず。
「っく!…‥どうなっても知りませんからね!」
私が強力な結界を張りなおしたのを見て諦めるサーシャ。
大丈夫だよ。
美味しい料理を作って、驚かせてやろう。




