ダンジョン攻略 サーシャの料理
やっと、ご飯の時間だ。
今日はオオカミがいっぱい狩れたし、オオカミの焼肉かな?
本当は甘いものがいいけど、それだとサーシャに怒られるので、ちゃんとしたご飯を食べることにする。
それに、ここには料理が凄く上手なアンズも居るんだし、アンズの料理なら何でも美味しいから、何でも食べれる。
「アンズ。お願いね」
アンズに料理のお願いをしながら、収納魔法に入っている調理道具を次々に出していく。
するとマリンと話をしていたサーシャがこちらの話に入ってきた。
「ルー様。何か忘れていませんか?」
忘れている?
何も忘れてないと思うけど…‥?
あっ!もしかして!
「わかってるよサーシャ。
料理する前は手を洗わないといけないもんね。
忘れてないよ」
ちょっと忘れてたけど。
綺麗に手を洗えるように、石鹸も取り出す。
水は手を出してもらえれば、直接魔法で洗える。
「そうじゃありません」
だけど、私の答えは間違っていたみたいだ。
違うの?
手を洗うのも大事なことだよ。
そっか、サーシャもそれは忘れてたんだね。
私も忘れていたし、仕方ないよ。
それより他の忘れてることって何だろ?
調理道具は全部出したと思うけど…‥?
あっ!分かった!
「もしかして、私に手伝うなって言いたいんでしょ!
分かってるよ!」
頬を膨らませプイっと顔をそむける。
どうせ私が手伝ったら、また爆発させるとか思ってるんだ。
ホント、失礼だな。
私だって、毎度毎度爆発させてるわけじゃないし、手伝いくらいなら大丈夫なのに!
それでも、手伝う気はなかったけどね。
念のため。
そう、念のためにね。
「それも違います」
またまた違った。
けど、今のが違うってことは、手伝っていいってことだよね!?
「あっ、えっと…‥ルーちゃんは、休んでて?」
アンズに断られてしまった。
なんか、悲しい。
けど、これも違うなら正解って何なの?
他に忘れてることなんてないと思うけど。
「昼食のことです」
お昼ご飯?
確か、お昼は板を食べたんだっけ…‥。
「あっ!」
そっか。
その板を食べた理由がアンズに料理をさせないためだった。
疲れているのに悪いからって。
と言うことは、またあの板なの!?
あんな板、もう食べたくないけどな。
「大丈夫だよ。私、作るよ」
アンズがそう言いながら、調理道具を手に持つ。
やっぱり、アンズは優しい。
でも、休まないとダメだし…‥。
「わたくしも手伝うので大丈夫ですわ。楽しみに待っていてください」
クレアも優しい。
でもなぁ…‥。
「…‥二人とも、休んだ方がいいぞ」
サーシャが二人を休ませるように言うが。
「大丈夫。ルーちゃんのお陰であんまり疲れてないし」
「それに、ルーさんに、美味しいものを食べてもらいたいですから」
う~。
二人が優しすぎる。
でも二人には休んでほしい。
そうだ!
「じゃあ、サーシャが作ってよ!
それならいいでしょ?」
それだったら二人も休めるし、板じゃなくて、ちゃんとしたご飯が食べられる。
これは、一石二鳥だ!
「私が、ですか?
確かにそれなら、問題ないですが…‥」
何か不安のあるような顔をするサーシャ。
「何か問題あるの?」
「いえ。今はルー様の身体ですのでちゃんとした料理が作れるか不安で」
なにそれ!?
何て失礼な!?
身体が入れ替わってても、料理には関係ないでしょ。
私の身体だから出来ないとか、理不尽すぎる。
「普通は入れ替わっているだけなので、大丈夫だとは思ううのですが、
いえ、普通は入れ替わるのもおかしいんですけどね。それは置いておいて、
ルー様の身体ですので、何が起こっても不思議ではないと思うんです」
そんなことはない。
私の身体だからって料理が爆発物になるなんてことはない。
「そもそも、普通の状態でも料理は爆発しませんけどね」
うっ。
そんなことないはず。
私以外にも爆発させちゃう人はいるはず。
「まあ、一度作ってみましょうか」
なんやかかんや言って、作ってくれるみたい。
サーシャもやっぱり優しいな。
けど、失礼なことを言うのをやめてくれたらもっと嬉しいのにな。
そうしてサーシャが料理を作てくれた。
作ってくれたのはオオカミの焼肉。
お肉は焼いただけだけど、一緒にソースも作ってくれた。
サーシャが作っているところをアンズとクレアの二人はずっと眺めていた。
何か質問もしているようだった。
「ルー様どうぞ。お気をつけて」
そう言いながら出来上がった料理を出してくれる。
焼肉の上に作っていた緑のソースが乗せられていて凄く美味しそう。
香りも食欲を掻き立ててくる。
おなかもぐ~と、なってしまった。
サーシャの料理食べるの久しぶりだな。
サーシャも料理が上手だから楽しみだ。
でも、その前にひとつ言いたいこたがある。
「気を付けって、何!?」
こんな見た目なのに、気を付ける事なんてないよ。
それにご飯を出して「気を付けて」はおかしいと思う。
「いつでも回復できるようにしておいてください」
私の言葉を無視して言ってくるサーシャ。
大丈夫に決まってるじゃん。
そう思ったけど、今はサーシャの身体だしいつでも回復できるようにしておいた。
「いただきます」




