ダンジョン攻略 怒ってるのに
サーシャ(中身は私)が胸を張っている姿は凄く珍しいので、見て見たい。
そう思い、魔法で鏡を出して見て見ることにする。
「おー!」
鏡に映るのは自信満々なサーシャの姿。
こんな自慢げで胸を張っているサーシャは初めて見たかもしれない。
「何してるんですかルー様」
ジトっとした目で訊いてくるサーシャ。
「自慢げなサーシャが珍しいから見ておこうと思って」
なので素直に答える。
そうするとサーシャに叱られてしまった。
「やめてください!」
やっぱり自分に怒られるのって変な感じだ。
「そんなことより、これ、どうするんですか」
そう言いながら私が「空間消滅」で開けた空間を指さすサーシャ。
どうするもなにも、そこにテントとか張って寝るんだけど。
それに、ほら、アンズだって拍手してくれてるでしょ。
アンズの方に視線を向けながら、そうサーシャに言う。
私の視線の先には拍手をするアンズが。
だけど、そのアンズがどこか遠い目をしているような。
「あれはただ、呆れているだけです」
「そうなの?」
サーシャの言葉に首を傾げながらアンズに答えを求める。
「あはは。そうだね。流石ルーちゃんだね。うん」
ほら。流石って言ってくれてるじゃん。
つまり褒めてくれてるってことだよね。
サーシャの言葉に肯定しているようなことも言ってたと思うけど気にしない。
「はぁ。もういいです」
と言うか、なんでマリンは驚いているんだろう。
クレアはアンズと似たような表情だけど、マリンが何に驚いてるのか分からない。
なんか最近、驚かれすぎじゃない?
封印されている間に、常識が色々と変わったのかな?
そんなことを考えながら、疑問をマリンに訊いてみる。
「あぁ、それはですね。ダンジョンを破壊したからです」
マリンから帰ってきた言葉に首を傾げる。
ダンジョンを破壊したから?
どういうこと?
なんで壊しただけで驚かれるの?
「ルー様。それはですね。
世間ではダンジョンは破壊不可能とされているからです」
「えっ!?そんなことないよね!?」
「はい。これはルー様に限らず、ダンジョンを壊せる者ならそれなりにいます」
私とサーシャの会話に更に驚いた顔をするマリン。
そして、失礼なことを呟いた。
「ダンジョンは破壊不可能じゃない…‥。
しかも、理不尽なルーフェスさん以外でも、壊せる者がいる…‥。
ルーフェスさんならともかく…‥他にも…‥」
ちょっと!
理不尽なって、私認めてないからね!
皆が勝手にいつもいつも[理不尽魔王]って言ってるけど、本当に私のどこが理不尽なのか教えてほしい。
そう言ってくる方が理不尽だ。
それから、ならともかくっていうのも理不尽な物言いだと思う。
マリンにまでそんなこと言われるとは思わなかった。
今日初めて会ったばかりなのに。
これって、サーシャが私に失礼なことばっかりいってくるせいじゃないかな!?
そう思い、サーシャに睨むような視線を向けて見る。
「なんですか?」
「マリンにまで理不尽なこと言われたのってサーシャのせいだよね!」
だから私は怒ってるよ。
そういう意味を込めてサーシャをみらんでたのだけど。
「ぷっ。あっ、ごめん」
何故かアンズに笑われてしまった。
何故笑ったのか問い詰めようとアンズの方に視線を向けると、その隣ではクレアが口を押えて肩を震わせている。
クレアは笑うのを我慢しているみたいだった。
「なんで笑うの!?
私は怒ってるんだよ!?」
今度は怒りを二人にも向けて見たんだけど。
「ごめんね?サーシャさんの身体なのに、怒っているところが、全然怖くなくて。
それに、どこか可愛くて。ルーちゃんらしいなって、つい」
「わたくしも、アンズさんと同じっです。
サーシャ様の身体で、そんん可愛らしく怒っていられると、つい」
なんで!?
可愛いって言ってくれるのは嬉しいけど。
サーシャの身体で怒ってるんだからもっと怖いよね!?
「ルー様。落ち着いてください。
それより、ご飯にしましょう」
ご飯!やった!
唐突だけどご飯は嬉しい。
「サーレイシャ様、宜しいのですか?」
「あぁ。せっかく休める場所も確保できたんだし、ここで休もう」
「ここって、大丈夫なんですか?」
「問題ない。ここを作ったのは、あの、ルー様だぞ?」
サーシャとマリンが何か会話をしだした。
だからサーシャ。あの、とかつけないでよ。
また怒るよ?
けど今はお腹がすいているので許し上げる。
私は心も広いからね!
「ルーちゃん。何で胸張ってるの?」
「何でもないよ。気にしないで」
無意識のうちに胸を張っていたみたい。
さっき思ったことをそのままいうとまたツッコまれそうだったので、口には出さなかった。
そんなことより、早くご飯にしよう。
今日は二人ともつかれているだろうし、美味しいものをいっぱい食べて、いっぱい寝るのが大事だよ。




