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ダンジョン攻略 入れ替わりの副作用

 私とサーシャが入れ替わったままの状態でダンジョンを進む。


 そうして進んでいき、問題に当たった。


 「皆さん、前!魔物です!」


 慌てた声を出すマリン。

 彼の指さす方を見ると確かに魔物がこちらに近づいていた。

 

 こちらに向かってくるのは四体のオオカミの魔物。

 朝からよく見る魔物だ。

 だが、一つ違ったのは、


 「えっ!?」

 「近い!?」


 今までと違っていたのは、魔物との距離。

 今まではサーシャが教えてくれて、どんなに速い魔物でも余裕をもって教えてくれていた。

 だけど今回は距離があまり離れていない。

 だからその分、アンズとクレアに余裕が消えている。


 二人ともオオカミとの距離の近さに動揺して、戦闘態勢をとるのを忘れているようだ。


 このままだと、二人とも危ないので4匹すべてのオオカミを眠らせることにした。


 「二人とも落ち着いて」


 「あっ、うん。ごめん。急に来たからびっくりして」

 「わたくしも、油断、していましたわ」


 眠ったオオカミを見て冷静になるアンズとクレア。

 

 「すみません。私も油断していました」


 二人と同じように動揺していたマリンも落ち着き、頭を下げてくる。

 

 確かに油断はいけない。

 さっきその話をしていたばかりだ。

 でもこれはサーシャにも悪いとこがあると思う。


 「サーシャ。何で教えてくれなかったの?

 サーシャが教えてくれないから気づくの遅れたでしょ」


 お姉さんぶって問いかけてみる。

 いつも私が注意されてばかりだから、今が反撃のチャンス。


 「それはすみません。 

 ですが、それはルー様のせいでもあるのですよ。

 体が入れ替わっているせいで、私はスキルも魔法も使えないのです」


 …‥。

 え?

 どうして?

 私は普通に使えるけど。


 「私を[理不尽魔王]と同じにしないでください。

 魂が自分の身体と離れているのです。普通は自由に身体を動かすこともともできません。

 今こうして私が動いているのも、意味が分かりません」


 そんなことはない。

 体を動かせているのも、ちゃんと不調が出ないように調整したからだ。

 意味が分からないって、サーシャはまだまだスキルと魔法について理解が甘いんだと思う。

 そんな言いかたされるのは理不尽だ。


 それから、この状態でスキルの魔法も使う方法はある。

 前に教えたと思うけど、忘れたのかな?

 仕方ないなぁ。

 もう一回教えてあげるよ。


 「スキルと魔法は魂で使うんだよ」


 体が違っても魂は変わらない。

 なので魂のみで使えば簡単だ。

 体を無視して使えばいいだけなのだ。


 そんな私の言葉にため息をついてから口を開くサーシャ。


 「あのですねルー様。それが仏は出来ないと言っているんです。

 魂だけで使うってどういう意味ですか。何度聞いても理解できません」


 酷い。

 せっかく分かりやすく説明したのに。


 サーシャはいつもそうやって屁理屈ばかり言って、諦める。

 いけないよ。そういう所は。

 何事にも挑戦が大事なんだから。


 「屁理屈ではありません。ただ、事実を述べているだけです。

 誰しもルー様の理不尽な理で生きてはいません」


 理不尽な理ってなにさ。

 皆はいつもいつもそうやって私を理不尽呼ばわりするけど、皆の方が理不尽だ。

 皆、酷い。


 「もういいよ。私がみんなに教えるから!」


 そう宣言して前に進む。

 オオカミに止めを刺して収納し、通路を進んでいく。


 別にサーシャが出来ないんだったら、私がすればいいんだもんね。

 

 「ルー様。すねないでください」


 「別に、すねてないよ!」


 すねてないもん。

 ちょっと怒ってるだけだもん。


 「それでは、怒らないでください」


 「怒ってもないもん!」


 別に怒ってもいない。

 ただ、えっと…‥

 腹を立てているだけだもん。


 「それは一緒では…‥?」


 一緒じゃないよ!

 一緒かもしれないけど、違うの!


 「ふふ。拗ねてるルーちゃん、可愛い」


 「だから拗ねてないって!」


 アンズにまでからかわれてしまう。

 そんなに微笑んでいても、認めないよ。


 「そうでしわね。腹を立てていたんですわよね」


 クレアも微笑みかけてくる。


 みんな何さ!

 腹も立ててないもん!


 「あの、ルー様。私の身体で、それはやめてほしいのですけど」


 そうだった。

 今サーシャの身体だった。

 段々となじんできて忘れてた。


 「身体がサーシャさんなの忘れてたよ」

 「そうですわね」


 なんで?

 おかしくない?

 二人は私(サーシャの身体)が見えてるよね?

 何で忘れるの?


 「そうだけど。何故かルーちゃんに見えるんだよね」


 何で?

 私にはサーシャ(私の身体)は私にしか見えないけど。


 「それだったら忘れているのは、おかしくないですか」


 それとこれとは話が違う。


 何故か私を見て皆が微笑んでるけど、もう気にしないでおこう。

 またからかわれる気がするし。


 そろそろ、もとに戻ろうかな。

 そっちの方がからかわれない気がする。

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