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ダンジョン攻略 油断大敵

 一体か二体かは分からないけど、一組のゴブリンライダーがこちらに向かってくる。


 「ウォーターボール」


 まずはいつも通り、アンズが地面に水を張る。

 

 「<属性変換>」


 ゴブリンライダーが水に足をつけた直後に水を氷に変えて拘束する。

 だがしかし、オオカミに乗っていたゴブリンが弓を射ってきた。

 オオカミだけの場合じゃ反撃は飛んでこないけど、上にゴブリンが乗っているため、こういう攻撃も飛んでくる。


 「ファイアーボール」


 それを予想していたクレアが炎の玉を放ち、弓を打ち落とす。

 

 「いい命中力ですね」


 クレアが矢を打ち落とすのを見たマリンが称賛の言葉を発する。

 

 そうかな?

 あれくらいは普通だと思うけど。


 「ウォーターボール」


 矢を打ち落とされたのを見て少し動揺を見せたゴブリンにアンズが水の玉を放つ。

 その衝撃でゴブリンは弓を落としてしまった。


 氷に埋まった足を抜こうとオオカミが暴れる。

 その上でゴブリンも武器を失い慌てる。


 そんな隙をついてアンズとクレアが同時に魔法を放った。


 「ファイアーランス」

 「アイスランス」


 炎の槍がゴブリンに、氷の槍がオオカミに当たり、それで二体?の魔物が絶命した」。


 「二人とも、息ぴったり!」


 殆ど相談もなくゴブリンライダーを連携して倒した。

 一人一人の実力だけじゃなくて、そういった二人のコンビネーションも成長してるみたいだ。


 「お二人とも、いい連携です」

 「あぁ。それに、魔法のコントロールもよくなってきているな」


 私からの称賛に続けて、マリン、サーシャも二人を称賛する。


 「これなら、次からは複数体でも行けそうだな」


 称賛に加えてサーシャが呟く。

 

 「そう、かな?」

 「まだわたくしたちには、早いような」


 そんなサーシャの言葉に二人は戸惑う。

 まだ少し自信がなさそうだ。

 

 「二人なら大丈夫だよ!」


 自身なさそうにする二人の背中を押すように声をかける。

 実際、二人なら大丈夫だと私も思う。

 オオカミの魔物は結構倒してきたし、いつものパターンに持ち込めば二人なら余裕だと思う。

 

 いざとなったら私がなんとかするしね。


 「‥‥分かった。やってみる」

 「…‥わたくしも、挑戦してみますわ」


 二人にやる気が出たようだ。

 うん。二人なら大丈夫!






 「来ます。三体です」


 サーシャの言葉に通路の奥を見ると三体のオオカミがやってきた。

 上にはゴブリンが乗っていない普通のオオカミの魔物だ。


 「それじゃあ、二人とも頑張って」


 今回からは私の仕事はない。

 さっき決めた通り、アンズとクレアの二人で三体を同時に相手にする。


 「ウォーターボール。<属性変換>」


 地面を水で濡らし、オオカミが足を踏み入れた直後に氷に変え、動きを封じる。

 今まで通り動作をきっちりアンズが行い、三体のオオカミは見事に拘束された。


 動きさえ止まれば、一体だろうと三体だろうと変わらない。

 アンズも今まで通りに水を出して、その水を凍りに変えるだけと言う動作をしただけなので、やっていることは本当に何も変わらない。

 これがオオカミに対する魔法などなら、一体分が三体分に変わって必要な魔力の量なども増えたかもしれないけど、アンズのやっている拘束方法ではそういうことはない。

 あくまで水に干渉しているだけだからね。


 「ファイアーランス」


 クレアが炎の槍を一体のオオカミに放つ。

 その後、クレアがもう一発、アンズが氷の槍を一発放ち、難なく三体のオオカミを倒した。


 「二人とも全然余裕だったね!」


 「ありがとう」

 「ありがとうございます」


 私の惨事の声に二人が笑顔でお礼を返してくれる。


 「この調子なら、他の魔物相手でも大丈夫そうですね」


 二人の一連の動きを見ていたマリンが感心したような声と共にそう呟いた。

 

 ふふん。

 アンズとクレアなら当たり前だよ!


 二人が褒められると、自分のことのように嬉しい。


 「そうだな。だが二人とも油断はするなよ」


 サーシャも二人の動きに感心しているようだけど、忠告の言葉も口にしている。

 一連の動きと言っても、今までとしていることは大して変わっていない。

 だから、この結果は当然と言えば当然だ。


 サーシャの言う通り油断が一番危険だ。

 こういったことで浮かれたり、同じ動作を繰り返すときほど、慎重にならなければいけない。


 サーシャに続いて私もそれらの助言を二人にしたのだが、


 「…‥ルー様が言いますか…‥」


 何故かサーシャから呆れたような視線を送られてしまった。


 ここは呆れるところじゃなくて、褒めるところでしょ!


 「…‥一番、油断しているのはルー様です。

 ですので先ほどの言葉は自分い言ってやってください」


 ジトっとした目で言ってくるさサーシャ。

 失礼な。

 私はちゃんと色々なことに警戒してるよ。

 だからこうして長生きできているんだよ。

 警戒してなかったらとっくに死んじゃってるかもしれないよ。


 「…‥つい先日まで封印されてましたよね…‥」


 うぐつ!

 そ、それは、たまたま…‥。


 「それに、何度か死んでますよね…‥」


 そ、それも、たまたま…‥。

 それに、復活できるような死に方でしょ!?


 そんな私の言い訳もむなしくサーシャのジト目は治ることはなかった。

 

 そんなサーシャと違って他の三人は私に驚いたような視線を向けてきているけど、どうしたんだろう。

 何に驚いてるのかな?

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