ダンジョン攻略 一体?二体?
分かれ道を右に進む。
「来ました」
少し進んだところで、サーシャが次の襲来を教えてくれる。
こちらに来るのは、またまたスライム。
なんか、スライムばっかりだな。
「ファイアーランス」
スライムを見て、クレアが素早く詠唱し、炎の槍を放つ。
炎の槍はスライムに命中し、スライムは絶命する。
「またスライムが一匹だけだったね」
「はい、もしかしたらこの先に母体がいるのかもしれません」
私の言葉にサーシャが返してくれる。
母体か。
そうかもしれないな。
今までのは、その母体の生み出したばかりのだと考えると納得がいくかな?
生み出されたばかりの―――赤ちゃんのような存在だとしたら弱いのにも納得できる。
…‥生まれたころから強いのもいるけど…‥。
「次、来ます」
サーシャの言葉に考えをいったん止めて通路の先を見る。
またスライムかとなと思ていたけど、違った。
あれはオーガだ。
「二人とも、頑張って」
私たちの前に出たアンズとクレアの二人に鼓舞の声をかける。
こちらに来るのは一匹だけみたいなので私の出番はない。
「ウォーターボール。<属性変換>」
アンズがいつも通りの手順で水を魔法で出し、即座にスキルで氷に変える。
だんだんとその流れもスムーズになってきている。
「ウォーターボール」
更に凍った地面の上に水を張る。
オーガはその水に足を滑らせて転んでしまう。
「<属性変換>」
それから再びスキルで水を凍りに変え、オーガの動きを封じる。
さっきと同じ流れでオーガを拘束することが出来た。
「ストーンハンマー」
クレアが動きの止まったオーガを即座に岩の魔法で叩き潰す。
その岩で、オーガの頭はつぶれ、絶命した。
「さっきよりスムーズ!すごい!」
先ほどの時よりもはるかにスムーズに倒せた二人を称賛する。
「あり、がとう」
「ありがとうう、ございます」
二人は少し息が上がっているようだ。
アンズは魔法とスキルの連続使用で、クレアは大きな魔法で、結構魔力を消費したみたい。
でも、初めにオーガを倒した時よりは、消耗が軽し気がする。
あの時は、息が絶え絶えだったけど、今はそこまでではない。少し呼吸を乱しているくらいだ。
「本当にすごいですね…‥」
「あぁ、恐らくルー様のおか、せいだろうが」
二人の成長を見たマリンとサーシャも、二人を称賛する。
けどサーシャ!
言い直す必要あった!?
おかげ、でいいよね!?
私が悪いみたいな言い方やめてよ!?
「ははは、…‥でもルーちゃんのお陰で魔力量が上がったのは本当かも」
「そうですわね。休憩なく魔法を使い続けたのが良かったのでしょうか」
ほら!
二人もこう言ってるでしょ!
二人とも最初に苦笑を浮かべた後、私のお陰だと言ってくれる。
やっぱり二人は優しい。
サーシャはこういう時、いつも意地悪だから、こういう時の二人を見習ってほしい。
「…‥ルー様。何か、変なこと考えてませんか?」
う、鋭い。
でも、別に変なことではない、よね?
もっと、私に優しくしてって、思っただけだから。
「…‥そんなことより、どんどん進もう!」
サーシャのジトっとした目から逃げるように通路を進む。
オーガを収納して、皆を先導するように進んだ。
それから少し進んでサーシャが声を上げる。
「来ました。三体です」
通路の先を見る。
こちらにやってくる影は確かにサーシャの言う通り三体なのだが。
「あれって、三体なの?六体じゃない?」
首を傾げながらサーシャに問いかける。
こちらに向かってくるのは、オオカミに乗ったゴブリンが三組。
多分ゴブリンライダーだと思うけど、あれって一組で一体なの?
オオカミとゴブリンの二体なんだし、こっちに来てるのって六体じゃ?
「ルー様。それはどうでも良いです」
う~ん。
なんか気になる。
どうでも良いと言われればどうでも良いけど、なんか気になってきた。
変なことって、一度考えると凄く気になるよね。
「‥‥いいですから、早く眠らせてください」
そうだった。
私の仕事は車物を一体残して眠らせる事だった。
あれ?
でも、一体ってどうすれば?
二組のゴブリンライダーは眠らすとして、他の一組は?
オオカミだけ?ゴブリンだけ?
それともゴブリンライダーって考えて一組残す?
「…‥一組だけ残して。いいよねクレアちゃん」
「はい。大丈夫ですわ」
首を捻って考えていた私にアンズとクレアが声をかけてくれる。
二人ともゴブリンライダーという魔物を倒すみたいだ。
二人の指示に頷いて、二組のゴブリンライダーを眠らせる。
これで私の仕事は終わり。
後は二人の仕事だ。
二人とも頑張って。




