ダンジョン攻略 昼食
炎の槍を弾いたオーガが迫ってくる。
このままだとアンズたちが危ないと思い助けに入ろうとしたんだけどサーシャが私に手を出すなと言われたので信じて見守っておくことにする。
「ウォーターボール!」
アンズが使い慣れた魔法を使う。
使い慣れた魔法だと魔法の構築も早くなる。
水の玉は先ほどと同じように地面を濡らす。
でもこれだとさっきと同じ様になるんじゃ?
そう思っていたけどアンズは〈属性変換〉を使わなかった。
さっきと同じように〈属性変換〉を使うと思ってた。
じゃあ、なんで水を出したんだろう?
その直後オーガが足を滑らせて地面に倒れる。
さっきの水は凍らせて動けなくするためでなく、すでに凍っていた地面に水を出して滑らせるためだったらしい。
「ウォーターボール!」
アンズが更に水を出す。
今度はオーガの上に巨大な水の玉が現れ、オーガの上に落ち、オーガを水浸しにする。
「〈属性変換〉」
オーガを濡らしていた水が全て氷になり、オーガを氷漬けにする。
全身氷漬けになったオーガは今度は動けないみたいだ。
「ストーンハンマー!」
通路全体を埋め尽くすような巨大な岩が現れオーガに落ちる。
その岩は氷もろともオーガを押しつぶした。
結構大きな岩だったけどクレアはかなり魔力が多いみたい。
アンズは渡した指輪で魔力が多くなってるけど、もしかしたらそれに匹敵するかもしれない。
「すごい!二人とも!
まさか二人だけで倒しちゃうなんて!」
二人を褒める。
だけど二人は息が絶え絶えで話せないみたい。
「私も手を出そうと思ったが、まさか必要ないとはな」
「本当にお二人ともすごいですね」
私に続いてサーシャとマリンも二人を褒める。
そんな私たちのこと嬉しそうにしているがしんどそうだ。
魔力の使い過ぎみたいだし、回復した方がいいかな?
サーシャに確認を取って了承ももらえたので二人に魔力を譲渡して回復させる。
あれから暫く休憩をってダンジョン攻略の続きを再開する。
魔力を回復したとはいえ、無理はいけないから休憩を取らせた。
「じゃあさっそく進もうか」
残っていたオーガは私が倒し、アンズたちの倒したオーガも皆が休んでいる間に収納魔法に回収しておいた。
「来ました」
サーシャの言葉に通路の奥を見る。
やってきたのはオオカミの魔物が三体。
これまでと同じように一帯を残して私が魔法で眠らせる。
残った一帯はアンズとクレアが倒す。
オオカミの魔物は足さえ止めてしまえば楽に倒せるので二回目と言うのもあって苦も無く勝利した。
こうして何回か魔物との戦闘を繰り返す。
オーガにあったの一回だけであとはオオカミが多かった。
「そろそろ昼食にしましょう」
マリンの言葉に皆が歩みを止める。
やった!
やっとお昼ご飯だ!
倒した魔物でアンズに美味しいご飯を通ってもらおう!
「昼食は私が用意しました」
そう言ってマリンは収納カバンから何かを取り出す。
え!?
アンズのご飯じゃないの!?
「どうぞ」
手渡せれたものを見て不思議に思う。
てっきりご飯をくれると思ったんだけど、何これ?板?
「ルーフェスさんは知りませんか?
それは干し肉と言うものです」
干し肉?
干したお肉ってことだよね?
でもこれカチカチだけど。
「こうすると日持ちがするんですよ」
サーシャが何故干しているかを教えてくれる。
どうやらサーシャは干し肉を知っていたようだ。
でも何でこんなカチカチになるのに干すのかな?
日持ちを良くしたいなら時間停止の魔法を使うとか時間停止効果のある収納カバンにいれればいいのに。
「時間停止の魔法も収納カバンも簡単に手に入れることはできませんよ」
そうかな?
時間停止の魔法はそれなりの人ならだれでも使えると思うけど。
学園長とか。
「学園の教師で使えるのは数人でしょう」
使えるんだっだら使ったらいいのに。
そうしたらお肉をこんなカチカチにしなくていいのに。
「使えますが全ての食材に魔法をかけるのは無理です。止めていられる時間も長くは持ちませんし」
確かに全部は無理かもしれないけど、今回の分くらいかけてくれてもいいのに。
止めている時間は魔力を多く使えば何とかなるはず。
それと時間停止がダメなら腐食防止とかの魔法でもいいのに。
「それでも今回のダンジョン攻略に参加するもの全員分用意するのは不可能ですし、皆そんなに暇ではありません」
先生たちが無理なら私に言ってくれればやるのに。
「そんなことをすれば大問題になりますから」
はぁ~。
仕方ないな。
そこまで言うなら納得するよ。
っていうか今からアンズにつっくて貰ったらいいんじゃ。
わざわざこんなカチカチのお肉食べなくても材料はいっぱいあるんだし。
そう、みんなに提案したんだけどサーシャに「休憩するから」と止められた。
アンズは「大丈夫」と言ってくれたけど確かに休憩中に料理させるのは申し訳ないので諦めてカチカチのお肉を食べることにする。
口に運び一口かじる。
やっぱり堅い。
私なら金属でも嚙み切れるけど、それでもやっぱりお肉は柔らかい方がいい。
堅いお肉何て全然美味しくない。
こんなの食べるくらいなら自分で作ろう。
焼くくらいなら何とかなるはず。
「何してるんですか!」
そう思って収納魔法からお肉を取り出して焼く準備をしていた私に慌てて駆け寄ってくるサーシャ。
「こんなカチカチのはもういらないから柔らかいお肉を焼くんだよ」
「ダメです!こんなところで爆発を起こしたら危険です!」
失礼な!
焼くくらいだから大丈夫だって!
そんな私の言葉を全く信じてくれず止めてくるサーシャ。
「非爆発属性」をつけるからと言っても駄目だった。
もしものことがあったら危険と言われたけど、もしもの事って何?
分かったよ。
お腹もすいてるし諦めて板を食べる事にした。




