ダンジョン攻略 レベルアップ方法
「じゃあそろそろ進もうか」
こんなところで話していても仕方ないので進むことにする。
そういえばレベル上げって言ってたけどどうするんだろう?
「魔物が来ます」
サーシャが報告してくれる。
道の奥の方から来たのは狼系の魔物三体。
「あれぐらいなら二人とも大丈夫?」
私の問いに首を横に振るアンズとクレア。
「あの魔物三体だと私でやっとです」
そっか。
マリンでやっとなら二人には少し厳しいのかな?
「じゃあ私が倒そうか?」
一応訊いてみたけどそれだと意味ないよね?
目的は二人のレベルアップなんだから私がやっちゃうと二人のためにもならない。
ん~。
どうしようかな~?
そうだ!
確か誰かがパーティって言うのを組めば誰が倒してもみんな一緒にレベルが上がるって言ってたような!
そのことを思い出したのでみんなに伝えてみる。
「ルー様。それは異世界のゲームの話です。現実ではそんな簡単にはいきませよ」
そうだったかな?
残念。それならみんな安全にレベルアップが出来ると思ったのに。
「なのでここは一匹残してあとは倒しましょう。
あの狼なら一匹で十分です」
そうサーシャが言うならそうしるけど。
二匹の狼に受けて魔法を放つ。
狼系の魔物は基本美味しいから傷つけないよう今は眠らせるだけにしておいた。
「これでいいの?」
サーシャに確認を取ると「はい」と頷いてくれる。
「で、ですが、一匹だけでもわたくしたちには、まだ早いような…‥」
クレアが自身なさげに呟く。
そうかな?
私は二人なら大丈夫だと思うけど。
「確かに今の二人には少し早いかもしれないが、実力的には無理と言うわけではない。
最初は私たちも支援するから頑張れ。お前たちはそのために来たのだろう?」
少し厳しくない?
そう思ったけどアンズとクレアは決心したように頷き魔物に視線を移す。
サーシャの話だと私たちが支援するって言ってたし私も何かしようかな。
ん~。
何がいいかな?
狼系は速いから遅くするとか?
それともアンズたちに魔法の威力とかをあげる魔法を使うとかかな?
「ルー様はじっとしていてください」
「何で!?」
手伝うって言ったのはサーシャでしょ!
それなのに何でじっとしとかないいけないの?
「ルー様の魔法は相手を弱らせるにしろ、味方を強化するにしろ[理不尽]なまでに効力が強力なので二人のためになりません」
うぅ。
そう言われると何もできない。
というか別に私の魔法は[理不尽]じゃないと思う。
ただ魔力量とかがみんなより多くてスキルも色々と使えるだけなのに。
「それが[理不尽]なんです」
話をしている間にアンズたちの魔法が届く範囲に魔物がやってきた。
「ウォーターボール」
アンズが水の球を道に向けて放つ。
それは地面に当たって地面を水浸しにする。
「〈属性変換〉」
魔物が水浸しの地面に足をつけたところにアンズがスキルを使って水を凍りに変え魔物の足を止めるのに成功する。
おぉ!
前に見た時よりも変換がスムーズになってる。
それに水の量も増えてる気がするしアンズすごい。
「ファイアーランス」
魔法を詠唱していたクレアが構築を完成させ一メートルくらいの大きさの炎の槍が魔物の頭に当たった。
授業で見てるけどクレアも毎日成長している気がする。
炎の槍が当たった魔物は苦しみ暴れるが足が凍って動けずに暫くして絶命した。
「支援はいらなかったな」
サーシャの発言に私も「うんうん」と首を縦に振り頷く。
本当にすごい。
二人じゃ無理だって言ってたけど全然余裕に見えた。
「本当にすごいですね。今年の一年生は優秀です」
マリンも関心している。
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「すごいすごい」と褒めていたら少し顔を赤くする。
その表情からはさっき感じたような緊張は感じられない。
これがレベルアップかな?
技術的には今までとは殆ど変わったことはないと思うけど冷静に戦いが出来るようになったみたい。
アンズは元々冒険者だったし、クレアも称号のことで色々あったから結構度胸があるのかもね。
二人ともカッコいい!
眠らせていた残りの魔物に近づいてあまり傷をつけないように一撃で首を落とす。
それから死体を収納魔法に入れておく。
後で味見してみよう。
この種類は食べたことないから楽しみ!
「次来ました」
今度は奥からオーガという身長二メートルを超える魔物が二体やってきた。
さっきから来る魔物を考えても、構造はちょっと変わってるけど魔物は一般的なものばかり見たい。
「どうしる?さっきみたいに私が一体倒そうか?」
「そうですね。お願いします」
サーシャの了承を確認したところでさっきと同じように一匹を眠らせる。
「ウォーターボール」
残った一匹のオーガが近づいてくる前にアンズがさっきと同じように地面を水浸しにする。
「〈属性変換〉」
さっきと同じような流れで地面を凍れせたのだが、凍り付く足を力づくで引き抜いて一度止まったオークの歩みがまた進みこっちに向かってくる。
「ファ、ファイアーランス」
そんなオーガに焦って炎の槍を放つクレア。
その槍はオーガに正面から当たったがはじき返されオークが迫ってくる。
このままじゃ二人が危ないかな?
「待ってください」
そう思ってオーガを倒そうと思った私を制止するサーシャ。
ちょっとサーシャ!このままじゃ二人が怪我しちゃうかもしれないんだよ!
「危ない時は私とマリンで対処するのでルー様は見ていてください」
サーシャがそういうなら。
サーシャの言葉に従い、おとなしく見ておくことにする。
サーシャが助けてくれるだろうから大丈夫だろうけど、それでも自分が何もしないのは心配する。
私も支援に参加したいけど二人のためにならなくなるので二人の無事を祈ってみておくことにした。
「二人とも頑張って!」




