冒険者ギルド
私たちはアンズの作ってくれた晩ご飯を食べてから、濡れタオルで身体をふき寝ることにした。
お風呂に入りたかったんだけど共有浴場もお金が掛かるためたまにしか入らないらしい。
お金に余裕ができてきたら毎日入りに行こう!
お風呂で暖まると気持ちいからね!
晩ご飯を食べながらアンズと色々な話をした。
アンズは近くの村からこの街に来たらしい。
村があまり裕福でなかったからだとか。
最初は学園に通うつもりは無かったらしいけど、村にいる元冒険者の人に「学園で色々なことを学んだ方が冒険者をやっていくなら絶対にいい。」と言われたので通うことにしたとか。
その人は魔法を使えたので少し教えてもらったとか。
アンズのことを色々聞いた。
私のことは一応正直に言ってみたけど、全然信じてくれてない。
私を見る目が子供に向けるものだった。
アンズが寝てから少しして、アンズを起こさないように静かにテントから出る。
もちろん、ギルドへ売るための素材を取りにいくためだ。
透明化と飛行のスキルを発動させ街に来る前に見た森へと飛んでいく。
森までやってきて高く売れそうな魔物を探すため森の奥へと入っていく。
やっぱり強い魔物の方が高く売れると思ったので、それを狩りに行くため強い魔物は奥の方にいる傾向が多いからだ。
数分探して見つけたのはウルフロードと言われる巨大なオオカミの魔物。
全長は10メートルぐらいもある。
素材は綺麗な方が良い気がするので、出来るだけ傷がつかないよう首を狙って風魔法を放つ。
だが、風魔法は軽く避けられてしまった。
ウルフロードの動きはとても早く簡単には攻撃を当てられそうにない。
なので未来視のスキルを使いウルフロードの動きを予測して、首に風魔法が当たるように放つ。
今度は正確に首に当たり、結構強めに放ったため綺麗に首が落ちた。
ウルフロードの死体を収納魔法にしまって、テントに戻る。
ウルフロードは結構珍しい魔物だと思うから、多分これだけで大丈夫と思ったからすぐにテントに戻った。
未来視のスキルは結構疲れるため早く寝たいとい理由もある。
テントに戻ってきた私はアンズに借りた寝袋に入り眠りにつく。
「ルーフェスちゃん、朝だよ、ルーフェスちゃん、起きて!」
「後5分〜」
「それさっきから何回も言ってるよ!起きて!」
アンズが私の体をゆさゆさと揺らし起こそうとしてくる。
私は朝があまり得意では無いので、もう少し寝てたいけど、初めに起こされてからそれなりに時間が経ってたので流石に起きることにする。
「ふぁ〜〜おはよ〜〜」
「おはよう、ルーフェスちゃん。
ほら、これで顔ふいて目覚まして。」
アンズが濡れタオルを渡してくれたので受けとって顔を拭く。
それで何とか目が覚めた。
まだ少し眠いけど・・・。
それからアンズが用意してくれていた朝ごはんを食べて、着替えをすませテントを出て、冒険者ギルドに向かう。
ここからはそんなに遠くなく数分歩いた所に冒険者ギルドはあった。
周りの建物よりもかなり大きな建物だ。
「ここだよ、入ろっか!」
アンズに続いて中に入る。
中は人で賑わっていた。
アンズぐらいの歳の子もいるようだけど、大体は大人が占めている。
「登録はあそこのカウンターで出来るよ。
私はあっちの依頼ボードで依頼を見てくるけど、一人で大丈夫?」
相変わらずの子供扱いに[うん」と頷いて一人でカウンターの方へ向かった。
少し並んだが直ぐに私の順番となり、カウンターにいた女の人に登録をお願いする。
「冒険者登録したいんだけど、」
「分かりました。
では、こちらに必要事項を記入してください。」
そう言って手渡された用紙を見ると、名前、年齢などの記入項目があった。
名前の欄に「ルーフェス・クフフル」とかいたけど、年齢はどうしよう?
何年封印されてかも分からないし、そもそも自分の歳なんてもう覚えてない。
もう、見た目年齢で良いかな?
そんな事を考えてると、
「分からない所があったら最悪名前だけでもいいわよ?」
そう言ってくれたので名前だけ記入した用紙を渡した。
「えっと、ルーフェス・クフフルさんね。
まずはこれを渡しておくわ。
これはギルドカードで身分証明書にもなるから無くさないように、無くしたら再発行にお金が掛かるから気をつけてね。」
そう言ってギルドカードを渡してくれる。
それからギルドについて色々と教えてもらった。
依頼は依頼ボードの中から好きに選べる。
でも、受付の人がギルドカードに記載されている今までの結果からその依頼がその人に合ってるかを判断して、難しそうなら受けれないらしい。
あと細かなギルドのルールとかはあったけど特に注意しないといけない事は無さそうだった。
受付の女の人の話も聞き終わったので素材の買取をお願いする。
「魔物の素材の買取ですね。
ではこちらにお出しください。」
「ここじゃ狭くて出せないよ?」
「それならあちらの台にお願いします。」
「あそこでも狭いけど・・・」
「そんなに大きいんです!?
でも何も持ってないような・・・
もしかして収納系の魔道具を持っているんですか?」
「まぁ、そんなとこかな」
「分かりました。
でしたらギルドの裏にある広場にお願いします。」
そうして女の人の案内で広場へとやって来る。
ここは冒険者の訓練なんかに使われたらするらしい。
ここなら十分な広さがあるので、ウルフロードの頭と胴体が分かれた死体を収容まほうから取り出す。
「わっ!?
・・・えっ?
・・・ナニコレ?」
ウルフロードの死体を出したらすごく驚かれた。
何って、ウルフロード、知らないのかな?