ダンジョン
「ルー様…‥ルー様…‥起きてください」
頭にサーシャの声が響く。
まだ眠たい…‥あと5分…‥
「起きないと遅刻しますよ」
大丈夫。転移で行けばいいから。
「言っておきますが、今すぐ転移で行かないと遅刻です」
今すぐ?
じゃあもう遅刻でいいよ。眠いし。
「はぁ。もう私が運びますからね」
サーシャが転移魔法を発動したのを感じる。
最初からそうしてくれればいいのに。
これであと少し眠れる…‥。
「起きろ!」
痛っ!?
頭にないにか強い衝撃がきた。
「何!?」
何事かと慌てて頭を上げると本を持ったココナがいた。
まし化してココナがその本で私の頭をたたいたの?
酷くない?
「いつまで寝ている気だ!もうとっくに授業は始まっているぞ!」
授業?
もうそんな時間なの?
あの後お風呂に入ってお城のサーシャの部屋で寝たのって、ついさっきのことだよね?
それなのにもう授業なの?
というかなんで私は教室にいるんだろう?
「ルー様がいくら起こしても起きないから私が連れてきたんです」
サーシャの仕業だった。
「言っておきますが、ちゃんと確認しましたからね」
そんなのされてない…‥はず。
だって今さっきみんなで寝たばかりのはずなんだから。
「とにかく授業を始めるぞ!」
まだ少し眠い。
昨日は久びりに頑張ったから結構疲れてるんだよ?
もうちょっと寝かせてくれてもいいんじゃないかな?
「早速だが昨日のことは知っているな」
そんな私の気持ちを無視してココナが授業をはじめる。
「昨日先生が魔物の大軍を追い返したことですよね」
一人の生徒が手を挙げてココナに質問する。
「そうだ」
「あのすごい魔力も先生ですか?」
ココナの肯定に他の生徒が質問する。
すごい魔力って、私がやったあれだよね。
ココナも一瞬こっちをちらっとみたし。
「あれは学園長だ」
あれ?
私じゃないの?
学園長って。あの人何処にもいなかった気がするけど、私の知らないところで何かやってたのかな。
「学園長先生が!流石大賢者!」
教室中に歓声が響き渡る。
「ルーちゃん、実はね…‥」
どういうことかアンズが教えてくれた。
やっぱりすごい魔力って言うのは私のだったみたい。
じゃあ何で学園長がやったことになっているの?と思ったけど、それは私が目立たないようにするためらしい。
あそこに私が居たのを知っている人も一部の人だけだとか。
私は別に目立つのは困らないと思ったんだけどそのせいでアンズたちにも迷惑がかかるかもしれないとサーシャに教えてもらった。
確かにそれだった目立つのは絶対に避けたい。
ちなみに私が知らなかっただけで学園長は学園長で自分の仕事をしていたらしい。
ちらっと手柄泥棒と思ったけど、何もしていなかったわけではないのでとくには気にしない。
さすがに何もしていないのに私の手柄をあげるのは、なんか嫌だからね。
「静かに!これからの話をする」
盛り上がっていた生徒たちを落ち着かせ、ココナが話始める
「昨日のことで残念だが死んだ者もいる。それは騎士や冒険者たちだ。
この中には騎士を目指すもの、冒険者を目指すもの、すでになっているものもいると思う。
そういった者たちは今後このようなことが起きた時、戦はなければならないかもしてない。
その時力がなければ死んでしまう。
そうしないためにもダンジョンに行くことが決まった」
みんなそれぞれの反応をする。
喜ぶ人。不安そうにする人。少ないがどうでもよさそうにする人。
アンズとクレアは不安そうにしている。サーシャはどうでもよさそうだ。
「ダンジョンって危険なんじゃ…‥」
不安そうにしていた生徒の一人が弱弱しく手を挙げてココナに質問する。
「確かにそうだ。よってこれは強制ではない。
どうしても自信がないものは参加しなくていい。
だが、現在もしくは将来、騎士や冒険者、将来他の危険が伴うものになりたいと思っているなら参加しておけ。
ダンジョン攻略には教師が引率することになっている。
完全に安全とは言えないが自分一人でレベル上げをするよりは安全だ」
その言葉にみんな考えだす。
ダンジョン攻略か。
私はどうしよう。
そもそもダンジョンとは私が作った魔道具の一つだ。最高傑作のひとつでもある。
食糧危機が訪れていた時何かいいものはと無限に魔物が量産される魔道具を作った。
「ダンジョンの種」というアイテムを使うとダンジョンが造られる。
ダンジョンには魔素を使い無限に魔物が作られる仕組みで、稀にアイテムなんかも作られるようになっている。
この「ダンジョンの種」は作れるのは私と[魔道技師王]と呼ばれる魔王ドーナスだけだ。
もしかしたら私が封印されている間に作れる人が増えたかもだけど私が知っているのは私含めふたりだ。
そんなダンジョンだけどどうしよう。
「ルーちゃんはどうしるの?」
悩んでいるとアンズが「私は行きたいと思ってる」と話しかけてくる。
クレアも行きたいそうなので私も行こうかな。
「ルー様が行くなら私もいきます」
と言う訳で私たちはダンジョン攻略に行くことになった。
攻略は来週から一週間行われるらしい。
行きたいものはそれまでに先生に申請して各々に準備をしておけと、ココナに言われた。
そして忘れていたけど今日の授業が始まった。




