魔王に逃げられた
「じゃ、ちゃっちゃと倒しちゃうね」
ココナに残ってるドラゴンを倒すのを手伝ってと言われたので手伝う。
「綺麗に倒したらいいんだよね?」
残っているのは美味しくないのばかっりなので私はいらないから竜王のときのように「空間消滅」の魔法で消しちゃおうと思ったんだけどドラゴンの素材は貴重だからと止められた。
「ああ、出来るだけでいいから綺麗な状態に頼む」
ココナのお願いに答えるためにも最高に綺麗な状態で倒そう。
残っているドラゴンは古竜が一体に成竜が一体。他のは倒しちゃったみたいで死体が近くにある。
「まずは綺麗にしてっと」
最高の状態の素材を取るためまずはドラゴンたちのケガを治す。
「おい!ドラゴンの傷が治っていくぞ」
近くにいた槍の人が驚いて叫ぶ。
「まさがルーフェスが治したのか」
ココナに訊かれたので「うん」と頷く。
「だって綺麗な方がいいんでしょ?」
なんでそんなに問い詰めるように言ってくるの?
傷だらけであのまま倒しても素材がボロボロになるだろうから治したのに。
「出来るだけでいいと言っただろ。何故せっかくダメージを与えたのに治す!」
だからそんなに怒鳴らなくても。
出来るだけって言われたから治したんじゃん。自分に出来る最高をと思って。
「とにかく倒しちゃうね」
さっき「空間消滅」のために溜めていた魔力を「空間断絶」に変える。
「空間消滅」と「空間断絶」は同じ空間属性の魔法で変えやすいし「空間断絶」の方が必要魔力は少ないから簡単だ。
「空間断絶」は「空間消滅」と違って範囲攻撃じゃないから当てるのは難しんだけど、そこは他で補うから大丈夫。
今度は目に魔力を溜めて〈未来視〉を使う。
これなら見た場所に魔法を放つだけになるから簡単になる。
「すごい…‥首を…‥簡単に」
見事に私の魔法は古竜に命中し他を傷つけることなく綺麗に首を落とすことに成功した。
続けて成竜にも同じことをして首を落とす。
「ふぅ。これでいい?」
残っていたドラゴンを倒し終わった後大丈夫か確認する。
「…‥あぁ…‥助かった…‥」
「じゃあ私はやることがあるからそろそろ行くね」
本当はここに来る必要なかったんだけど気まぐれ出来たら結構つかれたよ。
〈未来視〉はすごく疲れるし、それを二回もやったんだからもっともっと疲れる。
サーシャのお願いもあるのにまだまだ疲れるなー。
私は逃げて行った魔物たちに向けて転移魔法を発動させた。
逃げて行った魔物の目の前に転移してきた私は早速殲滅するため魔力を溜める。
「あっ!あれって私が造った聖剣だ!すっかり忘れてた」
こちらに向かってくる魔物たちを追いかけながら次々と魔物を倒している聖剣を見て造ったままだったことを思い出す。
聖剣があるなら私が来る必要なかったかも?
でもそれだと時間が掛かっちゃうから近くの街とかに被害が出てたかもしれないしやっぱりきてよかったのかな?
サーシャの言うことは大体いつも正しいから言うことをきいておいた方がいいしね。
魔物たちの中には美味しいのも美味しくないも混ざり合っていて分けて倒すのが面倒だから少しもったいないかもだけど全部消すことにする。
溜めていた魔力を「空間消滅」に変え超広範囲に放つ。
「うわっ!」
超広範囲にしすぎたせいか魔物の大半は消えたけど範囲内の空気なんかも消えちゃってこのあたり一帯が嵐でも通ったかのようにすごいことになってしまった。
まあ、近くには人もいなかったしいいよね?
誰も見てないし。
サーシャに見られたらやりすぎだって叱られちゃうかもだけどバレなきゃ大丈夫!
残っている魔物もあと少しなので、あとは聖剣に任せてお城に帰ることにする。
聖剣も魔物たちを倒し終わったら消えるようにしておいた。
「終わったよサーシャ」
王様の部屋に転移魔法で戻ってきて魔物の殲滅を報告する。
「ありがとうございます。
でも…‥申し訳ありません。オルトラニーに逃げられてしまいました」
もっと笑顔でお礼を言ってくれると思って期待していたんだけど帰ってきたサーシャの表情はくらかった。
逃げられた?
おかしいな。暫くは「竜の加護」の使い過ぎで倒れて動けないとおもっていたんだけど。
「それが何か特殊なポーションを飲んで動けるようになり…‥」」
特殊なポーション?
「竜の加護」は体だけじゃなくて魂とかにも負担がかかりそうだったのにそれを回復するポーションってことだよね?
そんな滅茶苦茶すごいものまで待ってたんだ。
「支配の宝珠」といい「竜の加護」といいもしかして魔王オルトラニーってすごいお金持ち?
「でも回復しても転移阻害の結界を張ってたんだしどうやって?」
治ったとしてもオルトラニーじゃ今張っている結界は突破できないはず。
「それも何かの魔道具を使われ逃げられました」
また魔道具。
やっぱりオルトラニーはお金持ちみたいだ。
「そっか。まぁ私はどうでも良いんだけど、王様たちは困るんじゃない?」
正直あんな人私にとっては本当にどうでもいい。
捕まえようとしていたのもサーシャの頼みだからってだけだし。
でもそう考えるとサーシャの頼みに答えられなかったことになる。それは少し残念だ。
「そうですね。この国としては捕まえて頂きたかったのですが、ルーフェス様は国を救ってくれたのです。文句何て一切ありません」
「それどころか」といって感謝の言葉をくれた。
それならいいんだけど。
あー。疲れたなー。
今日は久々に強力な魔法やスキルをいっぱい使ったから本当に疲れた。
後でアンズにお願いして美味しいお菓子をいっぱい作ってもらおう。




