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お肉が消えた

 私が魔法を放つとそこに竜王の姿は消えていた。


 「•••••何をした?」


 不思議そうな顔をしてココナが問いかけてくる。


 私が使った魔法は、「空間消滅」の魔法。

 これは文字通り指定した範囲の空間を消滅させる魔法で、レジストできない限り、跡形も残らなく相手を消すことができる。いくら竜王と言えど耐えることはできない。


 ココナに「空間消滅」の魔法を使ったと言った時、私は大事なことに気づいてしまった。

 それは•••••死体が残ってない!ということ。

 つまり、美味しい竜王のお肉を消し去ってしまったということ。

 •••••はぁ、何やってんの私••••••私のバカ!


 「どうしたルーフェス?」


 ちょっと落ち込んでいた私に気づいてココナが声をかけてくれたので、取り敢えず大丈夫と言っておいた。


 「おい!どうなってる!かなりヤバい魔力を感じたと思ったら魔物は逃げ出していくは、気づけば竜王も消えてるは、何をした!」


 槍の人がすごい顔で問い詰めてくる。

 えー、また説明するのー?

 ちょっと失敗しちゃったことだから恥ずかしいし、あんまり話したく無いんだけど。


 「じゃあ私はそろそろ帰ろうかな」


 後のことはココナに押しつけ、もとい、任せてお城に帰ろう。

 魔物たちも逃げていったし、私が作った聖剣も逃げた魔物を今も追って攻撃してるし帰って大丈夫だよね。

 それにお城にはオルトラニーもいるから早く帰らないと皆が心配だし。サーシャがいるから大丈夫だとは思うけど。


 「待て!ルーフェス!」


 そんなココナの言葉を聞き流しながら私は転移魔法でお城に転移した。






 「ただいまー。皆大丈夫ー?」


 転移で戻った王様の部屋にはサーシャと王様と伯爵それからオルトラニーの四人しかいなかった。

 あれ?

 ァンズとクレアは?

 そう思って二人のことが心配になったけど、そういえば別の部屋に居たのを思い出して一安心する。


 「ルー様!お疲れ様です」


 サーシャが労いの言葉をくれる。


 「••••••••••」


 王様と伯爵はオルトラニーの出している映像を見たまま固まっている。


 「•••••さすがは、[理不尽魔王]ですね。

 竜王をあんなに簡単に倒してしまうとは•••••

 だがあれだけの魔力を使ったのです、今のあなたに私を止められますかな」


 オルトラニーも一応褒めてくれてるのかな?

 「空間消滅」を使うためには結構多くの魔力を使う。

 それも今回は相手が竜王だったから尚更多く魔力が必要だった。

 その大きさはこのお城まで届いていたみたい。

 だからオルトラニーはあれだけの魔力を使って魔力が少なくなった今なら逃げられると思ってるのかも。


 「逃がさないよ」


 だから私はそうオルトラニーに言ったのだけど、


 「逃げる?なにを言っているのです?

 今ならあなたを倒せるかもしれれないのに逃げる訳がないでしょう」


 と、そんな言葉が返ってきた。

 まさか私を倒すつもりだったとは、ビックリだ。

 たしかに「空間消滅」で結構多く魔力を使ったけど、私にとってはそこまで大訳じゃない。

 だからまだまだ全然元気なんだけど、一応そう言っておこうかな?


 「ははは、それは何の冗談ですか?

 そんなはったり信じると思いますか?」


 あれ?

 信じてくれてない?


 「どうしよ、サーシャ?」


 「こいつの事なんか気にせず、拘束してください」


 サーシャがそういうならそうするけど。

 私はオルトラニーに睡眠の魔法を使う。

 けどレジストされたみたい。

 あれ?結構強くしたからこれで寝ると思ったんだけどな。


 「今なにかしようとしたようですが私には通じませんよ。

 私も昔より更に強くなっているんです。なので今のあなたには私をどうにかすることは出来ないでしょう」


 なるほど。

 私を倒せると言ったのは私の魔力が少ないってことだけじゃなくて、昔よりも強くなったってのもあるのか。

 •••••まぁ、オルトラニーのことは覚えてなかったから、昔より強くなってるとか言われても分かんないんだけどね。


 「今のあなたにこれを防げますか?」


 オルトラニーが左手を私の方に向け、炎の魔法「インフェルノ」を打ち出してくる。

 これぐらいならさっきの方法で余裕だね。


 「なっ!無傷だと!

 さっきも使ったやつですか!

 一体なにをしているんです!」


 ふっふっふっ。

 さっきは説明出来なかったけど、今度こそカッコよく出来そうだ。


 「説明してあげよう!

 私が使ったのはスキル〈属性変換〉!」


 「〈属性変換〉?」


 「たしかそれはアンズのスキルですよね?

 どうしてそのスキルで攻撃を防げるのですか?」


 当然のような質問をしてくるサーシャ。

 サーシャは少し頭が堅いよ。

 もうすこし柔らかく考えたらわかるよ。


 「簡単なことだよ。

 今オルトラニーが使ったのは『攻撃魔法』だよね。

 だから『攻撃』という属性を『回復』という属性に変えただけ。

 そうしたら炎が『回復魔法』になったってわけ」


 仁王立ちで胸を張ってドヤ顔でそう告げる。

 けど、誰も何も言ってくれない。

 私の方をただ見ているだけ。


 「おーい。

 皆ちゃんと聞いてたー?」


 「•••••はぁ、さすがルー様です」


 声をかけるとサーシャから褒めてもらえた。

 けどなんか呆れのようなものも混じっていた気がする。


 「ふ、ふざけないでください!

 『攻撃』の属性を変えた!?

 そもそも魔法にはそんな属性ありませんよ!」


 どうやらこの人も頭が堅いようだ。


 「ルー様、何を考えてるのか知りませんが、おかしいのはルー様の方ですよ」


 酷い!

 私はどこもおかしくなんてないよ!

 サーシャって偶に酷いこと言ってくるよね。

 

 

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