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求婚

 「俺の妻にしてやる!感謝しろ!」


 いきなり求婚された。

 アンズがだけど。


 「えっ・・・?」


 アンズは驚いて固まっている。

 いきなり求婚されたんだからしかたないよね。


 今日もいつも通りに起こされて――今日はサーシャにだったけど――教室にむかっている時にアンズが求婚された。

 求婚してきた人は私の知らない男の人。見た目15歳くらいの少年だ。


 「・・・誰、ですか・・・?」


 まさかのアンズも知らない人だったよ。

 一目惚れとかかな?


 「俺を知らないのか。無学なやつだ。

 いいだろう教えてやる。俺はランツ・パロ。パロ伯爵の長男だ」


 「はっ、伯爵!?」


 伯爵って上位貴族だっけ?

 てことはアンズ玉の輿?

 貴族の子供に好きになられるなんてさすがはアンズ!


 「そうだ。だから俺の嫁になることを感謝しろ」


 けど、なんか偉そうだな。


 「失礼ですがランツ様、どうしてアンズさんを?」


 「決まっているでしょう。この女が優秀だからです」


 優秀?

 好きだからじゃないの?

 それと、小さな声で「あんたが仲良くしてやってるしな」とか付け加えてた。

 クレアには多分聴こえてないだろうけど、わたしにはちゃんと聞こえたからね。

 つまりはクレアに近づくための道具にしようとしてるってことだよね。

 なら、


 「あなたには上げられないかな」


 アンズの前にでてアンズを庇う。

 勝手に断るかたちになったけど、こんな男にはあげられない。


 「なんだ!ガキはすっこんでろ!」


 「あなたがちゃんとアンズを好きなら私は何も言わないよ。

 でも、あなたはアンズのことを何にも考えずクレアに近づくための道具としか考えてない。

 そんな人にアンズを渡すくらいなら、私がアンズをもらうから」


 「なに適当言ってんだガキ!」


 ランツとかいうのが私に怒鳴る。

 本心をつかれて怒ったのかも。

 皆からも断ってやってよ。

 ・・・あれ?

 どうしたの?皆、私を見て?

 それからアンズ顔がすごく赤い気がするけど、大丈夫?


 「くそっ!いいからとにかくこっちにこい!」


 ランツがアンズの手を無理やり引っ張ろうとしたので叩いて止める。


 「いてっ!なにしやがる!」


 「無理やり手をつかもうとするからだよ」


 「貴族に手を出してただですむと思っているのか!」


 「それはわたくしも見ていましたのでルーさんの無罪はわたくしが保証します」


 はっ、としたクレアが助け舟をくれる。


 「あぁ!こんな平民のガキを庇うのか!」


 「はい。ルーフェスさんに罪はありませんので」


 「くそっ!王女だからって調子乗りやがって!

 これは俺とこのガキの話だろ!いちいち話に入ってくるな!」


 王女様にそんなこと言っていいの?


 「王女であるクレアにずいぶんな口ぶりだな」


 サーシャもこう言ってるし、やっぱダメだよね。


 「うるさいんだよ!ごちゃこちゃと、さっきから!」


 ランツが叫んだと思ったら魔法まで放ってきた。

 危ないなー。

 爆発系の魔法なんて廊下で使っちゃダメだよ。

 怪我したらどうするの。


 「ランツ様!落ち着いてください!」


 クレアはランツを宥めようとしているが無理っぽい。


 「お前らは俺の言う事を聞いていればいいんだよ!」


 そう叫び水晶のようなものを取り出し、ランツがそれを掲げて魔力を込めると光だした。

 何かの魔道具?


 「あはははは!これで全員、俺の言いなりだ!」


 いいなり?

 どゆこと?


 「おい!お前らこっちへこい!」


 ランツが私たちに命令してくる。

 行くわけないと、思ってたのにアンズとクレアがランツの方へ歩いていく。


 「二人とも!どうしたの!?」


 「おそらく、あの水晶の魔道具のせいです。

 あれは人を操る類のものでしょう」


 なるほど。

 だからアンズたちがランツの命令に従ってるんだね。

 サーシャは無事みたいだけど二人を助けないと。


 「なっ!なぜお前たちは俺の言うを聞かない!」


 なぜって、私もサーシャもあなたみたいな子供に遅れはとらないよ。


 「くそっ!俺に従え!」


 尚も水晶型の魔道具に魔力を込めてるけど何回やっても一緒だよ。


 アンズたちを解放するためまずは水晶を鑑定系のスキルでしらべる。


 『支配の宝珠』。

 魔力を注ぐと周囲の人を支配できる魔道具。

 支配力は注いだ魔力量や魔力質によってかわるみたい。


 ランツの魔力量や魔力質はどれぐらいかは分からないけど、この魔道具ならそれほど多くなくてもそれなりに操れそうだ。


 「なんなんだお前ら!なぜ操られないんだよ!」


 すっごい興奮してる。

 とにかくあの魔道具を奪おう。


 よっと。

 転移魔法の応用で魔道具を手に引き寄せる。


 「なっ!お、お前!返せ!」


 魔道具に注がれていた魔力を吸い上げて支配の効果をなくす。


 「あれ?私なにを?」

 「わたくしも何か違和感があったような・・・」


 よかった、二人とも無事に戻ったみたい。

 周りにいた他の人たちも支配されてたみたいだけど、皆無事に戻ってる。

 あとついでにランツが爆発させて壊れちゃったとこも直しておいてあげよう。


 「こいつは城の牢へ入れておきます」


 サーシャがランツを連れてお城へ転移していった。

 連れて行く際にランツを気絶させてたのはいいんだけど・・・お腹そんなに強く殴らなくてもよくない?

 あんまり強く殴ると死んじゃうよ?


 「支配の宝珠」で操られていたことを二人に話して、もう解除したから大丈夫と伝える。

 色々と話をしないといけないけど今は教室に向かう。

 もし遅刻したらまた叱られちゃうよ。

 なんか最近叱られてばっかりだから、もう叱られるのは嫌なんだけどな。

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