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魔王じゃないよ、勇者だよ

 「まずは遅刻にたいしてのお仕置きだ」


 そんな言葉とともにデコピンがココナから飛んできた。


 遅刻はしてないでしょ!?


 「遅刻はしてないかもしれないが、いきなり教室に転移魔法で現れたことにだ」


 てか、やっぱり叱られたよ。

 アンズとクレアも一緒だから叱られないと思ったのに。

 二人にもう叱られたんだから何回も叱んないでよ。

 泣いちゃうよ?


 「それからクレア王女にもある。

 どうしてルーフェスを王城に連れて行ったんだ。気をつけろと言ったでしょ」


 あ、クレアも叱られた。


 「そのことについて学園長から話があるそうだからしばらく待ってくれ」


 えっ、学園長にも叱られるの!?






 「またせたの」


 あれからしばらく待ってると学園長がやってきた。


 「まずは謝らせてくれ。

 すまんかった、ルーフェス様」


 なんで謝られたの?

 それに、様?


 「学園長、どういうことですか!?」


 ココナも疑問に思ったようで学園長に問い詰める。

 疑問に思ったのはアンズもクレアも同じようだ。


 「謝ったのは何か企んでるのではないかと疑ったことにたいしてじゃ」


 なんか知らないけど疑いが晴れた?


 「疑いが晴れたということですか!?それはどういう・・・」


 「王城から連絡があって行ったんじゃが、国王陛下から直々にルーフェス様が大丈夫だと伺ったんじゃよ」


 「その根拠は?」


 「実はクレア王女は呪い、正確には呪いではないが、まぁその呪いのようなものに侵されていたんじゃよ」


 「っえ!クレア王女が・・・」


 ココナは驚いてクレアを見てる。

 学園長はクレアの[魔王殺し]のこと知ってたんだ。


 あと、私のこと大丈夫って言ってくれてありがと、王様。


 「国王陛下の病気も治したのも彼女じゃ」


 そういえば王様も治したっけ、忘れてたよ。


 「国王陛下も病気だったんですか!?」


 「うむ、それに、」


 「まだあるんですか」


 「ああ、ココナはこの国の守護者様のことは知ってあるか?」


 「噂程度には・・・」


 「その守護者様が仕えていたのが彼女らしいんじゃ」


 「守護者様が魔王に!?」


 さっきからココナ、ずっと驚いた顔になってるよ?


 「わたくしからも保証します。

 ルーさんは決して何も企んでなんかおりません」






 ココナが落ち着くのを待つ間に、ちょっとした悪戯を思いついたのでやってみる。


 「ココナ、ちょっと手貸して」


 差し出されたココナの手をとる。


 「なんなの?」


 「実は私[魔王]じゃなくなったんだ」


 鑑定板を収納魔法から出して、[魔王]じゃ無い事を証明する。


 「は?[魔王]じゃなくなってる・・・それに・・・」


 鑑定板を見たココナが驚いてる。

 ついでに学園長まで驚かしちゃったみたい。


 そして、驚いたのは[魔王]じゃなくなったことだけではないだろう。


 「なんで・・・[勇者]に・・・」


 鑑定板には[勇者]の文字もあったのだ。


 ふふふ、驚いてる。

 悪戯成功だね。


 さっき手をとったときにココナの[勇者]の称号の構成を読み解いたんだよね。

 それから〈称号作成〉で作っちゃえば、私も[勇者]になれちゃうってわけ。


 「わはははー!

 今の私は[魔王]ではなく[勇者]なのだー!

 これからは[理不尽勇者]とでも呼ぶがいいー!」


 「ルーちゃん・・・」

 「ルーさん・・・」


 ふははー、と高笑いしてみてたらアンズとクレアに呆れた顔をされた。


 いいもん!

 ココナを驚かせられたから!






 「なんて理不尽な・・・」


 勇者になったタネあかしをしたらそんなことを言われた。

 ちなみに学園長の称号と解析して、[大賢者]も作れるようになった。


 しかもこの[大賢者]、不老だけでなく魔力増強などの魔法に関する特典があるらしい。

 まぁ、私にはあんまり関係ないけど。


 「あなたのことは分かったわ。

 でも、まだ完全に信じられるわけじゃないから覚えておいて」


 ココナの信頼を勝ち取るのは難しいらしい。






 話が終わった後はココナたちと分かれて食堂でお昼ご飯を食べ、教室に戻ってきた。

 休憩も終わり、昼からの授業が始まる。


 「では今から魔法の基礎を復習する」


 魔法の基礎の授業か。

 やっぱり基礎は大事だからね。

 基礎さえできれば、あとは大抵何でもできるもんね。


 「まず魔法とはだが、誰か説明できるものはいるか」


 ココナの質問にクラスの多くの人が手を挙げる。

 もちろん私も。


 そして、選ばれた生徒が説明していく。

 ん?

 なんか違うような?


 「大体は正解だな」


 えっ?

 合ってた?


 魔法ってのは術式を構築して、詠唱して発動すふものって言ってたけど、構築さえできたら詠唱いらないよね?


 「簡単な魔法や熟練の魔法使いなら発動ワードだけで大丈夫だが、実戦で使えるものになると学園長クラスにらならいと無詠唱では使えないな」


 そうなんだ。


 「せんせーい!無詠唱ですごい魔法使う勇者様いましたよね」


 「あれは例外だ」


 へーそんな人いるんだ。


 「そんな勇者様いたっけ?」

 「なんだ知らないのかよー。[魔極勇者]様だよ」

 「あっ!シノリア様のこと?」

 「そうだ」


 シノリア?

 もしかしてあの子のこと?

 でもあの子は[勇者]じゃなかったしなー。

 名前が一緒なだけかな。


 「静かに!授業に戻るぞ」


 ココナは[勇者]のことで盛り上がっていた生徒たちを黙らせて授業に戻った。


 にしても[勇者]かー。

 この称号謎なんだよねー。

 所得条件もざっくりだし、[魔王]と[勇者]の違いとか全然分かんないよ。

 所持者への特典も[魔王]が魔力強化がちょっとすごくて、[勇者]が身体強化がちょっとすごいってだけで、結局両方ともに魔力強化と身体強化があるし殆ど大差はないよね。

 違う意味あるのかな?


 ココナの授業を聞きながら、そんな答えのない疑問に思考を巡らせるのだった。

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