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魔王になろう

 「ダメです」


 絶滅するなら養殖して大量に繁殖させればいいと思い、「これからは草食狼をいっぱい食べれる」と皆に言ってみたんだけど、何故かサーシャに却下されてしまった。


 「なんでダメなの?」


 「以前にもそういう事をしてやりすぎたからです」


 そんなことあったっけ?


 「まさか忘れてないですよね?」


 「お、覚えてるよ!

 もー、何言ってるのさ、忘れるなんて、そんなわけないでしょ!」


 「なら、何のことか言ってみてください」


 「ほらっ、あれでしょあれ、えーっと、増やしすぎたやつでしょ、」


 「はい、それを具体的にと、聞いてるんです」


 全く記憶にないよ、そんなの!

 ほんとにあった?そんなこと。


 「えーっと、美味しい牛を増やしてすぎたとか?」


 「ちがいます」


 「じゃ、じゃあ美味しい鳥を増やしすぎただ!

 うん、間違いない、絶対にそうだよ」


 「全然違います」


 だからわかんないってば!


 「はぁ〜。

 あれだけのことがあったのに、ちゃんと覚えといてくださいよ」


 「あれだけとは、何が合ったのですか?」


 ありがとクレア、私の代わりに聞いてくれて。


 「昔、ルー様が気に入った竜がいたんだ。

 食べたらすごく美味しいからって。

 けど、その竜は滅多に生まれない希少種だったんだけど、ルー様がいっぱい食べたいからって大量に繁殖する方法をみつけたんだ。

 それで大量繁殖は上手くいったんだけど、思いの外増えすぎて、その竜ももともとかなり危険な種類だったんで、それが群をなして暴れだしたんだ。

 [竜帝]もとめようとして、竜同士の争いが起こって、かなりの被害がでたことがあったんだ」


 あー、そういえば、あったような、なかぅたようなー。


 「それ私聞いたことある」


 「わたくしもですわ。

 それは御伽噺ではないのですか?」


 「いや、本当にあったことだ」


 へー、御伽噺になってるんだ。


 「そうだったんだ。

 [竜帝]も御伽噺だけの存在だと思ってたけど、本当にいるの?」


 「ああ、いるぞ」


 [竜帝]ってのは竜族の頂点に存在するものだけが得られる称号だ。

 竜族ってのは、めちゃくちゃ強い種族でその頂点だから、[竜帝]が最強だって言う人もいる。


 あれ?でも御伽噺ってなんでだろ?


 「それは、4000年前の大戦以降、彼女が一切世間に出てきていないからです」


 疑問に思って聞いてみたら、聖域からずっと出てきていないらしい。

 あの子引きこもりになっちゃったのかな?


 「と、話は逸れたが、つまりはその竜同士の争いを引き起こしたのがルー様なのだ」


 「「・・・」」


 何さ、二人とも、そんな目で見ないでよ!

 きっとその時の私も、その竜にすごく感動したんだよ!


 私は二人のジトッとした目線を躱して、部屋にあった果物に手を伸ばして食べたのだった。

 あー、このリンゴ美味しいなーー。






 「そうだ、皆これみてて!」


 私はさっきご飯を食べてる間に思いついたことをやってみようと皆の視線を集める。


 私は収納魔法から鑑定板を取り出してみんなに見せる。

 そして、


 「「「えっ」」」


 鑑定板に浮かび上がってきたのは私の名前と称号の[魔王]という文字だった。


 よしっ!

 せいこーう!


 「どういうことですか、ルー様!?」


 驚く三人を代表してサーシャが問うてくる。


 「称号の壊し方が分かったんだし、その逆をすれば作れるかなーってやってみたらできただけだよ」


 「できただけって・・・」


 「まぁ、構成のしっかりわかってる称号じゃないと作れないけどね」


 「「「・・・」」」


 三人はすごく驚いた顔で固まっている。

 そんなに驚くことかな?

 私には〈全能〉があるんだからそこまで驚く事ないと思うけど。


 「だからね、こうやって消すこともできるよ」


 手に持っていた鑑定板の[魔王]の文字がきえる。

 クレアの称号を壊す時はちょっと失敗しちゃって吐血しちゃったけど、二回目だからもう大丈夫。

 ちょっと疲れるけれど。


 よし、この技を〈称号破壊〉と〈称号作成〉と名付けよう。


 「見ててね」


 こんどは鑑定板に[魔王殺し]の文字が浮かび上がった。

 うん、この称号も問題なく作れるな。

 今作れるのはこの二つだけかな。


 「こんどは[魔王殺し]・・・さすがルー様、やることがむちゃくちゃですね・・・」


 サーシャが驚きに呆れた感じを混じえてつぶやいた。

 めちゃくちゃって、壊せるんだから作れてもおかひく無いよね?

 普通だよね?


 「いいえ、普通は壊せませんし、壊せたからといってつくることもできません」


 そんな事ないと思う。

 普通だとよ普通。

 理不尽にせめないで!


 「[理不尽]なのはルー様です」






 なんか話が嫌な流れになってきたので話を変えることにする。


 「〈称号作成〉を使えばみんなにも称号つけれるけどどうする?」


 「「「・・・」」」


 また皆んなが固まってしまった。


 「どうしたの?」


 「はぁ〜、だからそういう所ですよ、ルー様」


 そういう所?

 そういうって、どういう所のこと?

 全く分からないんだけど・・・


 「もういいです。

 それより簡単に称号を人につけようかなんて言わないでください」


 「どして?」


 「称号とは本来世界そのものから与えられるものです。

 それを人為的に付けるなんて、何があるかわからないからです」


 そっか、そうだよね。

 そう考えると危ないかも。

 ・・・あれ?

 私、自分につけちゃったよ?


 「ルー様なら大丈夫だと思いますよ」


 「なんで私だったらいいの?」


 「[理不尽魔王]だからです」


 またサーシャに納得いかないこと言われた。

 そもそも皆が勝手に私の事を[理不尽魔王]、[理不尽魔王]っていうからそれが広まったんじゃん!

 私的にはちゃんと理にかなったことしてるのに!


 [理不尽]だーー!!

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