自己紹介
「どうしたの?」
ワンワンとお店の中で泣いていると1人の女の子が声をかけてきた。
肩ぐらいの淡い水色の髪で服は高価そうではないけれど女の子らしい可愛らしい服を着た可愛らしい女の子だ。
お金が無くてお菓子が買えなくて泣いていたことお伝えると彼女が買ったお菓子を私に手渡してくれた。
私はそれを「ありがとう」と笑顔で受け取り一口ずつ味わって食べる。
砂糖がいっぱい入っているのかとっても甘いクッキーで食べていると自然と頬が緩んでくる。
空腹なのもあってクッキーはすごく美味しい。
もらったクッキー数枚を食べ終わるともう一度クッキーをくれた女の子に満面の笑みでお礼を言う。
クッキーくれたお礼に何か良さそうな魔道具あったかなと、考えていると名前を言っていないことに気づいたのでとりあえず自己紹介しておく。
「私はルーフェス・クフフル。[理不尽魔王]と呼ばれる最強の魔王よ!」
私はドヤ顔でそう言った。
けど女の子の反応が何かおかしい。
いつもなら「あなたさまがあの[理不尽魔王]様ですか?」と驚いたような反応をするのがこの子は頭の上に「?」を浮かべている。
もしかして私のこと知らない?
私って結構有名人だと思うんだけど?
「私のこと知らない?」
「えっと...魔王様ごっこかな?」
「ごっこじゃくて本物だよ!」
全然信じてくれてない。本物なのに。
どうしたら信じてくれるか、んー。
よし、周りの人に聞こう!
そう思い周りの人に聞いて回っても皆んな同じ反応。
なんで?この街じゃ私の名前伝わってないのかな。
「ルーフェスちゃん?私はアンズ、えっと...よろしく?」
なんか年下に見られてる。絶対私の方が年上だよね。
この子アンズは15歳ぐらいかな?
まあ確かに私の方が背は低いけど...
「私は魔王だから見た目通りの歳じゃないんだよ!」
「あ、そっか、そうだよね、魔王様だもんね。」
これ絶対信じてない!
まあいいや、もう面倒くさいし。
それよりお礼を考えなきゃ。
「アンズ何か欲しい物とかある?何でもいいよ、美味しいお菓子のお礼だから。」
「お礼なんていいよ、気にしないで。それより、お母さんとかは?もう暗くなってきちゃったよ?」
あ、お家ないんだった。どうしよう。
もしかして野宿?
それは嫌だなー。適当な場所にお家建てよっかな?簡易的なのならすぐできるし。
「もしかして、迷子?お母さん一緒に探してあげようか?」
「私はこの街に一人で来たからお母さんとかはいないよ。」
「えっ、じゃあ何処に泊まってるの?」
「お家とかは無いから野宿かな?」
「そんなの駄目だよ!本当に泊まるとこがないなら私のとこに来て!テントだけど。」
どうしよう。
完全に私の事子供だと思ってるみたい。
テントってのは気になるけどお礼の事もあるし取り敢えず着いていこうかな。
心配してくれてるみたいだし。
「わかった、ありがと。」
そうしてアンズに手を引かれながらテントがある所までいくのであった。