魔王喪失
これって私の血?
口の中も血の味がするし私が吐血しちゃったみたい。
けど、どこも痛くはないんだよは。
「ルーちゃん!」
「ルーフェスさん!」
「ルー様!」
あっ、みんなに心配かけちゃったかな?
「大丈夫、大丈夫、なんともないから」
ワタワタしてる三人をおちつかせる。
「クレアごめんね、綺麗な髪を汚しちゃって」
「そんな、謝らないでください。
寧ろわたくしに謝らせてください。わたくしのせいで吐血なされたのに・・・」
あー、
クレアが落ち込んじゃった。
ホントに何も無いから大丈夫なんだけど・・・
ん?
なにか違和感・・・というか喪失感?が有るような・・・
それより今は[魔王殺し]を壊した事をつたえないとね。
私は鑑定板を収納魔法から取り出して、クレアに渡す。
ついでに魔法でクレアの髪を綺麗にする。
「ほらクレア、落ち込んでないでこれに魔力注いで」
「は、はい。
これは・・・鑑定板ですか?
・・・・・・うそ?」
鑑定板に魔力を注いで出た結果に驚いてるみたい。
「・・・なくなってる・・・夢じゃ・・・無いですわよね・・・」
「夢じゃないよ、これで苦しむ事はもうないんだよ」
「あ、ありがとうごさいます・・・本当に、ありがとうございます」
なきながらお礼を言ってくるクレアの頭を撫でながら彼女を宥めた。
「さすがルー様ですが、本当に大丈夫ですか?」
クレアを落ち着かせたあと、サーシャが賞賛と心配をくれる。
何回も言ってるけど心配ない。
「本当に大丈夫だから。ちよっと血を吐いちゃっただけだよ」
「ちょっとて・・・まぁ、ルー様ならこのくらいは大丈夫ですか」
やっとわかってくれたみたい。
サーシャも納得したことで、アンズもさっきよりは心配してないかな。
けど、何か喪失感のようなものがあるきが・・・
「あっ!消えてる!」
「「「消えてる?」」」
そっかー。
なるほどね。
何か喪失感のようなものがあるとおもったら、[魔王]の称号が消えてたんだ。
そういえば、[魔王殺し]の構成を読み解いてる時、何か割れるような音が聞こえた気がしたと思ったら、[魔王]を壊されてたのか。
血を吐いたのもその影響かな?
ちょっと失敗しちゃったみたい。
「そんな・・・わたくしのせいで・・・」
[魔王]が聞けた事を皆に伝えたら、またクレアが落ち込んじゃった。
「だから、気にしないで、別に[魔王]じゃなくなっても困らないないし」
「ですが・・・」
「はい、この話はお終い」
クレアは落ち込んだままだけど、どうしたらいいかわからないので強引に話を変えることにする。
アンズはまた心配そうな顔になってるけど、サーシャの方は気にした様子もないみたい。
えっ、なんで?
さすがにちょっとは気にして欲しいよ?
私、[魔王]じゃなくなったんだよ?
「気にするなクレア。
ルー様ならまた直ぐに[魔王]の称号を得るだろうから」
なるほど、だからそんなに普通だったんだね。
「おーー!!
本当に消えている!!」
クレアが[魔王殺し]がなくなった事を家族に早く伝えたいということなので、クレアのお父様、つまりこの国の王様の部屋まで来ていた。
王様もすごく驚いてるみたいだけど、それ以上に嬉しそうに見える。
やっぱり、娘が長生きできるようになって嬉しいんだな。
「これはサーレイシャ様がしてくれたのですか!?」
「違うわよ、やったのはここにいるルー様」
「君が!?
どうみても子供にしか見えないが?」
やっぱり私の事、初めて見た人は子供だと思うよね。
もう慣れたよ。
自己紹介して私のことをわかってもらおう。
「私はルーフェス・クフフル。
4000年前に封印されて、つい最近この世界には戻ってきた、[理不尽魔王]と呼ばれる最強の魔王なのだ!」
いつも通りの、腰に手を当て仁王立ち&ドヤ顔で自分の名前を告げる。
あっ、わすれてた!
「元、魔王なのだ!」
さっき[魔王]じゃなくなったんだった。
いつもの癖で魔王って言っちゃった。
魔王じゃないのに自分のことを「魔王だ!」なんて言うとかすごく恥ずかしい。
「ルーフェス・・・そうか、君が・・・」
ん?
私のことしってるの?
「なんだツベル、ルー様のこと知っていたのか?」
私の疑問をサーシャが代わりにきいてくれる。
ちなみにツベルとは王様の名前らしい。
「は、はい。
その・・・学園の方から、学園に[魔王]が入学してきたと報告がありまして・・・その名前が“ルーフェス・クフフル”だったんです」
なるほど、学園からね。
あれ?
学園って、私の事何か目的があるとか疑ってなかったっけ?
「それで・・・目的がわからないから、国としても一応気をつけておけとのことでして・・・」
やっぱりそう報告されてた。
「私目的とか特に無いから!別に何かを企んでこの国に来たわけじゃ無いし」
ちゃんと訂正しておかないとね。
こういうのは大事だと思う。
なんとなくだけど、
「そうですわ、お父様!
ルーフェスさんはわたくしの命を救ってくださったのです!
それに、サーレイシャ様の知人なんですよ?
疑うなんて失礼じゃないですか!」
おー
クレアが否定してくれた。
ありがとクレア、信じてくれて。
「落ち着けクレア。そんなことはわかっている。
だが、[魔王]が来たのだ、最低限の警戒は必要だろう」
「ほう?
ここまで言ってるのに私の魔王様を疑うっていうの?」
サーシャちょっと怒ってる?
この子は昔から私のために怒ってくれる事が多かったな。
「い、いえ、それは・・・」
ほら、そんな威圧した言い方で言うから王様が変な汗流してるよ?




