表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/82

辛くない!?

 オムライスの美味しさに忘れていたけど、その匂いに視線をクレアの方に向ける。

 そいて、私が目にしたのは信じられない光景だった。

 それは、クレアが美味しそうにカレーライスを食べていたのだ。

 信じられなくて目を擦ってクレアを見る。

 本当に美味しそうに食べてる!

 もしかしてクレアは舌がおかしい?

 そんな失礼な事を考えていたらクレアが私にカレーライスを勧めてきた。


 「ルーフェスさんも一口食べてみます?」


 どうやらアンズも一口もらっていたようだった。

 えっ!?

 アンズも全然辛そうにしていない!?

 もしかして、緊張で味がわからなかった?


 「ルーちゃん、大丈夫、そんなに辛く無いよ?」


 うっ、

 アンズがそう言うなら・・・一口・・・だけ・・・

 カレールゥが少なくなるようにスプーンで少しだけすくって、目をつぶって口に運ぶ。

 あれ?

 辛くない?

 遅れてくるのかと少し待ってみたけど辛さがこない。

 正確には全く辛くないわけではないけど、前に食べた時よりはマシ。

 というか、美味しい!

 意外な美味しさに目を丸くしていると、クレアとアンズからクスクスと笑い声が聞こえてきた。


 「そんなに辛くなくて美味しいでしょ?」


 「普通のカレーライスはこれくらいの辛さなんですけど、以前食べたのがよっぽど辛いモノだったのではないでしょうか?」


 そうだとしたら、あの時食べた辛いのは、もしかしてからかわれた?

 うー、

 カレーライスがこんなに美味しい食べ物だったなんて、初めて食べた時からずっと食べないように避けてきた自分が少し恥ずかしい。




 「「「ごちそうさま」」」


 カレーライスが美味しくてもっと欲しかったけど、あのまま食べているとクレアの分を全部食べ切ってしまいそうだったので、カレーライスは今日の晩御飯のときにでも食べようと思い、自分のを食べることにした。


 三人とも食べ終わり、その頃にはアンズのクレアへの緊張もすこしほぐれたように思う。




 お昼ごはんを食べ終わった私たちは、アンズとクレアの部屋に戻ってきていた。

 今日は特にすることが無いのでこれからはお喋りの時間だ。

 グレアのことを色々と聞いたり、アンズのことをクレアに話したりした。

 私のことはココナに口止めされているのであまり話せることがなく、適当に誤魔化した。


 色々な話をしていたら、晩ご飯の時間になったので食堂へ向かう。

 私はもちろカレーライスを頼む。

 クレアはナポリタン、アンズはグラタンというモノにしたらしい。

 グラタンという料理も初めて見た。

 アンズが食べているのを見てると、とろ〜とチーズが伸びてすごく美味しそう。

 そう思って見ていると、「食べてみる?」とアンズが尋ねてきたので「うん」と頷く。

 少しあまえて「あーん」と口を開けたらスプーンですくって、私の口に入れてくれた。

 美味しい!

 暑いけど、少し甘みがあって、チーズもとろとろですごく美味しい!

 お礼にと思い私もカレーライスを一口分スプーンですくってアンズに「あーん」と言いながらスプーンを突き出すと、少しぎこちない動きだったけど食べてくれた。

 私たちのそんなやりとりをクレアが見ていたので、お昼ご飯に一口貰ったお礼にクレアにも「あーん」とカレーライスを一口分すくってスプーンを突き出してみた。

 それにクレアはいきなりだったので少し驚いたようだったけど食べてくれた。

 私がクレアに一口あげている間、アンズは何故かスプーンを見つめていた。

 それに頬が少し赤いような・・・

 大丈夫かな?


 「な、なんでも無いよ!」


 心配になって大丈夫かときいてみたけど、動揺したような返事が返ってくる。

 どうして動揺しているのか、よくわからないけど、ご飯をパクパクと食べ始めたから多分大丈夫かな。

 無理してる感じもないしね。




 晩ご飯を食べ終わった私たちはお風呂に入らに来ていた。

 寮にはお風呂がついていて、掃除のとき以外なら基本的いつでも入れるようになっている。


 脱衣所で服を脱ぎ、お風呂場に向かう。

 テント生活だったころも何回か公衆浴場に行っていたんだけど、人が思ったより多くてあんまりのんびりと入っていられなかった。

 けど今はクレアがいるからか、皆私たちの周りを避けているような感じがする。



 「背中洗ってあげるよ!」


 アンズがバスチェアに座ったので、その後ろに座ってアンズの背中を洗う。

 公衆浴場で一緒に入っていた時はいつも背中の洗いっこをしていた。

 今日は、というか今日からは多分クレアも一緒に入るだろうから三人で洗いっこすると思う。


 「アンズの次はクレアを洗ってあげるねー!」


 アンズの背中を洗って、クレアの後ろに移動して、クレアの背中を洗う。

 クレアは最初、遠慮していたようだったけど、半ば強引に洗った。

 でも、強引にしたからといって、強くゴシゴシと洗ったわけではなく、優しくふわふわと洗った。

 石鹸はお風呂場にもあったけど、私の泡魔法で洗った。

 この魔法はどんな石鹸よりも綺麗に、そして皮膚に優しくなるように私が頑張って作ったモノで、この魔法を使える人はほとんどいないと思う。


 みんなが身体を洗い終わって、湯船に浸かる。

 ふぅ〜〜

 やっぱり、お風呂はいいよね〜。


 お風呂に浸かりながら他愛のない話をし、穏やかな時間が過ぎていく。

 他の人たちがこちらをチラチラと見てる気がするけど気にしない。

 多分、王女なクレアを見てるだけだらうから。


 ゆったりとお風呂に浸かった後、お風呂から出てパジャマに着替えて部屋に戻る。


 「おやすみ、ルーちゃん」

 「おやすみなさい」


 「二人とも、おやすみ」


 私は部屋が違うので、ドアの前で別れておやすみのあいさつをする。

 二人が自分たちの部屋に入った後、私は隣の部屋に入る。

 部屋の大きさは、アンズたちの部屋に比べたら少し小さめだったけど、一人で使うには十分な広さだ。

 それに、私は収納魔法に持ち物を全て入れているので、最悪ベッドさえあれば十分だ。


 ベッドに入り目をつぶる。

 明日から授業が始まる。学園は明日からのようなものだ。

 授業って、どんななんだろう?

 私は初めての授業に胸を膨らませながら、眠りにつくのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ