睡眠魔法のせいだから
「話というのは昨日のことだ」
ココナに連れてこられたのは誰もいない部屋。
いまこの部屋にいるのは、私とアンズ、ココナ、それに何故か学園長もいる?
もしかして寝てたのバレた?
そのことなら睡眠魔法をかけられたと言い訳しよう。
「まずひとつ言っておきたいことがある。
模擬戦とはいえ、あそこまでやるのは酷いと思う。
少しは自重をしろ!」
いたっ、
怒られないと思ったのに頭にデコピンをくらってしまった。
しかも、デコピンする時〈身体強化〉使ってたし、
自重したよ?
まぁ気絶はさせちゃったけど・・・
アンズに「何かしたの?」って顔で見られてる。
よし、気づかないふりをしよう!
「それと今日のワシの話の途中、寝とったじゃろ?」
うわー、
やっぱりバレてたー。
「ち、違うよ!
あれは、睡眠魔法をかけられてたから仕方なかったんだよ!」
「睡眠魔法?
そんなの誰にかけられたんじゃ?」
「それは・・・学園長?かな?」
「ワシはそんなの使っておらんが?」
「あの長くて面白くない退屈な話が睡眠魔法だったんだよ!
うん、きっとそう。
きっと魔王とかにしかきかないやつ!
無意識に使っちゃってたんだね!
危ないなー。
次からは気をつけてね!」
「そんなわけあるか!」
いったーー。
また、ココナにデコピンされた。
しかもさっきより強かったし。
やっぱり誤魔化せなかったか。
「はぁ、学園長の話をそんな風に言う人、初めて見たわ。
まぁそれは置いとくとして、あなたは[魔王]で間違いないのね?」
昨日も鑑定板での鑑定を確認してたので、「うん」と頷く。
「なら、あなたの力は出来るだけ隠しておくやうに。
魔王であることもね。
アンズも悪いけどルーフェスのフォロー頼むわ。
この子、うっかり何かしそうだから」
なるほど、それを言うためにアンズもよんだのか。
てっ、
なにかしそうって酷い!
確かに昔は色々やらかして怒られたりしてたけど・・・。
にしても、力を隠せかー。
面倒だなー。
「わ、わかりました!
私にどれだけルーちゃんのフォローができるか分からないけど、出来るだけやってみます!」
うわー、
アンズがなんでかやる気だ。
それなら私も出来るだけアンズに迷惑をかけないようにしないと。
私は一人部屋かー。
ココナたちから話を聞き終わった後、私たちは事務に来ていた。
ココナたちからは色々注意を受け、その時聞いたのだけど私の部屋も一人部屋にしたらしい。
魔王であることを隠すのにその方がいいとか言ってたけど、それならアンズと一緒にしてほしかった。
入学金を渡して部屋の場所を聞く。
規模はみんな二人部屋なので、アンズも二人部屋。
私とアンズの部屋は隣同士なので、不幸中の幸いってやつかな?
なんか違う気がするけど、なんでもいいや。
私たちはアンズの部屋にやってきた。
アンズの荷物も私がもってるからだ。
「ありがとう、ルーちゃん!」
収納魔法からアンズの荷物を出す。
「これからどうする?
お昼ご飯食べてないから今から食堂向かう?」
この学園には食堂があり、先生も生徒も、皆そこでご飯を食べるらしい。
値段もかなり安いらしいので、金銭的に困ってる人も嬉しくなっている。
「私は同室の子待ってるから、先に行ってていいよ」
「待つなら私も待つよ、さっきは私が待ってくれてたし、アンズの同室の子なら私も会ってみたいし」
同室の子がどんな人かを話ながら少し待っている、部屋の扉が開かれ、件の人と思われる人が入ってきた。
「あっ、もう来てたんだですね。
はじめまして、わたくしクレアといいます。
よろしくお願いしますね」
クレアと名乗った子は15歳くらいの女の子。
金髪の綺麗な髪で、服も豪華でとても綺麗、まるでお姫様みたいな仔。
「お、王女様!」
みたいじゃなくて、本当にお姫様だった。
「わ、私なんかが、王女様と一緒の部屋なんて、恐れ多いです!」
「学園では、身分の差は気にしないでいいですよ。
わたくしたちは同じ一年生なのですから。
ところで、あなたたちのお名前を伺っても?」
「私はルーフェス・クフフル。まお、よろしく」
「まお?」
危ない、魔王っていいかけてしまった。
「わ、私は、あ、アンズ、でしゆ!」
緊張しすぎて噛んだ。
可愛い。
「そんなに緊張しないで。
アンズさんがわたくしのルームメイトですよね?
ルーフェスさんはアンズさんのお友達かしら?」
「うん!アンズの友達だよ!」
それからはアンズが緊張していたため、私がクレアと話をして、一緒に食堂に行きお昼ごはんを食べることにした。
食堂について中に入る。
すると中はかなりの人がいた。
カウンターの方も人がいっぱい並んでいる。
私たちも列の最後に並んだのだけど、
「王女様っ!どうぞお先に言ってください!」
と、並んでたひとが皆先を進めてくる。
でもクレアは、さっきアンズに言ったように「同じ学生だから」と断っていた。
お姫様なのに偉ぶらないなんて凄いな。
こっちーーーというかクレアーーーをチラチラ見てきたのが少し気になってたけど、ようやくカウンターに着いた。
並んでいる間に三人ともな何にするのか決めていたので、それを各々注文する。
私はふわふわ卵オムライスというのにした。
4000年前には無かったと思うけど、料理の絵を見てすごく美味しそうだったのと、「ふわふわ」というワードがきになったからこれにした。
アンズも私と同じモノで、クレアはカレーライスにしていた。
カレーライスは私も食べたことがあったけど、あれはすごく辛かったので苦手だ。
クレアはよくあんなに辛いものが食べられる。
知らないのかと思って心配して聞いてみたけど、「大丈夫」と言っていた。
その口ぶりも何度か食べたことがあるみたいな感じだったので、あまりしつこくは言わないようにした。
出来上がった料理を受け取り、空いているテーブルに向かいイスに座る。
「いただきます」とつげてからオムライスを食べる。
オムライスというのは焼いた卵で赤いお米をを包んだモノだった。
卵もふわふわですごく美味しそう。
スプーンですくい口に運ぶ。
ふわふわの食感が最初に伝わって、噛めば少し甘めの卵の味と赤いお米の味が相まってとっても美味しい!初めて食べる味だけど、この味は結構好きかも!
「ルーちゃん美味しい?」
一口食べて、ほっぺを落としていた私にアンズが問いかけてきたので「うん」と満面の笑みで答える。
そんな私の返答にアンズも笑顔になって「今度機会があったら、私も作ってあげるね」と微笑んでくれた。
やったーー!
アンズの料理は好きだから、すっごく嬉しい!
それにこんなに美味しいオムライス、アンズならもっと美味しく作ってくれそうだ。
「ありがと!」
アンズにすごく感謝の気持ちを込めて、笑顔でそう伝えた。