表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旋律はいつもドリン系  作者: 鍵森 裕
1章 始まりは、そんなもん。
6/66

6話 遥かなる教室。

 1年5組は校庭側の一番南の校舎(南校舎)の3階にあった。


 階段をあがってすぐの教室が5組。奥に6組、7組とつづいている。


 ところが、上がりきった、その先の廊下から進めなくなってしまった。女生徒がこれでもかというくらい群がっていたのだ。


 ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃぺちゃくちゃぺちゃくちゃ。教室の中で話せばいいのに、なぜか廊下でぺちゃくちゃ。


 外の通学路の解放された場所でさえ、顔を赤くして小走りで登校しなければならいほど緊張したのに……。


 女生徒の頭越しに見ると、どうやら階段を登りきったここが一番女子高生密度が高いようだった。後から来た女子は、「ちょっと、ごめんね」とか言いながら先へ進んで行く。


 男子はみんなここで足留めをくらう。それがよけいに人口密度を高くしていた。


 南校舎の反対側の階段からあがれば、なんとか教室にたどりつけそうだった。5、6、7組の男子はみんなお互いを見合わせた。


 無理だ。ここは進めない。勇気をもって引き返そう。


 そういう目をして、そこにいた男子はみんな階段を降りて行った。南校舎の二階全体は職員室になっていて、一般生徒は通り抜けできない。


 一階まで降りた。


 階段を降りる途中に何人か男子生徒とすれ違ったが、ワシ達はなんにも言わなかった。


 もしかしたら、そいつは……。


「ふん、女子なんてかんけーねー」とか言って女子の海を泳ぎきれる奴かもしれないのだ。


 南校舎の一番東の階段(東階段)から一番端まで行った。また階段(西階段)をあがって、やっと5組の教室の反対の入口までたどり着いた。


 7組の連中は今度は階段をあがればすぐそこが教室だが、ワシは5組だから、今度は2教室分の廊下を歩かねばならなかったのだ。


 その廊下にだって、女子が大勢いるのだ。先ほどの場所よりはいくらかましという程度だった。


 後ろを見ると階段ですれ違ったやつもついてくる。でも、ワシはおまえ達を責めたりはしない。これから3年間、苦悩を共にする仲間だ。女子に負けず一緒にガンバロウじゃないか。


 そんな、苦悩は1週間もすればすっかり慣れてしまい、しばらくは、喜びにすら感じ。更にそれが過ぎると、卒業まで当たり前のこととして何も感じなくなってしまった。


 そして、卒業してから失ったものの大きさを知った。


◆◆


 教室に入ると驚がくの事実を知ることになる。女子の海を渡ることなど、全然たいしたことじゃなかったほどの。


 藤本正輝がそこにいたのだ。


***当時の後書き


 すみません、まだマンドリンクラブに入部できません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ