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旋律はいつもドリン系  作者: 鍵森 裕
1章 始まりは、そんなもん。
21/66

21話 最初は右手の練習よ。

 昨日に引き続き、ギターの練習が始まった。まずは座り方だ。


「そんなに、深く腰掛けないで。藤本くん。もう少し浅く、背もたれは使わないように」


「はい、棗田先輩!」


 嬉しそうに藤本が答える。今、わかっててやったろう、背もたれ!


 ワシが昨日教わったように座っていると。


「はい。チハルくんは、よろしい」


 藤本の目が光った。


 ふっふっふ。ワシにはわかったぞ、藤本。君も『マーくん』とか『マサキくん』とか呼んで欲しいのだろう。しかし、さすがに自分から呼び方を変えてくれとは言えまい。


 藤本が恨めしそうな目つきでワシを見る。


 恋する人の弟ゆえか、はたまたワシ自身に年上の女性の何かを、くすぐるものがある。……のか?


「あっ、青山君。今は右手だけの練習だから左手は、ネックの根元の方に置いておくんでしょ」


 ……どうも、その時の気分のようだ。


◆◆


 しかし、このギターというやつはどうも持ちにくい。クラシックギターは足を組む場合、正式には左足を上にして足を組むそうじゃが。ワシは通常、足を組む場合に右足を上にする。左足を上にすると違和感がある。


 その上、その左足に瓢箪型のギターのくぼみを乗せるのだが、これが滑る。


 どうも収まりが悪い。棗田先輩のようにピシッと決まらない。


 藤本も同様に……。あれ、決まってるぞ?!


 もちろん、棗田先輩のようには決まってないが。ワシのように右手で弦を弾く練習をしているより、滑るのを抑えるのに苦労をしてるのに比べると遥かに、安定している。


 ……もしや、藤本?!


 ワシは、一抹の不安を覚えた。


 トンテン、トンテン、トンテン。


 藤本は右手人さし指と中指で調子よく。1弦のミの解放弦(何も押さえない)を──


 トン(ミ)、テン(ミ)、トン(ミ)、テン(ミ)と弾いていく。


「いいんじゃない、マサキくん。その調子」


 藤本は『マサキくん』と呼ばれて満面の笑顔だ。


 ワシときたら……。


 トンテン、ツルン、ゴソゴソ(ギターの位置を直している)……。


 トンテン、ツルン、ゴソゴソ(ギターの位置を直している)……。


「……」


 棗田先輩なんとか言って下さい。


「そのうち、なれるわ。青山君」


 しかも『青山君』だし。


 棗田先輩も藤本がギターに慣れているようなのを気づいていた。


「藤本クン。ギターやったことあるの?」


 来ました。というような顔をして藤本が言った。


「知り合いにフォークをちょっと。ピックでコードを鳴らすくらいですけど」


 不安適中。


 しかもスラスラと言いやがって、絶対この台詞練習していたな。


 藤本、ずるいぞ。やっぱり経験者だったのか!


◆◆


 ……って。コードって何?


***当時の後書き


現在はドリン系の人も足台を使うのが普通になっていますが、この当時(30年位前)のマンドリン部での合奏はギターでさえ足台を使わずに演奏をしている所が大勢ありました。

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