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旋律はいつもドリン系  作者: 鍵森 裕
1章 始まりは、そんなもん。
19/66

19話 マンドリン部に入れ。ベースを弾くのじゃ!

 翌日、ネンと電話で待ち合わせの車輌を変えた。藤本と顔を合わせないためだ。


「ネン。マンドリン部に入れ。そしてベースを弾くのじゃ!」ワシはいつも単刀直入じゃ。


「うん。いいよ!」


「えー!!いいの?」


「青山君が今、入れって言ったんじゃないか」


「うーん。そうなんじゃが…」


 こまった。昨晩、ネンのクラブ勧誘プランを脳内シミュレーションしていたのだ。


◆◆


「ネン。マンドリン部に入れ!」


「いやだ!」


「そう言うと思った。ならば、こうじゃ」


 藤本登場。


「キャー。入部します」


◆◆


 というシナリオだったのだが、これでは今度は藤本がいること自体が、ネックになりはしないか?


 脳内シミュレーション2開始!


◆◆


「おめでとう、これでネンも部員じゃ」


 藤本登場。


「キャー。入部やめます」


◆◆


 いけん、いけん。これは不味いぞ!


 ワシは放課後まで、休み時間になる度にネンのいる1組へ通った。もちろん、藤本がマンドリン部にいることは隠したままだ。


 やれ、藤本が今日こんなドジをした。やれ、藤本は女子に弱い。やれ、藤本は案外いい奴だぞ。などなど、藤本正輝マイルド大作戦なのじゃ。


「なんで、そんなに藤本君の話ばかりするの?」


 いくらのんびりしたネンでも、これだけ藤本の話ばかりしていると、おかしいと思うのは無理もない。


 どちらかというと、一般人であるワシらにとってはできるだけ避けたいような話題だ。


「それは、キャンディーズのランちゃんが、かわいいとか、ピンクレディーのミ-ちゃんが好きとか、アイドルの話をするように藤本といえば、ある意味有名人。有名人が身近にいると、その話題が出るのが普通じゃ。藤本は実は、マイルドだった……。これは事件なのじゃ!」


 ワシはネンの顔をのぞき込む様にして言った。


「じゃろ?!」


「そ、そうかなあ……」


 ネンは納得はしないが、それでもワシの意図はわからないようだった。あたりまえだ。藤本がマンドリン部にいるなんて、ワシ自身そうだったように、ネンの想像のはるか外にあることだった。


◆◆


 放課後、ネンをさそって部室に行く。


 藤本には少し遅れて、クラブに行くように頼んでおいた。


「わー。ここは特に女子密度がたかいなあ」ネンが感心するように言った。


 宮島部長にベース希望者だと紹介すると、思った以上に喜んでくれた。やはりベースはいつも悩みの種らしい。入部の手続きをして、ベースの2年の川田先輩に引き合わせた。ベースは3年生がいないので川田先輩がベースのトップだ。


「チハル。よくやってくれた。さすが、青山先輩の弟だ!」


 川田先輩は兄貴の直接のベースの弟子だったから、非常に兄貴を尊敬しておった。


 そして、ワシを抱き締めんばかりに喜んでくれた。というか、ホントにハグされた。


◆◆


 そこへ、藤本登場!


***当時の後書き


マンドリンクラブに限らず、女性のベース奏者をよくお見かけしますが。女性がさっそうとあの大きなベースを弾く姿はほれぼれします。そう思うのは、わたしだけでしょうか。

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