表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旋律はいつもドリン系  作者: 鍵森 裕
1章 始まりは、そんなもん。
18/66

18話 全国高校ギター・マンドリンフェスティバルに向けて。

 弾!弾、弾、弾(ダン!ダン、ダン、ダン)。出だしフォルテシモでCの和音。


 弾!弾、弾、弾(ダン!ダン、ダン、ダン)。もう一度、今度はG7の和音。


 そして、イタリアの風景を思わせるようなマンドリンの軽やかなピッキング。


 ローマ・トリノ序曲(ジョバンニ作曲)


 マイナーな曲かもしれませんが、私にとっては初めてのマンドリン合奏曲。この旋律を思い浮かべる度に甘酸っぱい高校生の頃を思いだします。自分の中では今でもベストスリーに入る曲です。


 6月(この頃)に大阪で全国高校ギター・マンドリンフェスティバルが行われる。その大会に向けての練習だ。また、この曲が8月の定期演奏会のメインの曲になる。


 初めて、聞くなまの合奏。しかも、間近で聞く迫力。


 なーんか、かっこいいんじゃないの!


 そういう顔をして藤本とワシはお互いを見た。今日は新学期になって、はじめての練習だった。たった2人だけど、ワシ達というギャラリーまでいるので、先輩方もいつも以上に力が入っていたのかもしれない。


 2、3年だけなので20人ほどの小人数。これから1年生が加わって、パートの編成などを充実していくことになるそうだ。


 だから、はやく戦力になってくれ。合奏の後、宮島部長がそう説明してくれた。


◆◆


 藤本と一緒に電車で帰る。


 朝、この藤本から逃げるように電車を降りたのに!


 電車のなかで藤本が、ローマ・トリノを鼻歌で「ふん、ふんふふん」とやっている。


 あまり覚えていないのか、お気に入りのフレーズを何度もリフレーン。そういえば朝、女子の壁を越えたあとも顔を赤くして鼻歌を歌っていたな。


 なんか、かわいいぞマーくん。


 ワシが「じゃっ!」


「んじゃっ」と藤本が返す。


 藤本は次の駅で降りる。長い一日が終わった。


 自転車をこぎながら、思いだした。


「そうだ。ネン(田中)をベースに引き込まなければならんのじゃ!」


***当時の後書き


(社)全日本高等学校ギター・マンドリン音楽振興会のホームページをみると、今まで『ローマ・トリノ序曲』の演奏会数はわずか4回。1回しか演奏してない曲目も多数あるので、特別少ないというわけではないのでしょうが。振興会のホームページには詳しい内訳はわかりませんが、そのうちの3回を覚えています。私たちが1回。私たちが演奏する数校前に偶然1回(優秀賞)。数年後(たしか1~3年後)慶應義塾志木高校がこの曲ですごい演奏をしたそうです。(残念ながら私は聞けませんでしたが、生で聞いた兄が興奮しながら教えてくれました)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ