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旋律はいつもドリン系  作者: 鍵森 裕
1章 始まりは、そんなもん。
17/66

17話 指揮者は顧問の古森先生。

 ギターとベースは裁縫実習室の方を練習場に使っていた。ドリン系【マンドリン・ドラ・セロ】は反対側の教室が練習場だ。


 合奏場をするのは当然広い方の裁縫実習室だ。もうだれも裁縫室とは呼ばず、合奏場と呼んでいた。


 練習を始めて(ほとんどがおしゃべりだったが)1時間もするとドリンの練習場から宮島部長がやって来て叫んだ。


「古森先生来たぞ。合奏するからチューニング始めろ」


 古森先生というのは、マンドリンクラブの顧問だ。このクラブでは基本的に顧問の先生が指揮者だった。


「先生、いつもならもう少し遅い時間に来るのに」と言って、棗田先輩は古森先生のことも教えてくれた。


 28才。独身。社会の先生。髪の毛がうすくなりかけているせいか、若いんだかどうか、ちょっと見た目よくわからない。結構若いのに年寄り臭い話し方。社会の先生だからなのか?


 まだ、顧問になって日が浅くて『指揮』練習中!花嫁募集中!


 2人とも、もう帰ってもいいと言われたが、せっかくなのでちょっと聞いてみることにした。


 次々とチューニングが終わった先輩から椅子に座っていく。前の方から埋まっていくのは、3年生。きっと手際がいいのじゃろう。


 どっしりと余裕を漂わせて、譜面台の楽譜をチェックしたり、キュ、キュッと楽器のネックを拭いたりしている。


 古森先生は指揮台の横で、両手を上げたり下げたり。そして首を傾げている。たぶん出だしの練習だと思うが、素人のワシが見ても、なにかぎこちない感じがした。


 それから時々ワシらの方を見る。最初、新入部員だからかと思ったがすぐ、理由が分かった。


 ああ、なるほど古森先生も藤本を見に来たのか!


 その藤本はギターの最前列に座っている、棗田先輩しか見ていない。古森先生がしきりに、こちらの様子をうかがっているのに、気づきもしないでいる。


ワシは心の中で今日、何度目かの太鼓判を押した。


 大丈夫です先生。彼は今、無害化されています。


 さあ、合奏が始まった!


***当時の後書き


私も、一度だけ演奏会で指揮をした事があります。2度としないと誓いました。

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