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旋律はいつもドリン系  作者: 鍵森 裕
1章 始まりは、そんなもん。
14/66

14話 大人の恋のはじまり。

どうも、10人前後の方が読んで下さっているようです。本当にありがたい思いです。今から12年くらい前に、さらに30年以上も前の事を思い出しながら書いてました。久しぶりに読み返すと、読みにくいなとか、わかりにくいなとか思います。でも自分の自伝みたいなものなので、私にとっては大切な作品です。

 ワシはギターを弾くことにした。


 マンドリンクラブでギター! つまりこれは、旋律からのお別れを意味する。


 マンドリンクラブの花形は、やはりマンドリンなのだ。そう、いつも主旋律をとるのはマンドリン系だけなのだ。


 だけどこの時は、ワシの頭の中はピンクの未来だけを思い描いていた。


 ギターは女にモテル!


「ほいじゃ、ギターね。ちょっと待っとれ」


 宮島部長が部室から出て行き、すぐに女の先輩をつれて戻ってきた。


 その人は色白で肉付きがよかったが、しかし太っているというわけではなく、身体全体でやさしそうな笑みをうかべている……という印象の女性だった。


「この人が、おまえらの先生。3年のギターの棗田(なつめだ)だ。しっかり教えてもらえよ」


 宮島部長はそう言い残すと、自分の楽器を持って部室を出て行った。


棗田(なつめだ)です。えーっと」


「青山 千春です」ワシは、冷静に自己紹介をした。


「ふ、ふ、藤本 正輝です」藤本が吃りつつ、あわてて続けた。


 クククク。藤本め、どもってやんの。と思った時!


「よろしくね、チハルくん。マサキくん」


 棗田先輩は、そう言ってワシらに(特にワシに)向けて微笑んだ(はずだ)。


 チハルくん。チハルくんて言われちゃったのじゃ……。


 最初は、やさしそうなお姉さんだな……ぐらいにしか思わなかったが、この瞬間ワシの心臓は何かにわしづかみされた。


 キュンなのじゃ!


 体中の毛穴から何かが入り込んでくる。


 その何かが血管を通して体中を駆け巡る。


 足先から手の指の先から血が逆流してくるのが感じられる。


 顔が赤くなり、動悸が激しくなっていく。


 体温の上昇がはっきり感じられた。


 あ、熱い。む、胸が痛い!


 この熱はきっと、昼飯の弁当の熱量分くらいありそうだ。恋をすると痩せるのは、きっとこういう事だったんじゃな。これが高校生の恋なのね。ワシは今、大人の仲間入りなのじゃあぁ。……とか思っていると。


「な、な、棗田先輩のし、し、下の名前はなんですか?」


 声を裏返らせ、引き続き吃ったまま藤本が聞いた。


 なに? と思って藤本の顔を見ると顔が赤い。


 あ、こいつも大人の恋!?


***当時の後書き


この恋の行方はいずこに?この頃は年上の人が綺麗に見えました。『綺麗なお姉さん好きですか』『はい。好きです』てな感じですかね。

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