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旋律はいつもドリン系  作者: 鍵森 裕
1章 始まりは、そんなもん。
12/66

12話 とうとう入部したのじゃが……。

 ワシは絶句状態になっていた。口を半開きにして、さぞ間抜けな顔をしていたことだろう。


「マーくん……」


「おう、チハルじゃないか」


「チハルも、ギタマンに入るつもりじゃったんか?」


 マーくんが意外そうな顔で言った。


 そこでワシも我にかえった。


 なんで、藤本がおるんじゃ? 不良の入るクラブじゃないぞここは!


 ワシの方こそ意外だったのだ。


「おまえら、知り合いか?」


 眼鏡のちょっと陰気な目つきの先輩が言った。


 ワシが「はい、同じクラスです」と答えた。


「入部希望なんですが」


「めずらしいな、初日から2人も」と陰気眼鏡は言いながら、引き出しを開けて、わら半紙でガリ版刷りの用紙を差し出した。


「これ、入部届」


「ここに、名前とかクラスを書くんだ」


 マーくんが横から口を出した。


 見ると、陰気な眼鏡の前に同じ紙がもうすでに記入されてあった。藤本が書いた入部届けだった。


 ワシが入部届けを書いている最中、部員たちが部室に入ってきては、ちらちらとワシら方を見ながら楽器をケースから取り出して退室して行く。


◆◆


 ここでマンドリン合奏と主な楽器を紹介しておきます。


 マンドリン合奏はマンドリン属を中心に編成されたオーケストラです。


マンドリン属(マンドリン、マンドラ、セロ)にクラシックギターとコントラバスを加えています。


●第1マンドリン

●第2マンドリン

●マンドラ

●セロ

●ギター(クラシックギター)

●コントラバス(ベース)

による弦楽6部編成が一般的です。

(wikipedia 参照)


◆◆


 ワシら2人の書いた入部届けを見比べながら、陰気な眼鏡は「俺、部長の宮島」と名乗った。そして、希望する楽器はあるかと聞いた。


 先に藤本が口を開いた。


「ギターがやりたいです」


「ふーん、ギターね。ギターとマンドリンは個人持ちだから、だいたい2万円くらいかかるけど大丈夫か? ベースとかセロ、ドラは学校のを貸すよ。お金、いらないよ。親に言わなくていいのか?」


 宮島部長はドラだった。


「いえ、大丈夫です。ギターやります」


 藤本は力強く断言した。


「ワシは……」と言いかけた時、藤本が言った。


「チハルもギターにしろ!」


「えっ? いや、ワシは兄貴にベースをやれと……」


 大阪の専門学校に行った兄貴から、入部したらベースを希望しろと言われていた。


 ギターとかマンドリンは希望者が多いので心配ないが、ベースやセロなど、なじみのない楽器はなり手が少なかったのだ。兄貴にすれば自分が卒業した後の後釜を用意してやりたかったのだろう。


 藤本が耳もとで囁いた。


「ギターが弾けたら、女にモテルぞ」


 悪魔かおまえは!


「ほんとか? マーくん!」


 乗るのか、ワシ!!


***当時の後書き


当時はコピーとかは、まだ一般的じゃなくて、ほとんどガリ版わら半紙でした。楽譜は青焼きです。若い人は知らないでしょうね。

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