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旋律はいつもドリン系  作者: 鍵森 裕
1章 始まりは、そんなもん。
11/66

11話 オンボロ木造校舎の2階で。

 築、ん十年のオンボロ木造2階建校舎。部室はその2階にあった。……というより、2階全部をマンドリンクラブが使っていたのだ。


 その木造校舎は全体が家庭科棟ということで、1階が調理実習用。2階が裁縫実習用になっていたのが、最近は家庭科の授業自体がなくなり使われなくなったのだ。


 オンボロ校舎に入るとギシギシ鳴る廊下がつづいている。左手に階段があり、上からかすかにチリンチリンという音が聞こえてきた。


 マンドリンの音かな?


 そう思いながら、階段を上がって行った。


階段を上がると、また廊下が奥につづく。2階には教室が2つある。手前は普通の教室だったが、奥の教室は裁縫実習室でかなり大きかった。


◆◆


 本当の部室はその2つの教室のまん中にある、実習準備室と呼ばれていた部屋だったが、

実際にはマンドリンクラブが2階を独占的に占有していたのだ。


 女子生徒が顔を少し傾けて楽器の方を耳まで抱えあげながら、チリン、チリンと音を鳴らしていた。チューニング(音合わせ)をしていたのだが、この時は、まだそんなことは知らない。


「あの、入部したいんですが……」


 ドキドキしながらそう言うと、彼女はチリンチリンさせながら目で奥の部屋の扉を指した。そこが部室だった。


 扉の上には『GMC』と描いた、木製の手づくりの看板がかかっていた。


『ギター・マンドリン・クラブ』の略だ。


 一応、遠慮がちにノックをしたが返事はない。扉をそっと開けて中に入った。


 そこは部室というより、楽器庫だった。3メートル幅の細長い部屋で、片側の壁は見るからに自分達で作りましたという感じの棚があり、楽器ケースがずらりとならんでいた。


 奥の壁は一面窓で、日当たりがよく、窓の外に校舎の屋根くらいまでの木が見えた。たぶん窓の下は自転車置場だ。


 部屋の奥に木製の机とパイプ椅子が四、五脚あった。


 男子生徒が2人いる。


 一人は窓を背に大きな机の前に座っている。銀縁のメガネをかけたその人は陰気な目つきで、なんだ、おみゃーは? という雰囲気でこちらを見た。


(なんか、この人どっかで見たことある雰囲気だな)と思ったが、ワシに背を向けて座っていたもう1人がこちらに振り向いた。


 藤本正輝マーくんだった。


***当時の後書き


やっと部室に到着しました。

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