ヒロインとお姫様抱っこ
私の名前はヒロイン!
この乙女ゲームの主人公なの!
ゲームをプレイしていたらこっちの世界に来ちゃったの。しーかーもー…。完クリしちゃってたから適当にヒロインってつけちゃった状態で来たから…。名前、ヒロイン。
………ってはぁ!?
いやいやいやいや。自分で思っといたけどさ。何?完クリした得点的なにか?いやいやいやそんなタチの悪い特典嫌だよ!しかも本名とか親の名前とか忘れちゃったし。何が来ちゃったの、だよ!
とりあえず自分について見て見た。
服装 下着みたいな高そうに見えない白いワンピース。顔 触った限り美形。髪の毛 んーセミロングかね。…って乙女ゲームあるあるの初期設定じゃん。しかも周りを見るとただの草っ原じゃあねーか。おっといけない口が大変悪くなりましたわ。おほほほほ。いや、こんな格好にここにいたら売られるわ。
改めて自分が入った乙女ゲームについて思い出してみた。確か名前は『エトワール』。人気はまあまあ。声優はいなくて最新技術であるマジカルボイスによって主人公の名前(好きな名前)までも読めるようにしている。
なんかプロローグ思い出してきた。えっと確か
『あれ…ここは、どこ?私は、一体?』
気がつくと私は、草原の中倒れていた。
『なんで、こんな所に?』
私はただ、オーストリアで働いていたのに…
やべー楽しくなってきた。
『あら、どこかから馬の足音が聞こえてくる。』
パカラッパカラッ
…あれ?これシナリオ言ってかないと進まない系?
『そこのご婦人!どうされましたか?』
「うわぁ、第1イケメンだ!」
リアルイケメンを見て思わず叫んじゃった。
『何言っているのですか?』
よかった。シナリオ以外のことは認識されないみたい。私の目の前に現れたのはメイン王子のエレン・ソレイユだ。爽やか王子とでも言っておこうか。性格は優しいが弱いところもある、王道白馬の王子系だ。
『もしや、あなたは神話に乗っていた異世界の女神様?』
『異世界の、女神?』
そうそう、そう言って拾われるんだっけ。
『きっと、そうだ。申し訳ありませんがこのまま私とこの国の城に来てくれませんか?』
『お城…って……』
乙女ゲームあるある。ヒロインの性格にイライラする。いや、私が発してるんだけどさ。ね?
『よし。決まりだ。私の名前はエレン・ソレイユ。この国の王子。そうだレオン、このご婦人を頼む」
「かしこまりました。」
あれ?こんなのセリフにあったっけ?レオンって誰?
ガチャガチャ鎧の音を立てながらレオン はやってきた。
って待って、ねえ、まってこの人!
「どちゃくそイケメン!」
場の空気が冷えた気がした。
「なんと叫びましたか?恐ろしくございませんよ。ああ、逃げないで。よいしょっと」
どストライク系イケメンにカラダかこわばってしまったが、その状態で私の視野の世界は変わった。背中と足に逞しい感触。体の右側から伝わる鉄の感触。あれ、もしかして私…
「お姫様抱っこされてる!!??」
「ワンパクですね。ですが体感だけは特に自信があるので問題はございません。さあ、行きましょう。」
ドキバク胸が止まりません。
「なっ、レオン、別にそんなことしなくても…」
「こうすればこの方を、逃がすことも怪我をさせることもありませんからね。さぁ、行きましょう。」
…あれ?もしかしてこの方…
「あの、エレン様。」
「…なんですか?」
目と目を合わせ息を飲んで言った
「この、レオンさんは、天然ですか?」
すると彼は大きく首を縦に震った。
え、なに?ガタイ良くてしっかりしてるけど天然って…
最推し確定系超タイプなんですけど!!!!