8.神の視点
俺は、様子を見て回ることにした。
相変わらず人々が、脅かされ、逃げ回っていた。
だが、近づいても誰も俺に目を留めない。悪鬼たちも俺が見えていないようだ。
同時に、俺の方も、まるでテレビ画面を見ている感じだ。
これが神になったということだな。
螺旋階段を使って見て全体を見て回ろう。
動きも少し軽やかになっているようだ。階段から階段への移動が楽なのだ。
「!」
と思っていたところで調子に乗っていたようだ。
飛び移るのに失敗し、底へと落下した。
まずい、中央には、悪鬼の赤い池が・・・!!
ポスッ
「・・・あぁ」
包む感覚に安堵する。
人間が危機回避のために、池の上に張っていた緑色のネット、ハンモックの一つに俺はひっかかったのだ。
助かった。
緑色の網を撫でて、思い出す。
すでに他人事に感じていたが、そういえば、俺も逃げ惑う人間の一人だった・・・。
協力し合って、少しでも魔の手から逃れようとした日々だった。
そうだ。皆を助けてやらないと。
***
俺は自分の部屋に戻ってみた。
小汚い部屋のままだが、とりあえずそのままだ。
それよりまず、できることをしたい。
人間だったころの様子を思い返す。
太陽の光の元で眠り、夜に逃げる生活だった。
だったら、太陽の出ている時間を増やせば良い。増やした時間分、人間は安心に過ごせるのだから。
思いついた俺の前にモニターが現れた。
太陽の状態が映されている。いろいろ数値も出ているようだ。
これを操作すれば良いと俺には分かる。
「とはいえ、太陽も生き物だ。そのような動きになるように・・・」
どうすれば良いかなど、簡単だ。
俺はモニターの中に映る太陽を指で抑えつけた。これは実際の太陽と連動する。
「沈む時にはストレスを」
赤いグラフが太陽の上に現れて、棒グラフが高く伸びていく。
「得られるはずのプライドは取り上げよう」
モニター上で抑えつけながら指でグリグリ押していく。
黒い棒グラフがゴリゴリ削られて短くなっていく。
その状態で、指をモニターから外して様子を観察する。
俺の操作によって、太陽は沈むことを嫌がっている。先延ばししたいのだろう、グズグズとしか動かない。
とはいえ、ずっと沈まないのもまた問題だ。
また新しく昇ってもらわないとな。
時間を十分見計らい、削ったプライド分をどっと追加。
沈むことにプライドを得た太陽が、あっという間に沈んでいった。
この動きを基本にするように、操作。
***
世界が変わっていく。神の視点でそれがよく分かる。
日照時間が増えたことで、この塔の中に、緑の樹木が生まれ、増えてきた。
明るい世界に、住人たちが喜びの声を上げている。
小さき彼らに、俺の姿は見えないが、存在は感じ取るのだろう。
俺が視線を向けた時、神への感謝と、歓声の声を上げていた。
俺は笑み、見守っている。