6.『神の塔』へ
走り続ける。
やはり悪魔はもう追ってこない。
脳裏に、悪魔が俺に叫んだ声が残っている。
俺はとてつもなく恐ろしい事をしたはずだ。だが一方で、気づいたことがある。
あの悪魔は、『神の塔』と口にした。
つまり『神の塔』は本当にあるという事だ。
思考が明瞭になっている。
世界が俺に味方をしているような気分だ。
あの扉に封印されていたものが『神の塔』さえ飲み込むなら・・・。
飲み込まれる前にたどり着きたい。たどり着けば神になれるという、神の住む場所に。
探そう。
俺は駆けるままに底まで降り、すぐに別の螺旋階段を駆け上がる。
あ。
俺は以前気になった場所があることを思い出した。
その時は、そのままにした場所だ。
螺旋階段に巻き込まれる形でいくつもある球体状の部屋。その中の1つの下、影のようにもうひとつの部屋が見えたことがある。
その部屋の下には分岐した階段がついていた。
あの時俺は、きっと他の階段から行ける場所だと思ったのだ。飛び移るには少し距離もあったこともある。
だが。本当に、他の螺旋階段からたどり着けた場所だったのか?
もしかして・・・。
期待に胸が騒いだ。目指して走った。俺は高揚している。
なぜか誰にも会わない。
記憶を頼りに全力で移動する。
たどり着いて、改めて様子を確認する。
記憶と同じだ。
一つの部屋の下に影になるようにもう一つの部屋がある。その下にさらに影のように階段が延びている。
俺はあの階段に行ったことがあるだろうか? 無いのでは?
ここからしか見えない場所なのでは?
なら、あれは、何の部屋だ?
飛び移るには少し遠い。落下の恐れがある。だが、試す時だ。
俺は位置を慎重に検討し、覚悟を決めて、勢いをつけて飛びこんだ。
トスッ
着地に、静かな音が出た。揺れることもない。
材質さえ他の螺旋階段とは違う気がする。
着地した階段のすぐ上に、球形の部屋の底が見える。
俺は四つん這いになった。そうしないと進めないからだ。
期待に胸が高鳴っていく。
今まで、ここまで這わなくてはならない階段は使ったことが無い。
つまり、間違いなく初めての場所を進んでいる。
視線は前を凝視する。
すぐに、突き当りが。
その左側から、白い光が輝いて漏れているのが見えた。
俺は光に向かって這い進んだ。