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73 マジックブック誘き寄せ作戦

 クラリスはファイヤーボールを撃ちまくったせいで、MPがあと16しか残っていない。

 なのでマナヒールを使い、俺のMPを40移動させた。


 それから俺とクラリスは、今までマジックブックを倒してきた場所を巡り、紙切れを拾い集める。

 もうほとんど食べられていたが、それでも五枚拾えた。

 それを一カ所に集めて放置する。

 あとはマジックブックがやってくるまで、隠れて待つ。


「来たわよラグナくん!」


「攻撃してクラリスさん」


「おっけー! ファイヤーボール!」


 クラリスの魔法でマジックブックは死に、紙切れをドロップする。

 更に一匹現われたので、今度はMP節約のため俺の剣で倒す。

 そうやっているうちに、十匹のマジックブックを倒した。

 まだ魔導書は出てこないが、大量の紙切れが床に重なった。

 マジックブックが釣られてやってくる頻度が上がる。


「凄い。群れで来た……クラリスさん、フレアファランクスだ!」


 クラリスは十本の炎の槍を一斉に発射。

 当然のように全てが命中した。

 本当に命中精度は大したものだ。

 そして残る三匹には俺がエアロカッターを放ち倒す。

 これで集まったマジックブックを全滅させた。

 結果は……。


「見て見てラグナくん! 本がある!」


 クラリスが言うように、紙切れの山に混じって本が落ちていた。

 マジックブックではなく本物の本だ。

 それも二冊。

 俺たちは慌てて駆け寄り、拾い上げた。

 表紙にタイトルが書いてあった。


「雷の魔導書と……こっちはステータス鑑定の魔導書だ!」


「凄い! 魔導書が一度に二冊も出てくるなんて! 頑張った私たちへのご褒美ね!」


 クラリスは俺に抱きついてはしゃぐ。

 今まで倒したマジックブックの数を考えると、二冊手に入っても別におかしくはないのだが、一度に二冊というのが特別に見えたのだろう。

 実際、俺もドキドキしている。


「俺はもうステータス鑑定を覚えてるから、こっちはクラリスさんが使って」


「分かったわ!」


 クラリスはステータス鑑定の魔導書を開き、ページに手のひらを乗せる。


「契約」


 彼女がその言葉を口にすると、魔導書は光に包まれ、その手に吸い込まれるように消えていく。


「やった! ステータス鑑定:Gってのを覚えたわ。これでラグナくんのステータスが……見えない……なんでぇ?」


 クラリスは喜びの絶頂のような表情から一転し、泣きそうな顔で俺を見つめてきた。


「俺はステータス隠匿Bってスキルを持ってるから。クラリスさんがステータス鑑定を何度も使ってAまで上げたら、俺のステータスが見えるようになるよ」


「えー、ズルいわよ。ラグナくんは私のステータスを何度も勝手に見てるんでしょ?」


「まあね」


「えっち!」


「別にえっちじゃないと思うけど。そんなに俺のステータス見たいの?」


「見たい見たい。ラグナくんの秘密が見たーい」


「しょうがないなぁ」


 ステータスを明かすのは、手の内を明かすということだ。

 前世では味方であっても自分から開示することはしなかった。

 が、クラリスなら見せてもいいだろう。

 ステータス隠匿は自動的に発動し続けるスキルだ。それを意識して、クラリスだけを対象に解除する。


「あ、見えたわ……な、なにこれラグナくん強すぎ!」


 クラリスは悲鳴のような大声を出した。

 まあレベル99まで上げ、そこからやり直して更にレベル8まで上げたのだから、クラリスのような初心者からしたらまさに桁違いの数値だろう。

 驚くのも無理はない。


「俊敏性1042って……はあ……どうりでたまにラグナくんが消えて見えるわけだわ。他のもメチャクチャ高いし……前世のパラメーターを受け継いでるって本当なのね」


「信じてなかったの?」


「別に嘘だと思ってたわけじゃないけど、こうしてハッキリ見ると実感が湧いてくるわ」


「なるほど。転生なんてなかなか理解できることじゃないからね」


「でもMPだけはそのうち抜けそうね。よし、まずはラグナくんのMPを抜くことを目標にするわ」


 俺のMPは現在176。クラリスは86。

 確かに近い将来に逆転されそうだ。


「頑張れクラリスさん」


「うん、頑張るわ。それでもう一冊の魔導書はラグナくんが使ってよ」


「いいの?」


「いいに決まってるでしょ。私が二冊とも使ったら、申し訳なくて眠れなくなるじゃない」


「そういうことなら遠慮なく」


 俺は雷の魔導書に手のひらを乗せて「契約」と呟く。

 するとスキル一覧に『雷魔法:G』が追加された。



――――――――――――――――――――――――――――――――――

・スタンバースト

説明:消費MPは2。電気をまとった光球を投げつける。光球は何かに当たると周囲に電気を流し、効果範囲内にいる者を痺れさせる。範囲は調整可能。ただし雷魔法のランクによって上限がある。

――――――――――――――――――――――――――――――――――



「よし。新しい魔法を覚えた。足止め用の魔法かな?」


「へえ、見てみたい」


「じゃあマジックブックが出てきたら使ってみよう」


 俺たちはまた本棚の裏に隠れる。

 しばらくすると、また十数匹のマジックブックがやってきた。


「スタンバースト」


 声に出して新しい魔法を使う。

 俺の手のひらから、光の球が飛んでいき、マジックブックの一匹に命中した。

 次の瞬間、バチバチッと音が鳴り、空中放電が巻き起こる。

 それに巻き込まれたマジックブックの群れは、空中でガクガクと痙攣し、紙切れを食べるのを中断してしまう。

 そして……。


「しびれる!」


 クラリスは悲鳴を上げた。

 放電の中心地から五メートルくらい離れているが、ここも効果範囲内だったらしい。

 銀色の髪が静電気で逆立っている。

 ちなみに俺はなんともない。どうやら放った本人には効かないようだ。


「クラリスさんが動けないなら、俺が仕留めるしかないか」


 アイシクルファランクスを放ち、更にエアロカッター。

 これで全て倒したが魔導書はドロップしなかった。


 しかし、かなりMPを使ったな。

 外にいたゴーレムを倒すのにアイシクルファランクスを一発撃ち、今また撃ったから合わせて60消費。エアロカッターを三発撃ったから18。魔導書と契約するのに10。スタンバースト一発で2。マナヒールでクラリスに40移動させてたので合計130だ。

 よって残りMPは46。

 クラリスはあと10だ。


「よし。俺には剣があるから、残りMPを全部クラリスさんにあげる。それでファイヤーボール二十八発分になる」


「ありがとう、ラグナくん!」


 そして俺たちは、そこから更に五十匹近くのマジックブックを倒し、新たに魔導書を一冊手に入れた。

 クラリスのMPは完全に尽きてしまった。

 しかし俺の剣ならまだ戦える。

 もう一冊くらい魔導書を入手しておきたかったが……図書館にマジックブックはもう一匹も残っていなかった。


『天墜の塔』にいるモンスターは、倒してもいつの間にか元の数に戻るのが普通だ。

 だが今日のように一度に狩りすぎると、一時的にそこからモンスターが消えてしまう。

 マジックブックが戻ってくるまで一週間くらいはかかるだろう。


「今日はこれでお終いだね」


「そっかー。まあ、かなり時間も経ったしね。ところでこの魔導書はどうするの? 草の魔導書って書いてるけど」


「草魔法ってどんなのがあったかなぁ……ま、今はお互いMPが全くないから、明日決めよう」


「そうね。町に帰って晩ご飯食べなきゃ」


 というわけで俺たちは図書館の出口に向かう。

 一日で三冊の魔導書が手に入ったのだから大成功といえるだろう。

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