表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/99

22 魔法効果付与に詳しくなった

 レベル2になったので、レベル上げはお休みだ。

 どのみち、日帰りできる範囲のモンスターを倒してレベル上げするのは難しいのだ。

 たまたま『凄いトウガラシ』が大量に売っていたからよかったものの、あんなラッキーはそうそうないだろう。

 仮にあったとして、レベル3になるには、あのトウガラシが五十個くらい必要だろう。


 そんな金はないし、そもそも父さんいわく、あまり塔の外で売っているのを見たことないらしいので、やはりレベル上げはお休みだ。


 なので俺は、昨日習得した魔法をじっくり研究することにした。

 自室のベッドに寝転びながら、説明文を読む。

 まずは二つの魔法効果付与をチェックしよう。



――――――――――――――――――――――――――――――――――

・冷気耐性付与

説明:消費MPは20。アイテムに冷気耐性の属性を与える。その効果は魔法付与のランクに応じて変わる。低いランクでは防寒具程度の効果しかないが、高ランクだと氷系魔法の威力を低減させ、場合によっては無効化する。冷気耐性を付与されたアイテムを複数装備しても、効果は重複しない。もっともランクの高い効果が適用される。



・炎耐性付与

説明:消費MPは20。アイテムに炎耐性の属性を与える。その効果は魔法付与のランクに応じて変わる。低いランクでは暑さを和らげる程度の効果しかないが、高ランクだと炎系魔法の威力を低減させ、場合によっては無効化する。炎耐性を付与されたアイテムを複数装備しても、効果は重複しない。もっともランクの高い効果が適用される。

――――――――――――――――――――――――――――――――――



 二つとも『複数装備しても、効果は重複しない』と書いてある。

 つまり人間が装備しないと、効果を発揮しないということも読み取れる。


 例えば、この家に冷気耐性を付与したとしよう。

 今は二月で、かなり寒い。

 もし家に冷気耐性があれば、部屋が暖かくなるはずだ。


 俺は試しに、壁に向かって冷気耐性付与を行ってみた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――

MP:140/160

――――――――――――――――――――――――――――――――――



 よし。

 MPが消費されたので、成功だ。


 魔法付与を行ったアイテムには名前をつけることができるのだが、そのメッセージもちゃんと出てきた。

 家族全体の家なので『シンフィールド家の屋敷』という名前にしておこう。



――――――――――――――――――――――――――――――――――

名前:シンフィールド家の屋敷

説明:『冷気耐性:F』の効果を持つ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――



 ステータス鑑定で確かめても、しっかり魔法付与が成功していた。

 それにしても簡素な説明文だ。

 まあ、この家は塔由来のアイテムではないので仕方がない。

 何せその辺の物を鑑定しても、『名前:なし』『説明:なし』と寂しい表示しかでてこない。こうしてテキストが表示されるだけマシである。


「温かく……ならないな」


 家に冷気耐性付与を施してしばらく待ってみたが、室温が上昇する気配はなかった。

 やはり人間が装備しないと駄目なのだろう。


 次は、今着ている上着に冷気耐性を付与する。


「おお……ポカポカしてきた……」


 上半身だけでなく、下半身も温かい。

 逆にズボンにも冷気耐性を付与してみたが、効果は重複しなかった。やはり説明文は正しい。


 よし。

 次は、今覚えている四種類の魔法付与を、一つのアイテムに集中してかけてみよう。

 俺は上着に『炎耐性』『強度上昇』『切れ味上昇』をかけようとした。

 が、『強度上昇』を付与しようとしたところで、メッセージが表示された。



――――――――――――――――――――――――――――――――――

このアイテムには既に魔法効果が二つ付与されています。三つ以上付与する条件を満たしていません。

――――――――――――――――――――――――――――――――――



 なんと。

 三つ以上付与するには、何か条件を満たさないといけないのか。

 一度付与した魔法効果を消す方法も知らないし……これは慎重に考えて付与していったほうがいいな。


 すると、最初から『HP+5』の魔法効果を持つ『グリーン・サーペントの宝石』には、あと一つしか付与できないということか?


 少しもったいないが、実験だ。


 まずは『炎耐性』を付与。

 次に『冷気耐性』を付与しようとしたら、さっきと同じメッセージが現われた。


 なるほど。できることと、できないことが分かってきたぞ。

 次は、残りの二つの説明文をチェックしてみよう。



――――――――――――――――――――――――――――――――――

・フリーズウェーブ

説明:消費MPは3。自分を中心に冷気を広げる。その距離と威力は調整可能。ただし氷魔法のランクによって上限がある。



・バキューム

説明:消費MPは3。周囲の物を吸い込む空気の流れを作り出す。吸引力は調整可能。ただし風魔法のランクによって上限がある。

――――――――――――――――――――――――――――――――――



 予想通りの内容だな。

 フリーズウェーブで周りの地面をツルツルにして、バキュームで相手を転ばせたり引き寄せたりといった使い方ができそうだ。

 明日から色々と試してみよう。


 これが普通のレベル2だったらMPが20くらいなので、魔法を一日に数発しか撃てない。

 だが俺はMP160なので、何十回も練習できる。


 魔法も剣と同じで、反復練習が大切だ。

 威力そのものが同じでも、使い方を体に染みつかせると素早く撃てる。


 しかし、こうやって考えてみると、普通の魔法使いは大変だな。

 練習したくても、MPが足りなくてできないのだから。

 MPを回復するアイテムを大量に用意できれば話は別だが、俺のように毎日毎日、何十発も魔法を使ったら、アイテム代で破産してしまいそうだ。


 冒険者学校に行けば、少ないMPでも効率的な練習法とか教えてくれるのだろうか。

 あるいは、生徒のためにMP回復アイテムを用意しているのかもしれない。


「入学まであと二ヶ月くらいだ……それまでは魔法の練習をひたすらやっておくか」


 俺は剣技には自信がある。

 しかし魔法は最近覚えたばかりだ。

 いくら人より多く練習できると言っても、やはり長年魔法使いをやっている者には敵わないだろう。

 その差を少しでも縮めるのだ。

 可能なら、在学中に教師を追い抜きたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ