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21/99

21 レベル2になった!

 グリーン・サーペントを二十匹倒したら、宝石を四個ドロップした。

 凄い。

 これを全て売ったら、七十万ディーネ以上になる……。

 もっとも、貴重だから高いのであり、この調子で入手して市場に流したら、価格が下落するかもしれない。

 それより、家族へのプレゼントにしよう。


 俺は帰り道、スライム三十匹に、ブルー・ゴーレム十体を倒す。


 すると『スライム玉』と『浄化の石』を二つずつ手に入れた。

『スライム玉』というのは、握りこぶし大で半透明のぶよぶよした物体だ。



――――――――――――――――――――――――――――――――――

名前:スライム玉

説明:スライムの心臓。見た目は不気味だが、甘くて美味しい。放っておくと干からびてしまうので、早めに食べることをオススメする。

――――――――――――――――――――――――――――――――――



 スライムには様々な亜種がいて、それぞれ違う味のスライム玉をドロップする。

 一層にいるスライムのを食べるのは初めてだ。

 食べてみると本当に甘くて美味しかったので、あっという間に二つともなくなってしまった。


『浄化の石』は小石程度の大きさだった。

 やはり昨日ドロップした物は、特別な大きさのようだ。

 ブルー・ゴーレムの強さは同じだったが……その辺は運だろう。


 しかし、俺はすでに『グリーン・サーペント』を合計二十一体も倒している。

 そろそろレベル上がってもいい頃合いなんだけどなぁ。

 早くレベル2にならないかなぁ……なんて考えながら、塔を出る直前、近くにいたスライムをアイシクルアローでぺしっと倒した。


 すると――。



――――――――――――――――――――――――――――――――――

レベル2になりました。


『フリーズウェーブ』を習得しました。

『バキューム』を習得しました。

『冷気耐性付与』を習得しました。

『炎耐性付与』を習得しました。

――――――――――――――――――――――――――――――――――



 目の前にテキストが現われた!

 うぉぉぉっ、やったぁぁぁ!


 ついに、ついに……長い道のりだった!

 いや、冷静に考えると、さほど長い道のりじゃないな。

 だってレベル上げ始めたの昨日だし。


 むしろ早すぎる。

 前世はベテラン冒険者たちに手伝ってもらったのに、それでもレベル1から2になるのに、半年くらいかかったのだ。


 今回は『凄いトウガラシ』が二十個も手に入り、効率よく狩りを行えたのがよかった。

 こんなサクサクしたレベル上げは初めてだ。

 まあ、前世のステータスを引き継いでいるからできたことなんだけど。

 普通ならトウガラシが二十個あるからといって、一日で二十匹もグリーン・サーペントを狩れない。


 さあ、成長した俺のステータスは?



――――――――――――――――――――――――――――――――――

名前:ラグナ・シンフィールド

レベル:2


・基礎パラメーター

HP:757

MP:160

筋力:634

耐久力:461

俊敏性:1003

持久力:589


・習得スキルランク

回復魔法:C

氷魔法:F

風魔法:F

魔法付与:F

ステータス鑑定:A

ステータス隠匿:B

――――――――――――――――――――――――――――――――――



 俊敏性が千を超えた……普通じゃありえない四桁だ!

 塔の外では『無能の印』と呼ばれている『上限突破の印』のおかげである。

 それ以外のパラメーターも順調に上がっている。

 特にMPは一気に7も増えた。

 魔法を使いまくったおかげだろう。


 そして覚えたばかりの『氷魔法』『風魔法』『魔法付与』がGからFにランクアップした。

 これで魔法の威力が上がるはずだ。それにさっきレベルアップのお知らせとともに、新しく覚えた魔法も表示されていた。


 俺、もう魔法剣士を名乗ってもいいかもしれないな。


 とりあえず、試しに……。


「フリーズウェーブ!」


 俺を中心に冷気が広がり、半径五メートレくらいの草むらが凍ってしまった。


「バキューム!」


 目の前に、エアロアタックによく似た空気の塊が発生した。

 ただし風をまき散らすのではなく、逆に吸い込んでいる。

 俺の服や髪が、その空間に向かってなびいている。


「ふむふむ。どっちも便利そうだ。『冷気耐性付与』と『炎耐性付与』は名前の通りだな。あとでじっくり説明文を読もう」


 本当は今からでもじっくり読み、魔法の練習をやりまくりたいのだが、そろそろ帰らないと夕飯に間に合わない。

 まだ七歳の俺は、親の言うことにちゃんと従うのである。


 そして塔を出た俺は、早速、今朝と同じ店に『浄化の石』を売りに行った。


「この大きさなら、一つ百ディーネだな」


「そんなもんですか?」


「そんなもんだよ。大きさの比率から考えて、妥当だろ?」


 確かに、今朝売り飛ばしたメロンのような大きさの石と、この小石を比べて考えると、そんなもんかもしれない。


「じゃあ、その値段で」


 二百ディーネを手に入れた俺は、宝石店に行く。


「あの。この緑の宝石を四つ、ペンダントにしてくれませんか?」


「ペンダントにすると言っても、台座の形とか材質で値段が変わるぜ」


「四つで二百ディーネの予算なんですが」


「じゃあ一番安いやつだな」


 二百ディーネ払い、飾り気のない鉄製のペンダントを手に入れた。

 しかし、そこにはめ込まれた『グリーン・サーペントの宝石』が美しく輝いているから問題ない。


 ペンダントの一つは俺の物だ。

 そして家に帰り、父さんと母さんに一つずつ渡す。


「いいのか、ラグナ。こんな貴重な物を……」


「そうよ。あなたが手に入れたんだから、あなたの物なのよ?」


「気にしないで。今までお世話になったから、ちょっとした恩返しだよ。たまには親孝行させてよ」


「ラグナは七歳なのに大人びてるなぁ……そういうことなら、ありがたく頂こう」


「ありがとう、ラグナ。ふふ、似合ってるかしら?」


 父さんと母さんは、とても喜んでくれた。

 そんな両親と俺の様子を部屋の隅っこから見つめている奴がいる。

 兄のデールだ。


「兄さん」


「何だよ」


「はい。これは兄さんの分」


「え? お前……俺にもくれるのか?」


「うん。家族だし。兄さんにだけあげないわけにもいかないだろ?」


「そ、そうか……お前からもらっても、べ、別に嬉しくはないが……どうしてもというならもらってやる……!」


 デールは何やら赤くなりながらペンダントを受け取り、装着した。

 実はツンデレかな?

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[良い点] 一気に兄さんを好きになれた
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