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忘れられた者  作者: 星がキタロウ
17/22

振り返る者

 くるみが帰り急に部屋に何もなくなったかのように静かになった。

 夢美の顔を見る。顔色は悪くはない。おでこにてを当て熱があるか確認する。熱はない。呼吸もしっかりしている。ずっと寝ている以外はなんの問題がないただの少女である。


「早く起きてくれよ...」俺はただ願うことしかできなかった。そしてこの日はそのまま夢美の容態が変わらない。俺は近くで夢美の顔を確認しながら勉強をして終えた。


 次の日の朝やはり夢美は起きていなかった。また昨日のように学校に電話をする。このまま夢美は起きないのだろうか、水は少しずつスプーンを使い与えている。何か食べさせたいのだが喉に詰まらせてもともこもない。そのため食べ物を食べさせることはできなかった。

 気のせいかもしれないがからだ全体が少し痩せたような気もする。こんなときに何もできない自分が俺は嫌だった。自分への苛立ちが増えていく。自分を惨めに思う。


 結局なにもすることができない俺は昨日のようにご飯を食べ、勉強をすることしかできなかった。


 昼になりまたインスタントラーメンを食べようとしたが、既にすべて食べ終えてしまったことをキッチンに行った時に気づく。俺はその事に気づくと頭をかきながら考えた。夢美をそのままにしておいていいのか、、、しかしこのまま何も食べず、またくるみが作ってくれるのを待っているのか。

 だが今日も必ずくるみが来るという確信はどこにもない。

 つまり俺に選択肢はない。俺は財布を持ち、また机の上に夢美用の手紙を置き家を出る。

 外に出た瞬間ビューと風が吹く。家に戻れと警告しているようなほど冷たい風だった。そういえば昨日から家の換気をしていない。道理で部屋の居心地が良かったわけだ。俺は自転車に乗りいつものコンビニへと走っていく。コンビニへ着くと6個ほどカップ麺を持ちレジへと持っていく。辺りから見ると引きこもりが買い物に来たように見えるだろう。しかし、引きこもりなら通販ですべて過ごしているのか?それならこの光景はただのカップ麺好きがただコンビニに買い物をしに来たように見えるのかと、どうでもいいことを考えながら、レジを終えコンビニを後にした。





 辺りがすべてぼんやりとしか見えない。私の目の前には水が広がっている。どこまでも続く水。ここは何処?しかし、この場所の名前は知っている。いつも山から見える。おばあちゃんから聞いたこともある。飲みきれないほどの水があり飲むとしょっぱい塩水らしい。そうここはウミである。

 つまり、私は山の麓の海に来たの?足には白い土が広がっている。始めてみる土だ、面白い。私がしゃがもうとしたとき、後ろからぼんやり声が聞こえる。振り替えると男の子がこちらに歩いてきている。見覚えはない。誰だろうこの男の子、そう思った瞬間私の回りを光が覆う。まるで直接太陽を見てるような光だ。


 思わず目を閉じる。そして、ゆっくりと目を開ける。明かりが多く眩しい。私の回りには多くの人がいる。私は辺りを見回す。ぼんやりとしてよく見えないが私の記憶のなかではこの場所にも来た覚えはない。そもそも何故私はこの場所にいるの?食べ物のようなものがたくさん置いてある。ある人は踊り、ある人は近くの人と話をし、またある人はご飯を食べている。みんな楽しそうだ。


 ああ、もしかして死後の世界だろうか。そしてここは天国である。だから、痛みも消えているきっとそうだろう。そう自分の今の状況を冷静に考えていると後ろからまた声が聞こえる。周りから声が聞こえているにもかかわらずまるで後ろから聞こえた声だけが特別であるかのように私はその声に引かれ振り向いた。すると男の子が人々の間を掻い潜り、走ってきた。


 私の目の前に来ると、かなり走ったのか息切れを起こしている。この男の子さっきの海で見た男の子と同じな気がする。男の子は私になにか言っている。しかし、どの言葉も手で耳を塞いでいるかのように、ぼんやりとしていて聞き取れない。それに、からだが言うことを聞かない。そして、私もなにかその男の子に自分では話しかけていないのに勝手に話しかけている。この体はまるで私以外の意思を持ったものが動かしているかのようだ。


 自分の声もまたぼんやりとしていて聞き取れない。だが、言葉のテンションからして二人とも楽しそうである。

 男の子が突然空を見上げ指を指す。そして私もその指の先を見る。空が光っている。しかし、夜空の光かたではなかったが赤色や黄色く空が光っておりきれいだった。


次の瞬間また光が私を覆い、先程のように違う場所にいる。今までで一番眩しく空が光った。そう思った瞬間、私はまた別の場所にいた。空が見える。風が透き通って気持ちがいい。それなのに私は震えていた。


 するとまた別の場所へと移動する。

 しかし、今回の場所は暗い。光が一つもない。私は地獄にでも落とされたのだろうか。

 私は暗い闇の中を歩いていく。

 私が右往左往しながら歩いていると下を向いている少女を見つける。誰だろう?少女は私に気づき振り返る。私は少女の近くに行き

「どうしたの」と聞く。

 すると少女は

「あなたは人を見たいと思う?」と私の質問を無視してそう言う。

「え、どういうこと?」私は混乱しそう言う。

 すると少女は顔一つ変えずに

「あなたは人が嫌い、そうでしょ」と次は確信したようにそう言ってきた。

 この少女はいったい私のなにを知っているのだろうか。

 なんだかこの少女怖い、そう思った。

「ごめんね、私はあなたの言っていることが分からないなあ」と返答する。

 少女はまたなにも顔を変えず

「やっぱり、なにも覚えていないんだね」と言う。


 この少女は私のことを知っている。

 しかし、私はこの少女を知らない。

 誰なんだろう。


「どういうこと、あなたは誰?」

「私はね、あなたを迎えに来たんだよ」

「迎えるって何処に?」

「誰も人がいない場所だよ。あなたが望んだ場所」

「私はそんなこと望んだ覚えはないよ」

「それは嘘だよ。私はあなたのことをすべて知っていて、あなたが人が嫌いなことも知っている」

「私がどう思っているかなんてあなたにわかるはずがないじゃない!」

いつの間にか私は少女にむきになっていた。

「分かるよ」少女は何故そうも確信して言えるのだろうか、私には分からない。

「もう一度聞くよ、お姉さん。あなたは人とも一度会いたいの?」

「分からない、分からないよ。私はあなたの言っている意味が分からないよ」私は頭を抱えしゃがみそう言う。

 これ以上言わないで...

「それなら、確かめてくるといいよ。人に会いたくなくなったらいつでも言って、私が迎えに来るから」何故かその言葉だけは優しく聞こえた。

「え?」と顔をあげると少女は何処にもおらず、そしてまた私の回りを光が覆う。



 目を開けると視界がぼやける。背中がいたい。

 痛みを感じる。先程とは明らかに違う。数秒経つとぼやけていた視界もピンとが合いはっきりと見える。

 私は今まで夢を見ていたのだろうか、ここは何処だろう?見たこともない。しかし、ここはたぶん現実世界だ。痛みもある。喉も乾いた。部屋が暑くて気持ちが悪い、たぶん換気をしていないのだろう。


私は近くにあるコップに手を伸ばす。そのコップは透明で透き通っている。その中にあるスプーンを取り出し中にある水(透明だし水だろう)を一気飲みする。

ぬるかった。いつもの水ではない。味がなんだか違う。悪いものだったのだろうか、もう飲んじゃったし、いいかと適当に考える。


そして、辺りを見回す。壁に囲まれている家だろう。誰が私を...そんなことを考えていると一つの写真を見つける。少女が笑っている。この人が私を助けてくれたの。しかし、床には本がぐちゃぐちゃに広げられている。とてもこのかわいい顔からこんな悪魔が作り上げたようなこの部屋は作れないだろうとこの少女の性格を疑っていると、ガチャと音がなる。部屋の置くから足音、一人のようだ。もしものためにいつでも逃げれるようにしようとするが力が入らない結局布団から出られないままその人に出会った。

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