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草食系異世界ライフ!  作者: 21号
異世界転生編
4/95

第3話~「驚きの鑑定結果はCMの後」

赤ちゃん、葉っぱを食う

赤ちゃん、色々考える

赤ちゃん、大地に立つ



 おはようございます。


 あれから分かったことをいくつかまとめようと思う。


 ひとつ。

 統合された[草食系]には[捕食][賢者]が入っており、これは『食べた植物の情報をなんとなーくまとめて鑑定する』というスキルになっているらしい。


 要するに『食ってみりゃ分かる』だ。


 ここだけ見ると本来の能力が劣化しているように思えるが、これは俺が期待過剰だっただけだろう。もしくは鑑定だけだともっと不便だったかもしれないし。何がどうとは言えないけど、こっちの方が有用なのかもしれない。本当はドラゴンとか捕食していきなり無双したかったけど、今ドラゴンとか来たら確実に死ねるしそんな食べ切れる気がしない。


 そもそも捕食能力に4次元な機能やストレージ機能を期待する方が間違っていた。

 転生時の消費ポイントを考えても、そういう機能は別途取得が必要に違いない。

 だからこれは系統進化というか、[草食系]というスキルツリーに組み込まれたと思えばいいのかもしれない。


 もうひとつ。

 先刻から何度か口にしている耐性スキルだが、やっぱり取ってなかった。自分で忘れているだけかと思ったんだけど記憶を辿ってもログを見返しても俺は[耐性]なんて取ってなかった。

 なんでコレ取ったと思ってたんだ?

 そうか、これもラノベ知識だ。仕方ない。火にくべても燃えない赤さんとか怖すぎるし。

 とりあえずは[草食系]に[身体操作]に[気配探索]の3つで頑張ろう。[自己診断]も頼りにしてるぞ、ろくな情報ないけど。


 あとひとつ。

 統合されてしまった[賢者]だが、これが妙な結果を出してくれた。

 鑑定? で出て来る情報は、どうやら[賢者]がどこかの樹?か何かから情報を持って来ているらしい。『まさか世界樹の叡智に触れて!?』と思ったが全然そんなことはないらしい。らしいというのは[自己診断]さんに繰り返し確認したところ、突然変異したような謎クローバーXだけ聞いたこともないヒメカソウとかいう名称がついてた原因として教えてくれた。自己診断さんマジ検索に融通きかねえ。

 おかげで植物が相手なら(それなりに)詳細な情報が得られるが、それ以外は適当という素晴らしい[鑑定]が生まれた。

 食えば分かるからと必死になって小石を飲み込んで得られた鑑定結果が


まずい


 だった時には大声で泣いた。あと吐いた。

 そういえば[草食系]の文字通りなのか、石は捕食対象じゃなかったみたいで、しばらくしてから尋常じゃない腹痛に襲われて死ぬかと思った。土は大丈夫だったのに。そこらへんよくわからん。


 ちなみに草を食べること得られた情報の中に現在地についてもあったのだが、


『「カソウ」の大平原南部に生えていたヒメカソウ。「カソン」の村に非常食として重宝されている』


 といった感じで結論しか出てこないので「カソウってなに?」「カソンってどこ?」という質問に応えてくれず、結局のところは行き当たりばったりでしかない。賢者ェ…


 ともあれ、[身体操作]と[草食系]のふたつで生命維持と移動ができるので、ゆっくりと移動は続けている。


 一応、目星はつけている。というか、行きたくないと思う方向があった。


 大平原から眺めてみると、片側だけ『先が見通せない方向』があった。

 目をこらしてみれば、進行方向の先が真っ暗になっている。そちらの方は何も見えず、背中に嫌な汗をかいてしまう。なので、そことは逆方向に向かって歩いているというわけだ。


・・・それにしても、広い平原だ。


 歩けども歩けども先が見えない。

 うっすらと空に光が見えるけれど、雲の切れ間のような感じだろうか? 遠くに日光が見える。あれを目標に歩いていけば、おそらくだけど人のいる場所にたどり着ける。そんな気がする。無論、根拠はない。


 そして合間合間に見かけた葉っぱをモグモグ。

 早くも生えてきた歯を器用に使って、少しだけ丈の長い草も食べてみる。うおおお…苦い…うま…い? よくわからん。ちなみに今まで食った植物の種類をまとめると


ヒメカソウ:効果 栄養・極微

カソウ  :効果 栄養・微


あと紛らわしいのが


カヤクソウ:効果 体力回復・微


一瞬これを『火薬草』だと思って、火が吹けるんじゃないかと試そうとしてしまった。再度調べてみたら、どうも薬草の一種らしい。

 火薬草だって「薬草」って入ってるじゃねーか!なんて一人ツッコミしてみたけど誰も反応しないからむなしいばかりだ。早く誰かに会いたい。


 3種類しかない草をひたすらモグモグしながら歩き、どのくらい歩いたのか分からないくらい歩いた。

 もう歩きたくない。

 [身体操作]が働いていても、赤ちゃんの柔らかいぷにぷにした足の裏では長く歩くことは普通しないし、できない。

 あとちょっとだけ。もうほんの少しだけ。あそこの草まで。そんな風に自分を盛り上げていたら


『鑑定しています。しばらくお待ちください』


という表示と共に、脳内と、眼前に、今までにない情報が飛び込んできた。というかこれは、


『鑑定結果:馬です』


 馬だ。


 さらに、


「どうして、こんなところに赤子がいるんだ」


 人だ。


 人だ!


「だーーーー!!!」

「うわっ、おい何だ。どこの子供だ?というか何で裸なんだ? 落ち着け、危ないから馬に近寄るんじゃない!」


 生まれて初めて見る、自分以外の生き物に興奮した俺は、


 興奮しすぎて、そのまま気を失ってしまった。



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