何でも屋:空
西暦4030年 人類は地球で新たな種族を発見した。
俺たち人間はそいつらのことを《ヒュウト》といった。
しかし、その種族は奇妙な能力を使う種族であった。
そのため世間では、《影欲》と呼ばれた。
「こがトーキョーかー。」
ウィンはまだ覚えたての日本語でつぶやいた。
ウィンがここ東京に来たのはここで何でも屋を始めにきたのである。
ウィンは会社を建てた。
名を、ホーパー社といった。
そしてウィンは高橋 空と名前を変えた。
4211年 4月4日 晴れのち曇り 12歳
リンリン
玄関のベルが鳴った。
「はーい」
初めてのお客さんが来た。
「すいません。こちらはホーパー社と伺ってきたのですが…。」
年は20前後の女性が立っていた。
「あ、ハイこいらはホーパーシャです。」
「私は、こういうものです。」と一枚の紙切れを渡してきた。
「なんでそうかこれは。」
「何言ってるんですか。名刺ですよ。」
空はその紙切れを見た。
そこには、フリーライターの中村 由紀と活字で書かれていた。
「ふりーらいたー?」
「そう。フリーライターです。でも今日は肩書き関係ないんですけどね。個人的用件で来たんですよ。」
「では、どのよーないらいでそーか。」
「実はですね。うちの弟が誘拐に会いましてですね。」
「それて、さがしてキテほしーと、」
「そういうことです。」
「わかりまひた。では、シャシンなどはもっていますか。」
「はい。こちらです。」
「わかりあした。すぐに、とおりかかります。」
というとすぐに部屋を出て行った。
「あ、あの名前とかはいいんですか。」
「ルスバンよろひく~です~。」
空は風のように走っていった。
「そういえば名前聞いてなかったな。」由紀はつぶやいた。
空が向かった先はゴミ捨て場であった。
そして右手を出しこう唱えた。
「我、契血をささげ己の封印をとき放ち力を解放する。」
空の右手に模様が浮かび上がった。
空の周りを覆うように半球体に緑の光が広がった。
「風のように走っていたからまさかとは思ったけど…。」
俺は一人つぶやいた。
30mほどの距離があるこの場所でもすごい迫力を感じる。
「「では、この写真の人物をつれて来い。」」
一瞬、空とかいう人物の声が二重に聞こえた気がした。
そして、その半球体内にあった物という【者】全てが動き出したのである。
これにはさすがの俺も驚いた、この短時間で全てのものに【あれ】を宿らせることができるとは。
空は町全体を煙で覆った。
そして、空を先頭に九十九の【者】合わせて百の大群は
たった一人の人間を探すためだけに町中を駆け回った。
これが俺、海と師匠の最初の出会いだった。
これは、あとで聞いた話だが中村兄弟は笑いながらも泣きながら、
そして怒りながらも幸せそうに帰っていったらしい。
≪End≫
「じゃあ次のページもよ~もう。」
「なんで、人の日記勝手に呼んでんだよ、大地。」
「いいじゃん!お父さんのケチ、べ~。」
「おれもあんなんだったのかなぁ。」
『完』
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